役割や給料、働き方のメリット・デメリット デイサービスの看護師の仕事内容
デイサービス(通所介護)は、高齢者が日中に通って食事や入浴、レクリエーションや機能訓練などのサービスを受ける施設です。
デイサービスで働く看護師の役割や仕事内容、給料、働き方などを解説します。
デイサービスの看護師の仕事内容・役割
デイサービスで働く看護師の仕事内容・役割は、主に「利用者さんの健康管理」です。
利用者さんは要介護度の低い方が多いでしょう。
デイサービスとは
デイサービスは、高齢者ができるだけ自宅で日常生活を続けられるように、食事や入浴といった日常のお世話、レクや機能訓練などのサービスを提供する施設です。
「通所介護」とも言われます。
自宅にこもりがちな高齢者にとっては、社会とのつながりの場でもあります。
介護者も癒やす「レスパイトケア」の機能
デイサービスは、ご家族の介護の負担を軽減し、休息を取ってもらう「レスパイトケア」の役割も担っています。
デイサービスを利用することで、自宅で介護しているご家族が「自分の時間」を確保できます。
小規模な「地域密着型デイサービス」も
定員18人以下の小規模なデイサービスは、「地域密着型デイサービス」と呼ばれます。
デイサービスは全国に約4万3000カ所ありますが、半数以上が地域密着型デイサービスです。
地域密着型デイサービスは「施設のある市区町村の住民でなければ利用できない」「要支援の方は利用できない」などの条件があります。
提供するサービス内容は、一般のデイサービスと変わりありませんが、少人数のため、より家庭的な雰囲気です。
デイサービスの利用者さんはどんな人?
デイサービスの利用者さんは、要支援1~2・要介護1~5の高齢者です(64歳以下で特定疾病の方も利用可能)。
要介護度の低い方が多く、厚生労働省によると、利用者さんの7割ほどが要介護2以下となっています。
「自宅までの送迎付きで週2~3回、日中(7~9時間)にデイサービスに通う」といった利用が一般的です。
デイサービスの看護師の業務内容
デイサービスで働く看護師の具体的な業務内容は、主に次のようなものです。
デイサービスの看護師 主な業務内容
- 利用者さんの健康管理
(体調確認、バイタルサインのチェックなど) - 入浴の可否の判断
- 服薬管理・介助、インスリン注射
- 口腔ケア
- 点眼や軟膏塗布、褥瘡処置
- 食事、入浴、排泄の介助
- レクリエーションや機能訓練のサポート
- 急変対応
入浴ができるかどうか判断したり、体調不良時や急変時に受診の判断をしたりなどは、医療の知識が必要になるため、デイサービスの看護師の重要な業務となっています。
デイサービスの看護師の業務は幅広い!
デイサービスの利用者さんは、要介護度や医療ニーズが低い方が多い傾向にあります。
そのため、看護師が高度な医療的ケアを行う場面は、ほとんどありません。
その一方で、食事や入浴介助のサポート、レクや機能訓練のサポートといった業務を幅広く担当します。
キャリアアドバイザー
施設によっては、看護師も送迎車に同乗したり、運転したりすることも。送迎の体制は面接などでも確認しておくと安心です。
看護師の兼務も多い「機能訓練指導員」
デイサービスでは「機能訓練指導員」を1人以上配置する必要がありますが、看護師が兼務することも珍しくありません。
「機能訓練指導員」という資格があるわけではなく、「日常生活に必要な機能が衰えないように、一人ひとりに合った訓練を指導する」という役割を担う職種を指します。
機能訓練指導員になれるのは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師です。
機能訓練指導員の仕事内容は、主に次のようなものです。
- 利用者の身体機能を評価し、状態に合わせて必要な訓練を計画する
(計画表を作成する) - 筋トレや歩行訓練、可動域訓練などを指導・介助する
- 集団体操など運動プログラムを考える
キャリアアドバイザー
「機能訓練指導員なんて経験がない…」と心配になりますよね。
ですが、未経験の方でも現場で学びながら、知識や技術を身に付けていくというケースが多いようです。
