最終更新日 2019/11/08

巨赤芽球性貧血

巨赤芽球性貧血とは・・・

巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ、megaloblastic anemia)とは、骨髄に巨赤芽球が出現することを特徴とする貧血である。主な原因はビタミンB12欠乏、もしくは葉酸欠乏である。

ビタミンB12欠乏の原因のほとんどは悪性貧血もしくは全摘だが、内因子に対する自己抗体、胃炎、菜食主義者なども上げられる。
悪性貧血とは、ビタミンB12の吸収に必要な内因子という物質の分泌障害によって生じる貧血である。内因子は胃壁から分泌されるので胃全摘後でも同様の症状が生じる。
葉酸欠乏は、慢性アルコール中毒や吸収障害などいくつかの要因で生じるが、ビタミンB12欠乏ほど多くはない。

【症状】
症状としては動悸息切れなどの貧血の一般的な症状の他にハンター舌炎、腹痛下痢、末梢神経障害、精神症状、年齢に不相応な白髪などが知られている。

【検査・診断】
巨赤芽球性貧血は大球性貧血の一つなので、血液検査で平均赤血球容積(MCV)が100以上の場合に疑う。さらに血清ビタミンB12、葉酸の低下があるかを調べる。

【治療】
治療はビタミンB12欠乏に対してはビタミンB12製剤の内服もしくは筋注を行う。悪性貧血や胃全摘後のように内因子の不足によるビタミンB12の吸収不全が原因の場合は、ビタミンB12の筋注が一般的である。ちなみにビタミンB12欠乏、葉酸欠乏の両方があるときに、先に葉酸を投与することは禁忌とされている。これは葉酸を代謝する際にビタミンB12が消費されるため、先に葉酸を投与するとビタミンB12がさらに低下してしまうからである。

【予防】
ビタミンB12サプリメントや、それを多く含む食品(特に魚、肉、卵、牛乳、乳製品など)の摂取を積極的に行う。葉酸についてもサプリメントや食品から積極的に補うよう心がける。食品では濃緑色葉物野菜、果物、ナッツ類、インゲン豆、えんどう豆、乳製品、肉、卵、魚などに多く含まれている。

 

引用参考文献

1) Kathleen M Fairfield.et al.“ Causes and pathophysiology of vitamin B12 and folate deficiencies”.Up To Date.
2) Shaonong Dang.et al.“The status of vitamin B12 and folate among Chinese women: a population-based cross-sectional study in northwest China”.PLOSONE.
3) 伊藤壽記、大野智 監訳.“ビタミンB12”.「総合医療」情報発信サイト.

SNSシェア

用語辞典トップへ