最終更新日 2019/10/25

イブプロフェン

イブプロフェンとは・・・

イブプロフェン(いぶぷろふぇん、ibuprofen)とは、プロピオン酸系のNSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛剤)である。イブプロフェンにCOX1およびCOX2選択制はなく、総合感冒薬などの市販薬にも含まれている成分であり、強力な鎮痛作用を有する。

NSAIDsにはサリチル酸系、プロピオン酸系、フェニル酢酸系など多数あるが、イブプロフェンはプロピオン酸系に分類される。

【イブプロフェンの用途】
炎症成分であるプロスタグランジンの産生を抑制することにより炎症を抑え、疼痛を緩和する作用(消炎、鎮痛)や解熱作用を示す。
通常、関節リウマチ、関節痛および関節炎、神経痛および神経炎、背腰痛、頸腕症候群、手術、外傷後などの消炎・鎮痛や、急性上気道炎など感染症の解熱・鎮痛に用いられる。

【イブプロフェンの作用機序】
細胞膜リン脂質から合成されたアラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼ(COX)によりプロスタグランジンやトロンボキサンに代謝される。イブプロフェンはシクロオキシゲナーゼを競合阻害することでアラキドン酸カスケードを阻害し、プロスタグランジンの合成を抑制する。プロスタグランジンは炎症作用をもつため、この炎症物質の合成を抑制することでイブプロフェンは抗炎症作用を発揮する。シクロオキシゲナーゼにはCOX1とCOX2が存在し、COX1は血小板・消化管・腎臓などに常時発現しており臓器の恒常性に寄与、COX2は炎症などで誘導されプロスタグランジンを合成する。

【イブプロフェンの副作用】
イブプロフェンはCOX1とCOX2の両方を阻害するため、COX1を阻害した結果として消化性潰瘍や腎障害をきたしうる。

執筆: 井上 彰

明石医療センター 救急科医長

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