デイサービスでの看護師の働き方
デイサービスの看護師は、基本的に夜勤がなく、日勤のみの働き方ができるのが、何よりの特徴です。
営業日を「年中無休」としているデイサービスもありますが、「土日祝日は休み」「日曜日は休み」の施設が多く、お子さんがいて「週末のお休みがほしい」という看護師さんにも向いている職場です。
1日のスケジュール
デイサービスで働く看護師の1日のスケジュール例です。
【8:30】出勤、ミーティング
きょう1日のスケジュールや連絡事項などを確認します。
【9:00】利用者さんのお迎え
施設によっては、看護師も送迎車に同乗し、利用者さんのお迎え業務をサポートすることがあります。
介護職員や専属ドライバーだけで送迎を行う場合は、看護師は施設内で利用者さんの来所をお待ちします。
【10:00】バイタルサインのチェック
来所された利用者さんのバイタルサインをチェック。入浴するのに支障がないかなどを判断します。
【10:30】入浴後の処置など
入浴を終えた利用者さんに軟膏の塗布、湿布の貼付、褥瘡の処置など、必要なケアを行います。
施設によっては、看護師も入浴介助に携わることもあります。
【12:00】食事の介助・内服確認など
看護師も積極的に食事介助のサポートに入ります。
お食事の前後には、配薬の準備や血糖の測定、インスリン注射などを行います。
【13:00】休憩
【14:00】レクリエーション・リハビリのサポート、記録など
デイサービスでは、レクリエーションに力を入れる施設が多く、それぞれに特色あるプログラムが行われます。
レクを企画するのは介護職スタッフですが、看護師がサポートに入るこうとも。
利用者さんとの大切なコミュニケーションの時間です。
【16:00】利用者さんのお見送り
朝と同じく、施設によっては看護師も送迎の付き添いに付くことがあります。
【17:30】終業
1日の記録を記入したり、利用者さんの状態についてスタッフ同士で相談したりなど、夕方の業務が終われば終了です。
残業が少ないのもうれしいですね!
「お泊まりデイサービス」がある施設も
デイサービスは日中の時間帯で利用されるサービスですが、そのまま宿泊できる「お泊まりデイサービス」を行っている施設もあります。
お泊まりデイサービスは介護保険の適用外で、利用者さんの自費サービスとなります。
キャリアアドバイザー
お泊まりデイサービスでは、夜間は介護職スタッフ1~2人で対応する施設がほとんどですが、看護師にも夜勤が発生するのかは、きちんと確認しておくのがよいでしょう。
デイサービスで働く看護師の給料
デイサービスの看護師の平均年収・給料、ボーナス、時給について見てみましょう。
※看護roo!「ナースなワタシのお給料」、求人相場、日本看護協会「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査」などから分析)
【常勤】平均年収・給料・ボーナス
デイサービスで働く看護師(常勤)の平均年収は約380万円です。
全体の給料相場は、おおむね上記の通りです。
看護師全体の平均年収(約480万円)と比べると、デイサービスの看護師の年収は100万円ほど低く、決して高いとは言えません。
ですが、給料・年収よりも日勤のみの働き方や仕事内容を重視して転職を決めたというケースが多く、「夜勤なしで負担も少ないので問題ない」「家庭と両立でき、楽しく働けて満足」などと感じられるようです。
【パート・アルバイト】平均時給
デイサービスで働く看護師(パート・アルバイト)の平均時給は1400円。
首都圏などでは比較的高いなどの地域差もありますが、おおむね1200~1800円が相場となっています。
デイサービスで働く看護師のメリット・デメリット
看護師がデイサービスで働くメリット・デメリットをまとめました。
デイサービスで看護師が働くメリット3つ
1日勤のみOK!土日休みもかないやすい
デイサービスで働く一番のメリットは、やはり日勤のみの働き方ができるという点です。
「夜勤がこたえる」という方、「子どもが小さく、家庭との両立を重視したい」という方にオススメです。
