グループホームは、ワークライフバランスを保ちながら、認知症の高齢者の生活に寄り添った看護ができる人気の職場です。本記事では、グループホームでの仕事内容や看護師の配置基準、給料、メリット・デメリット、オンコール対応などを解説します。

グループホームで働く看護師について解説した記事サマリーのインフォグラフィック。上部にグリーンの背景で「グループホームの看護師」というタイトル。緑色のフレームが4つあり、その右側に疑問を感じている表情をした女性看護師のイラスト。一番上のフレームには「仕事内容は?」と大きく表示されている。2番めのフレームには「配置基準は?」と大きく表示されている。3つめのフレームには「給料は?」と大きく表示されている。4つめのフレームには「求人を選ぶポイントは?」と大きく表示されている。

目次

グループホームとは

グループホームとは、認知症の高齢者が、家庭的な雰囲気で暮らすことができる施設です。

グループホームの正式名称は「認知症対応型共同生活介護」と言い、認知症ケアの専門知識を持った介護スタッフが生活を支援します。5~9名の「ユニット」と呼ばれる少人数のグループで共同生活するのが特徴です。

グループホームは、利用者さんの残存機能を活かしながら、認知症の進行を緩やかにすることを目指しています。料理や洗濯、掃除などの家事は、利用者さんの能力に応じて役割を決めて、利用者さんとスタッフが共同で行います。

看護師にとっては、認知症ケアを医療面から支えながら、日々の生活を通じて利用者さんの人生に寄り添うことができる非常に魅力的な職場です。

グループホームでの看護師の配置基準

実は、グループホームでは看護師を配置する義務はありません。厚労省が配置を義務付けているのは、管理者、介護職員、ケアマネジャーなどです。

しかし、近年では看護師が常駐するグループホームが増加しています。利用者さんが入居時に持病を抱えていたり、生活していく中で医療的ケア(インスリン注射、胃ろうの管理、喀痰吸引、床ずれの処置など)が必要になるケースが多くなっているためです。

グループホームと他の施設の違い

グループホームと特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、有料老人ホームなどとの違いは、「入居対象者」「規模」「ケアの目的」の3つに見られます。

<グループホームと他の施設との比較>

施設名 特別養護老人
ホーム(特養)
介護老人保健施設(老健) グループホーム 有料老人ホーム
入居対象者 65歳以上で要介護3以上の方が原則 65歳以上で要介護1以上の方 認知症と診断された要支援2以上の方で、施設と同じ市区町村に住民票がある方 自立~要介護の方まで
規模 中~大規模(定員30名以上が一般的) 中~大規模(数十名〜100名以上) 小規模(5~9名のユニットが、最大でも3つ27名まで) 小~大規模(施設によってさまざま)
ケアの目的 終の棲家 在宅復帰のためのリハビリ、医療ケア 認知症の進行緩和、その人らしい日常生活の継続 民間の住まい

グループホームで働く看護師の役割と仕事内容

グループホームで働く看護師の役割は、利用者さんが穏やかで健康的な日常生活を送れるようにサポートすることです。

病院とは違い、グループホームは生活する場のため、健康管理や予防医学が主な仕事となります。

  • 利用者さんの健康管理
  • 服薬管理
  • 医療的ケア
  • 介護スタッフへの指示、医療機関等との連携など

利用者さんの健康管理

グループホームで働く看護師の日常的な業務にバイタルサインの測定があります。

バイタル測定自体は介護スタッフも行えますが、看護師には測定だけではなく、利用者さんのちょっとした変化(顔色、食欲、活気、排泄の状況など)から体調の異常を早期に発見することが求められます。

認知症の方は体調が悪くても言葉で正確に伝えることが難しいため、看護師による健康管理はとても重要です。

服薬管理

利用者さんは複数の薬を服用している方が多いため、誤薬を防ぐためにも看護師による服薬の管理が必要です。

食事前の薬のセットとともに、残薬の確認、副作用のチェックも欠かせません。必要に応じて主治医や薬剤師と連携することもあります。

医療的ケア

グループホームで生活をしていると、利用者さんには擦り傷や打撲、皮膚の乾燥、軽度の褥瘡などの健康上のトラブルが起きるので、その処置をします。

また、主治医の指示に従って、インスリン注射や胃ろうの管理、ストーマケア、喀痰吸引などの医療行為も行います。

介護スタッフへの指示、医療機関との連携

グループホームで働く看護師は、上記以外にも次のような業務があります。

  • 介護スタッフへの医療・健康面に関する指導やアドバイス
  • 急変時の初期対応、救急車の要請判断
  • 協力医療機関(提携医)、訪問看護ステーションとの連絡と調整
  • 利用者さんのご家族への健康状態の報告

