最終更新日 2018/04/20

ビスホスホネート

ビスホスホネートとは・・・

ビスホスホネート(びすほすほねーと)は、骨粗鬆症や悪性腫瘍による高カルシウム血症や多発性骨髄腫、固形癌骨転移による骨病変の治療として用いられる。

ビスホスホネートは、破骨細胞の機能を抑制して骨吸収(骨の破壊)を妨げ、破骨細胞のアポトーシスを誘導する。悪性腫瘍患者における高カルシウム血症は、悪性腫瘍が過剰に産生する副甲状腺ホルモン関連ペプチド(parathyroid hormone related peptide, PTHrP)が、骨吸収、腎臓からのカルシウム再吸収を亢進させるために起こる。ビスホスホネートは、この骨吸収の亢進を抑制することにより血中のカルシウムを低下させる。重症の高カルシウム血症(>14mg/dL)において、生理食塩水大量輸液、ループ利尿薬、カルシトニンとともに使用される。ほかの治療よりも効果発現は遅く数日以上かかる。

ビスホスホネートは、腎機能障害のある患者では血中濃度が上昇するため、クレアチニンクリアランスに応じて投与量を調整する必要がある。重大な副作用として、急性腎不全、間質性腎炎、ファンコニー症候群、間質性肺炎、顎骨壊死がある。顎骨壊死の予防のために、投与中はできるだけ侵襲的な歯科処置を避ける。その他、発熱や頭痛、嘔気、骨痛、肝機能異常、筋肉痛、低リン血症、低カリウム血症などがみられうる。妊婦への投与は禁じられている。

執筆: 柳井真知

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター医長

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