看護方式は、病棟や看護師の動き方、サポート体制に大きく関わる大事なポイントです。
一般的なチームナーシングやプライマリーナーシングのほか、新しいセル看護方式など、さまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。
この記事では、主要な看護方式6つをまとめて整理し、それぞれの特徴や違いを解説します。どんな人に向いているかも紹介するので、就職先を選ぶときの参考にしてみてください。
看護方式とは?

看護方式とは、病棟でどのように看護師が分担・連携しながら患者さんにケアを提供していくか、その仕組みのことを指します。
「誰がどの患者さんを受け持つか」「どのように情報を共有するか」など、日々の働き方のベースとなります。
看護方式と看護体制の違い
看護方式と混同しやすい言葉に「看護体制」があります。
看護体制とは「看護配置基準」のことです。看護師1人が担当する患者数の基準(7対1、10対1、13対1など)を指します。
一方、「看護方式」はあくまで、現場での動き方や看護業務の進め方に関する仕組みを指します。
看護方式が働き方に影響するのはなぜ?
その病棟がどんな看護方式を取っているかによって、
- 1人で患者さんを受け持つのか
- チームやパートナーと一緒に動くのか
- 看護師同士の連携方法
などが大きく変わります。
そのため、「1日の動き方」「情報共有のスタイル」「新人へのフォロー体制」といった実際の働き方にも影響し、自分に合った職場かどうかを見極めるポイントにもなります。
看護方式の種類は?主な6方式のメリット・デメリット
看護方式は、大きく2つに分けられます。「チームで患者さんを受け持つタイプ」と、「1人または2人の看護師が専任で患者さんを受け持つタイプ」です。
チーム型は複数人で協力し合うスタイルが多く、サポート体制が充実している傾向があります。
一方、専任型はより責任感が求められますが、その分、患者さんとの関係性を深めやすいのが特徴です。

代表的な6つの看護方式を、特徴・メリット・デメリット・向いてる人とあわせて簡単に紹介します。
| 看護方式 | 特徴 |
|---|---|
| チームナーシング | 看護師数名でチームを組み、チーム全体で複数の患者さんを担当する。 |
| モジュールナーシング | 看護師を小グループ(モジュール)に分け、モジュールごとに特定の患者さんを入院から退院まで継続して専任で担当する。 |
| 機能別看護方式 | 「処置」「清拭」「与薬」など業務内容ごとに役割を分担。患者単位ではなく業務単位で担当する。 |
| セル看護方式 | 病棟を小さな単位(セル)に分け、各セルに1人の看護師が常駐して、そのセル内の患者さんのケアを行う。 |
| PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム) | 看護師2人1組でパートナーを組み、患者さんを担当。日々の業務をパートナーと共に行う。 |
| プライマリーナーシング | 1人の看護師が特定の患者さんを専任で担当。入院から退院まで継続して受け持つ。 |
チームナーシング

チームナーシングは、看護師数名でチームを組み、複数の患者さんを分担してケアする看護方式です。
リーダー看護師がチーム全体の業務を統括し、メンバーそれぞれに役割を割り振ります。情報共有と連携を重視するスタイルで、多くの病院で採用されています。
【メリット】
- 新人看護師も先輩のサポートを受けやすい
- チーム内で情報を共有しやすい
- 患者さんに対して複数の看護師が関わるためミスを防ぎやすい
【デメリット】
- チームワークが不十分だと連携ミスが起きやすい
- 患者さんとの継続的な関係が築きにくい
- 複数のメンバーが関わるため、人間関係のストレスを感じやすい
こんな人に向いている
- チームで協力しながら働きたい人
- 役割や指示が明確な環境で安心して動きたい人
- わからないことを素直に相談できる人
モジュールナーシング

モジュールナーシングは、病棟全体の看護師を2つ以上のチームに分け、さらにそのチームを細分化し、少人数のチームで入院から退院まで一貫した看護を提供する方式です。
「チームナーシングの柔軟性」と「プライマリーナーシングの継続性」を併せ持った日本独自の看護方式として発展してきました。少人数のチーム編成により連携がとりやすくなると同時に、患者さんと看護師の距離も近くなるため、病棟の規模が大きい場合にも機能しやすいスタイルです。
【メリット】
- 小人数のため、連携がとりやすい
- 継続した看護を実践できる
- 新人もサポートを受けやすい
【デメリット】
- スタッフの配置や役割分担に工夫が必要
- 他モジュールとの連携が不足すると、情報の断絶が起きやすい
- モジュールごとに業務量に偏りが出ることも
こんな人に向いている
- 少人数のチームで密に連携したい人
- 同じ患者さんとじっくり関わりたい人
- 報告や相談をしながら看護を進めたい人
機能別看護方式