このように、グループホームで働く看護師は、他職種と連携するチームケアを行うための中心的人物としての役割が求められます。

グループホームで働く看護師の1日のスケジュール

グループホームで働く看護師(常勤、日勤帯)の一般的なスケジュール例をご紹介します。

【9:00】出勤・申し送り

夜勤の介護スタッフから、夜間の利用者さんの様子や体調の変化について申し送りを受けます。

今日の業務スケジュール等をスタッフ全体で共有します。

【9:30】バイタルチェック・巡回

グループホームの利用者さんのお部屋で、ベッドに寝ている利用者さんと会話をしている看護師のイラスト

利用者さんの居室や共有スペースを巡回して、一人ひとりのバイタルサインを測定します。

この時の会話や表情で、その日の体調を把握します。

【10:00】医療処置・服薬管理

必要な医療処置(インスリン注射、胃ろうの経管栄養の準備、創傷処置など)を行います。

昼食後の内服薬の準備や確認も行います。

【12:00】昼食のサポート

誤嚥のリスクがないかなど食事の様子を観察します。

食事量が少ない利用者さんに声をかけたり、必要に応じて食事介助に入ることも。

食後は服薬介助も行います。

【13:00】休憩

スタッフ同士で交代しながら取ります。

【14:00】記録業務・レクリエーション参加

グループホームのリビングで、利用者さんと一緒にボールを使ったレクリエーションをしている看護師のイラスト

午前のバイタルデータや処置の内容、利用者さんの様子などを看護記録(カルテ)に入力します。

介護スタッフが主導するレクリエーション(体操やゲームなど)に参加したり、利用者さんの動きなどを観察します。

【15:00】おやつ・入浴前後の処置

おやつの時間の見守りを行います。

午後に入浴する利用者さんがいる場合、入浴前の体調確認、入浴後の皮膚の保湿などの処置を行います。

【17:00】夕方の申し送り・記録のまとめ

夜勤担当のスタッフに、日中の様子などを詳細に申し送ります。1日の看護記録を最終確認し、整理します。

【18:00】退勤

業務終了です。

急変などがない限り、定時で退勤できることがほとんどです。

グループホームで働く看護師の給料

グループホームで働く看護師の平均年収、給料、ボーナス、時給について解説します。

※看護roo!転職のデータや求人相場などから独自に分析

【常勤】平均年収、給料、ボーナス

グループホームで常勤で働く看護師の給料(月収、ボーナス、年収)の範囲を伝えるインフォグラフィック。左上にオレンジ色のラベルで「常勤」、その右に「グループホームの看護師の給料」というタイトル。緑色のフレームが3つあり、右側に女性看護師の全身イラスト。一番上のフレームは「月収」を表している。その右に「19万~28万円」と大きく表示されている。真ん中のフレームは「ボーナス」を表している。その右に「34万~80万円」と大きく表示されている。一番したのフレームは「年収」を表している。その右に「262万~407万円」と大きく表示されている。画像右下に「※全国平均。地域差があります」という注意書きがある。

グループホームで働く看護師の年収は262~407万円です。

看護師の平均年収(約525万円。厚労省「令和7年度賃金構造基本統計調査」より)と比べると120~260万円ほど低い額です。

病院勤務の看護師に比べてやや低めの給与水準となるのは、グループホームでは夜勤がなく、手当がつかないためです。

必ずしも高給とは言えないものの、「日勤のみでこの給料ならOK」「忙しく働くよりじっくりと一人ひとりに向き合うのが自分には合っている」と感じる看護師さんが多いようです。

【パート・バイト】平均時給

続いて、グループホームでパートで働く看護師の給料です。

グループホームでパート・アルバイトで働く看護師の時給範囲を伝えるインフォグラフィック。左上にオレンジ色のラベルで「パート・アルバイト」、その右に「グループホームの看護師の時給」というタイトル。緑色のフレーム内に「1,200〜1,800円」と大きく表示されている。その右側に笑顔の女性看護師のイラスト。画像右下に「※全国平均。地域差があります」という注意書きがある。

