舌下錠は飲み込んだり、かみ砕いたりしてはいけないのはなぜ?|舌下錠の飲み方

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は舌下錠の服用に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

舌下錠は飲み込んだり、かみ砕いたりしてはいけないのはなぜ?

 

舌下錠は薬の急速な効果を期待して、舌下の血管に吸収されやすいように工夫されており、消化管で吸収される錠剤とは異なるためです。

 

〈目次〉

 

舌下錠とは

舌下錠は主にニトログリセリン製剤など、狭心症の発作時に急速な効果発現を期待して服用されるものです(図1)。

 

図1口腔内与薬の方法

口腔内与薬の方法

 

作用時間はほかの経口薬剤と比較して短時間ですが、緊急時の服用としては都合のよいようにつくられています。これは口腔粘膜が薄い上皮に被われており、粘膜下の血管も豊富で、腸管に比べ吸収性はやや劣りますが、薬の吸収が比較的速く、肝臓を経由していないため速やかな血中薬物濃度の上昇を期待できることによります。

 

経口薬剤は

一般の経口薬剤は、や腸での破壊や別の物質への転換が起こる可能性もあります。また、吸収は主に腸管でなされますから、服薬後血中薬物濃度の上昇に時間がかかり、緊急を要する狭心症などの発作時には不適当であるといえます。しかし、狭心症発作の予防薬としては、経口的に服用する薬剤が使用されています。

 

舌下錠与薬時の注意事項は

また舌下錠与薬時の一般的な注意事項は次のとおりです。

 

  1. 舌の下に確実に錠剤を置く。
  2. 完全に溶解するまで、薬をそのまま保持する。
  3. 錠剤を噛んだり、舌で触れたりして、偶然飲み込むことがないよう注意する。
  4. 喫煙は、タバコに含まれるのニコチンによる血管収縮が起こり、舌下粘膜の血流が悪くし、薬の吸収を遅延させるので薬が溶けるまでは喫煙を禁止します。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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