また、デイサービスの看護師は常勤の正職員だけでなく、パート・アルバイトなどの求人も多めです。
家庭の事情で長時間の勤務は難しいからと、「午前中だけ」「週3日だけ」といった柔軟な勤務スタイルで働く看護師さんも少なくありません。
老人ホームなどと異なり、デイサービスは土日休み・日曜休みの施設が多いので、週末の休みが取りやすい点もメリットです。
2医療的ケアが少なく、ブランクありでも安心
デイサービスの利用者さんは要介護度や医療ニーズが低いため、医療的なケアのスキルや臨床経験は、そこまで重視されません。
ブランクのある看護師さんも不安を感じることなく、復職しやすい職場でしょう。
実際に「復職・ブランク可」を記載した求人もたくさん出ています。
3高齢者とのコミュニケーション能力がアップ
デイサービスの利用者さんは、要支援1~2・要介護1~2の方の割合が高く、ほかの介護サービスと比べて元気な高齢者が多いという特徴があります。
楽しいコミュニケーションを求めてデイサービスに通われる方も多く、利用者さんによっては、お付き合いが何年にもわたります。
「高齢者の看護やコミュニケーションが好き」「じっくり関わる看護がしたい」「地域医療や予防的な看護介入に関心がある」といった方には、デイサービスが向いているでしょう。
デイサービスで看護師が働くデメリット3つ
1給料が低い
デイサービスの看護師の給料は、病棟勤務の看護師よりも低くなる傾向にあります。
夜勤がない(夜勤手当がない)ことや、医療的なニーズが低い分、看護師としての経験が考慮されにくいことなどが影響しています。
一方で、「日勤で働けることや仕事内容を考えれば、多少給料は下がっても満足」という声が聞かれるのもデイサービスの特徴です。
2看護以外の業務が多く、物足りなさも
デイサービスは、ほかの介護施設と比べても医療的な処置・ケアの業務が少ない施設です。
看護師も、介護職スタッフと同じ業務や機能訓練のサポートにつくことがほとんど。
「看護のスキルアップを目指したい」「看護技術を生かせる場で働きたい」というマインドの方は、デイサービスでは物足りなさを感じるかもしれません。
3「看護師が1人」という不安
デイサービスは医療的な処置が少なくブランクがあっても働きやすい一方で、「施設内の看護師は、自分1人だけ」という環境でもあります。
この点に、不安や心細さを感じる方もいるかもしれません。
ただ、デイサービスの利用者さんは要介護度や医療ニーズが低く、状態の落ち着いた方がほとんどなので、「命にかかわる場面で看護師として責任を背負う」といったことはほぼありません。
また、利用者さんの急変時などは施設のマニュアルが整備されており、看護師はマニュアルに従って協力医の指示をあおぐ、救急車を呼ぶなどの対応をすれば問題ありません。
リハビリ特化型デイサービスやデイケア…デイサービスとの違い
通所型の介護サービスにはデイサービスのほかに、リハビリ特化型デイサービス、デイケアというよく似た3つの施設があります。
リハビリ特化型デイサービス
リハビリ特化型デイサービスは「機能訓練特化型デイサービス」とも言われ、次のような特徴があります。
リハビリ特化型デイサービスでは、一般のデイサービスより、さらに要介護度の低い方が多くなります。
施設の特性上、理学療法士が中心的役割を担うことが多く、看護師は、運動前の健康状態のチェック、機能訓練のサポートなどを行います。
入浴や食事のサービスはありません。
デイケア
デイケアは「通所リハビリ」とも呼ばれ、デイサービスやリハビリ特化型デイサービスより、さらにリハビリに重点を置いたサービスが提供される施設です。
そのため「常勤の医師が配置されている」のが大きな違いです。
デイケアの看護師は、リハビリ前のバイタルサインのチェック、医師の指示にもとづく医療的な処置やリハビリのサポートなどを担います。
このほか、一般的なデイサービスと同じく、利用者さんの健康管理や食事・入浴の介助なども行います。
デイケアでは、医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリスタッフが多く配置されているので、他職種との連携・調整も看護師の大切な役割です。