グループホームで働く看護師(パートやアルバイト)の時給は1,200~1,800円す。

都市部のほうが比較的高めになるといった地域差がありますが、おおむね上記が相場となっています。

グループホームで看護師が働くメリット・デメリット

看護師がグループホームで働く場合のメリットとデメリットをご紹介します。

グループホームで看護師が働くメリット3つ

グループホームで働く看護師には、病院の勤務では得られないメリットが数多くあります。そのうちの3つを解説しましょう。

グループホームの看護師のメリットを伝えるインフォグラフィック。上部に青いタイトルラベル「グループホームで働く看護師のメリット」と、笑顔の女性看護師のイラスト。以下の3つのメリットがリストされている。1. ワークライフバランスを保ちやすい、2. 身体的な負担が少ない、3. 長く、深く関わる看護ができる。

1ワークライフバランスを保ちやすい

グループホームはワークライフバランスを保ちやすく、家庭と仕事を両立させやすい職場です。

グループホームの看護師の働き方は「日勤のみ」が主流です。夜勤がないため、生活リズムを整えやすいメリットがあります。

突発的な業務が発生しにくいので、残業はほとんどないか、発生しても月に数時間程度という施設が主流です。

2身体的・精神的な負担が少ない

グループホームは生活の場なので、バタバタと忙しいことはほとんどありません。

病院勤務に比べるとグループホームのスケジュールは緩やかで、医療機器のアラーム音が聞こえることもなく、急変への緊張感も少ないため、肉体的・精神的なストレスが少ない環境です。

3深く、長く関わることができる

グループホームでは、数ヶ月から数年という長い時間で利用者さんと関わります(終の棲家となることもあります)。

慌ただしい病院の急性期病棟ではコミュニケーションを取る時間が限られていますが、グループホームでは一人ひとりとじっくり向き合って、心に寄り添ったケアを行うことができます

先輩からのコメント

認知症ケアの専門的なスキルや知識を身につけたい方、「認知症ケア専門士」の資格取得を目指す方にもグループホームはお勧めです。

グループホームで看護師が働くデメリット・注意点

グループホームで働く看護師には、メリットが多い一方で、いくつかのデメリット・注意点があります。

グループホームの看護師のデメリットを伝えるインフォグラフィック。上部にピンクのタイトルラベル「グループホームで働く看護師のデメリット」と、困り顔の女性看護師のイラスト。以下の3つのデメリットがリストされている。1.看護師が少なく一人での判断が多い、2.医療スキルや手技が低下する不安、3. オンコール対応。

1看護師が少ない

グループホームでは、勤務する看護師が少なく、出勤している看護師が自分一人だけという状況もしばしば。何かあった際に、自分のアセスメント能力を頼りに一人で判断を下さなければならないのでは、というプレッシャーを感じる方もいるかもしれません。

施設には緊急時のマニュアルが整備されている場合が多く、提携病院へ連絡して医師の指示を仰ぐことができます。

2医療スキルや手技が低下する不安

グループホームで行う医療行為は、バイタルチェック、服薬管理、インスリン注射、簡単な創傷処置など、基本的なものが中心。

看護師によっては、「看護師としての腕が鈍ってしまうのでは…」という不安を感じてしまうこともあります。

3オンコール対応がある

グループホームでは夜間や休日に施設からの緊急電話に対応する「オンコール体制」を導入しているグループホームが多く、看護師が不在の夜間や休日にオンコール対応が必要な場合があります。オンコールの担当は、施設によりますが月に5~8回程度と言われています。

オンコール対応がある場合、オフタイムであっても気が休まらず、心理的な負担を感じる方も。

グループホームの看護師に向いている人

グループホームの看護師に向いている方はどんな方でしょうか。次の3つのポイントを参考にしてください。

グループホームに向いている看護師の特徴を伝えるインフォグラフィック。上部にグリーンのタイトルラベル「グループホームに向いている看護師の特徴」と、笑顔の女性看護師のイラスト。以下の3つの特徴がリストされている。1.高齢者とのコミュニケーションが好き、2.生活を支えるケアにやりがいを感じる、3. チームワークを大切にして働きたい。

