機能別看護方式は、代表的な看護方式のひとつです。 チームナーシングなどと組み合わせて導入している病院も多くあります。
この記事では、機能別看護方式の基本的な仕組みから、他の看護方式との違い、特徴やメリット・デメリット、自分に合うかどうかを見極めるヒントまで、図や比較でわかりやすく解説します。
機能別看護方式とは?仕組みと特徴
まずは機能別看護方式のキホンについて見ていきましょう。
どんな仕組み?
機能別看護方式は、看護師が採血、点滴、バイタルチェックなどの業務内容ごと(機能別)に役割を分担する方式です。

たとえば、ある看護師は担当患者さんすべてのバイタルサインを測定する、別の看護師は注射・点滴を担当する――というように、看護業務を機能で分けて複数の看護師が役割ごとに1人の患者さんに関わるのが特徴です。
どんな病院・病棟で導入されている?
機能別看護方式は、業務の効率性を最優先できるため、患者数が多く、業務量が多い大規模病院や急性期病棟などで、業務が集中する時間帯などに部分的に活用されることがあるようです。
ただ、機能別看護方式が単独で運用されることは少なく、チームナーシングやプライマリーナーシングなどと組み合わせるのが一般的。たとえば、患者さんの受け持ちはチーム制で行いながら、採血や処置などの業務は機能別に分担するメンバーがいるといったスタイルです。
もともとは戦後の看護師不足を背景に、業務の効率化を優先して生まれた方式であるため、患者さん中心の看護が重視される現代では「古い看護方式」と言われることもあります。
他の看護方式との違いは?
「結局どの方式がどう違うの?」と感じている方も多いはず。
ここでは、よく比較される3つの方式と「機能別看護方式」との違いをまとめてみました。
| 看護方式 | 特徴 | 機能別看護方式との違い |
|---|---|---|
| 機能別看護方式 | バイタル測定、点滴、清拭など看護業務ごとに役割分担し、看護師がそれぞれの担当業務を複数の患者さんに対して行う。 | ― |
| チームナーシング | リーダーを中心にチームで複数の患者さんを受け持ち、協力して看護を提供する。 | チームで分担しながらも患者さん中心で動くため、継続的な関わりと情報共有がしやすい。 |
| プライマリーナーシング | 入院から退院まで1人の看護師が一貫して担当する。 | 患者との関係性を重視する。看護の個別性・連続性が強い。 |
| セル看護方式 | 病棟を小さな単位(セル)に分け、1人の看護師がセルごとの患者さんを包括的にケアする。 | セルごとに分担しながらも各看護師が包括的にケアするため、業務の分断が起きにくい。 |
チームナーシングとの違い
チームナーシングは、リーダーナースを中心に複数の看護師でチームを組み、チームごとに担当患者さんを受け持つ看護方式です。リーダーの指示のもとでメンバーが役割分担しながら動くため、情報共有や連携が重視されるのが特徴です。
一方、機能別看護方式はチームというより「役割単位」で分業する形になります。誰がどの患者を看ているのかが流動的になりやすく、チームナーシングよりも分業色が強いという違いがあります。
ただし、業務内容が明確に分かれているため、自分の役割に集中しやすく、新人でも動きやすいというメリットもあります。
プライマリーナーシングとの違い
プライマリーナーシングは、1人の看護師が1人(または数人)の患者さんを入院から退院まで一貫して担当する看護方式です。患者さんとの関係性を深めやすく、継続的な個別ケアがしやすいのが大きな特徴です。
一方、機能別看護方式では、看護師1人が1人の患者に深く関わることは少なく、患者さんとの関係性が希薄になりやすいという点が異なります。
ただし、効率的に多くの患者さんに対応できるため、処置や手技の経験を積みやすく、技術的な力をつけやすい環境とも言えます。
セル看護方式との違い
セル看護方式は、病棟を小さな単位(セル)に分け、各セルに配置された看護師がそのセルの患者さんを包括的にケアする方式です。看護師がセルに常駐し、観察・ケア・記録などをその場で完結させるため、動線が短く、患者さんとの継続的な関わりを持ちやすいのが特徴です。
一方、機能別看護方式では役割ごとに動くため、個々の看護師が患者の一部分しか見られないことが多く、看護の全体像が見えにくくなるという違いがあります。
ただし、各自の担当業務に集中できることでスピードや正確性が高まりやすく、限られた人員で多くの業務をこなす場面では特に力を発揮します。
実際の現場では、どう組み合わせている?
機能別看護方式は、他の看護方式と組み合わせて使われることが多いようです。よくある組み合わせパターンを見てみましょう。
パターン1:チームナーシング × 機能別看護方式
- 基本はチームで患者さんを受け持つ
- 採血や点滴などの一部業務だけを機能別に分担
例:朝の採血ラウンドは専任の看護師が担当、それ以外はチームで動く
パターン2:プライマリーナーシング × 機能別看護方式
- 基本は受け持ち看護師が継続的にケア
- 効率化が必要な業務のみ機能別で分担
例:患者さんの受け持ちは固定しながら、処置や与薬の一部を機能別で担当
パターン3:繁忙時のみ機能別看護方式を導入
- 通常はチームナーシングやPNS
- 入院が重なった時や緊急対応時に機能別に切り替え
例:退勤時間間際に緊急入院が入った時や救急搬送が続いた時は、バイタル担当・処置担当を明確化
病院見学では「どんな場面で機能別を使っているか」を聞いてみるとよいでしょう。
機能別看護方式のメリット・デメリット