高齢者とのコミュニケーションが好き

1つめのポイントは、お年寄りとコミュニケーションを取ることが心から好きで、相手のペースに合わせられる方です。

認知症の方との対話は、時に根気が必要になります。効率を優先させず、相手の言葉に耳を傾けて、受け入れる態度で接することができる性格の方が適しています。

生活を支えるケアにやりがいを感じる

2つめのポイントは、最新の医療技術よりも、生活を支える看護にやりがいを見出せることです。

認知症の方の残された機能を活かして、穏やかに生活できるようサポートすることに喜びを感じられる看護師が、グループホームの理念と合致します。

チームワークを大切にして働きたい

3つめのポイントは、チームワークを大切にし、他職種と協調して働ける人であることです。

看護師という立場で上から目線の指示を出すのではなく、介護スタッフの専門性を理解し、スタッフが協力しあってより良いケアを作り上げていこうとする姿勢が不可欠です。

看護師がグループホームの求人を選ぶ際のポイント

グループホームへ転職する際に、求人票や面接で確認したほうがいい重要なポイントをいくつか紹介します。

  • オンコールの有無とその実態
  • 介護業務への関わり方の度合い
  • 医療機関との連携体制

オンコールの有無とその頻度

オンコールがある施設の場合、下記を確認することをおすすめします。

  • 月に何回程度担当するのか
  • 実際に電話がかかってくる頻度はどれくらいか
  • 深夜に施設へ駆けつけるケースは月に何回あるのか
  • オンコール手当の金額はいくらか

オンコール対応の有無と一緒に、具体的な内容を必ず確認しましょう。

介護業務への関わり方の度合い

医療業務と介護業務の兼任について確認しましょう。

看護師は医療業務に専念できる体制なのか、それとも日常的に食事介助や入浴介助などの介護業務も兼任するのか。また兼任の場合はどれくらいの割合になるのかなど、自分の希望する働き方と合致しているか見極めることが大切です。

医療機関との連携体制

医療機関との連携体制を確認することで、一人で判断するプレッシャーがどのくらい軽減されるかがわかります。

提携しているクリニックの医師との関係性や、緊急時の連絡フローがしっかりマニュアル化されているかを把握しておけば、働くことになってからも安心です。

CAコメント

可能であれば「事前の施設見学」を申し込みましょう。見学では、施設の清潔感や設備の充実度だけでなく、すれ違うスタッフの表情や挨拶の様子、そして利用者の様子をチェックします。職場の雰囲気は、文字情報だけではわからない重要な判断材料となります。

よくある質問

グループホームへの転職を検討している看護師の方から、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

病院での臨床経験が浅い(またはブランクがある)のですが、グループホームで働けますか?

臨床経験が少ない看護師や、子育てなどで長期間現場を離れていた看護師も、グループホームで働くことは十分に可能です。

グループホームで求められるのは高度な医療技術ではなく、基本的なバイタルサインの測定や日常的な健康管理、そして利用者とのコミュニケーション能力です。

准看護師でもグループホームで働けますか

准看護師もグループホームで働くことが可能です。多くの施設で准看護師が働いています。

グループホームで働くと残業は少ないのでしょうか?

グループホームで働く看護師の残業は、病院と比較すると少ない傾向にあります。突発的な業務(入院の受け入れや緊急手術など)がなく、スケジュール通りに業務が進みやすいためです。

ただし、利用者が急変して救急搬送に付き添う場合などは、例外的に残業が発生することも。面接時に平均的な月間残業時間を確認することをおすすめします。

グループホームの看護師に夜勤はありますか?

グループホームの看護師募集の求人には「日勤のみ」「夜勤あり」どちらもあります。夜勤を希望しない方は「日勤のみ」の条件の求人を選んでください。

ライフスタイルや目的を考えて、ご希望の条件にマッチした求人を選ぶことが可能です

まとめ

グループホームで働く看護師は、認知症を抱える高齢者が「その人らしく、穏やかに、安心して最期まで生活できる環境」を医療の側面から守り、支えることが役割です。

グループホームは、病院のように最先端の医療機器に囲まれた環境ではありません。しかし、一人ひとりの利用者と家族のように深く関わり、日々の小さな変化に気づいて対応できることは、看護師としてやりがいを感じられる仕事です。

夜勤がなく、残業も少ないため、ワークライフバランスを重視する方にとっては働きやすい環境が整っているのがグループホームの最大の魅力。転職先として、グループホームを選択肢に入れてみるのもよいかもしれません。

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