機能別看護方式には、他の看護方式にはない効率性や明確な役割分担といった特徴があります。一方で、患者さんとの関わり方や情報共有の面では注意が必要です。
ここでは、現場でよく言われるメリット・デメリットを整理して紹介します。
機能別看護方式のメリット
業務が効率化しやすい
同じ業務を繰り返すことで動線や手順が洗練され、スピーディーな対応が可能になります。手順に慣れることで患者さんの負担や時間も軽減でき、担当業務での変化にも気づきやすくなります。
新人でも入りやすい
判断を必要としない業務から始められるため、経験が浅くても不安なく取り組めます。少しずつ自信をつけたい人にとって安心感があります。
少ない人数でも業務を回しやすい
業務内容に応じて人員を柔軟に配置しやすく、限られたスタッフでも効率的に運用できる点は現場にとって大きな利点です。
機能別看護方式のデメリット
患者さんとの信頼関係が築きにくい
毎回対応する看護師が変わるため、患者さんが「誰が自分を担当してくれているのか分からない」と不安に感じることがあります。 また、看護師も業務効率が求められるため、対話の時間を十分に確保できず、患者さんの小さな変化や背景を把握しづらくなる場合があります。
チーム内での助け合いがしにくいことも
各自が担当業務に集中するため、他の看護師の状況が見えにくく、業務の助け合いがしにくい雰囲気になることがあります。
責任の所在が曖昧になりやすい
患者ごとの「主担当」がいないことが多く、誰が最終的に判断・報告すべきかが明確でないまま進むリスクがあります。
機能別看護方式は自分に合う?合わない?
機能別看護方式は効率性が高い一方で、患者さんとの関係づくりや看護の連続性に課題もあります。自分の目指す看護や働き方に合っているか、考えてみましょう。
機能別看護方式が合っている人
- ルーティン業務をテキパキこなすのが得意
- 業務が明確に決まっているほうが安心できる
- 多くの患者さんに関わる経験を積みたい
こんなタイプの人にとっては、自分の担当業務に集中できる環境が心地よく、安心してスキルアップを目指せるスタイルといえるでしょう。
機能別看護方式が合わないかもしれない人
- 一人ひとりの患者さんとじっくり関わりたい
- 看護全体の流れを把握しながら働きたい
- チームで相談・協力しながら動くのが好き
こうした考えを持っている人にとっては、患者さんとの関係が築きにくい機能別看護方式に物足りなさを感じるかもしれません。チームナーシングやプライマリーナーシングなど、併用されている看護方式の特徴も踏まえて検討してみましょう。
まとめ|機能別看護方式は業務効率が強み!
機能別看護方式は、業務の効率化や人材配置の最適化に強みを持つ看護方式です。
一方で、患者さんとの関わりや情報共有の面では課題もあり、自分の目指す看護との相性を考えることが大切です。
実際の病院では、複数の看護方式を組み合わせているケースも多くあります。病院見学や説明会では、「どう運用されているか」を確認してみましょう。看護方式にも注目してみると、自分に合った職場選びのヒントが見えてくるかもしれませんね!

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