機能別看護方式は、看護師が業務ごとに役割を分担し、「処置担当」「清拭担当」「与薬担当」などに分かれて動く方式です。
作業の効率を重視しており、同じ作業を繰り返すことで技術を高めやすい一方、患者さんとの継続的な関わりが薄くなる傾向があります。
かつては多くの病院で導入されていましたが、現在は他の看護方式と組み合わせて使われることが増えています。
【メリット】
- 作業効率が高い
- 特定のスキルを集中して習得できる
- 新人看護師も入りやすい
【デメリット】
- 看護全体の流れを把握しにくい
- 患者さんとの関係性が浅くなりやすい
- 患者さんごとの主担当がおらず、責任の所在が曖昧になりやすい
こんな人に向いている
- 特定の処置や技術を集中して身につけたい人
- ルーティン業務をテキパキこなすのが得意な人
- 業務が明確に決まっているほうが安心できる人
セル看護方式

セル看護方式は、病棟をいくつかの小さな単位(セル)に分け、1人の看護師が担当セルに常駐してケアを提供する方式です。
看護師が患者さんのそばに常にいる状態を基本とし、観察・ケア・記録などの業務を受け持ちのセルで完結させます。2013年に開発・導入された新しい看護方式で、急性期病院や効率化を重視する施設を中心に、全国の病院で導入が進んでいます。
【メリット】
- 動線が短く、ナースステーションへの往復が減るためムダが少ない
- 受け持ちが明確で動きやすい
- 常に患者さんのそばにいるためナースコール対応の負担が減る
【デメリット】
- セル間での助け合いが少ないと、孤独に感じることも
- 新人はプレッシャーを感じやすい
- 病院によって運用方法の差が大きめ
こんな人に向いている
- 責任を持って自分の仕事を完結させたい人
- コツコツと計画的に仕事を進めるのが得意な人
- 患者さんとじっくり関わりたい人
プライマリーナーシング

プライマリーナーシングは、1人の看護師が特定の患者さんを入院から退院まで継続して受け持つ方式です。
看護過程のすべて(アセスメント・計画・実践・評価)を担当看護師が一貫して行います。慢性期病棟や在宅移行支援など、継続的な関係性が重視される場面で採用されやすい方式です。
【メリット】
- 一貫したケアができ、患者さんとの信頼関係が築きやすい
- 患者さんの小さな変化に気づきやすい
- 自律的な判断力を身につけやすい
【デメリット】
- 担当看護師の負担が大きい
- 担当看護師の不在時にフォローできる体制が必要
- 患者さんとの相性や個人の経験差でケアに偏りが出る
こんな人に向いている
- 責任を持って最初から最後まで看護したい人
- 患者さんとじっくり関わって信頼関係を築きたい人
- 自分で考えて行動することが好きな人
PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)

PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)は、看護師が2人1組の固定のペアを組んで行動する方式です。
日々の業務をペアで分担しながら協力して進めるため、常に相談・確認がしやすい環境が整っています。多忙な急性期病棟や、新人の多い大学病院などで導入されることが増えています。
【メリット】
- 常に確認・相談しながらケアできる
- 業務の分担や役割調整が柔軟
- 新人看護師も成長しやすい
【デメリット】
- パートナーと相性が合わないとつらい
- シフト調整が難しい
- 一方の経験に頼りすぎると成長が偏る
こんな人に向いているメリット
- ダブルチェックを重視し、安全性を高めたい人
- 常に相談しながら安心して働きたい人
- 先輩の技術を間近で学びたい人
PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)を詳しく知りたい方はこちら
組み合わせ方式(ハイブリッド型)もある
実際の現場では、これらの方式を組み合わせて導入している病院も少なくありません。
たとえば「チームナーシング+PNS」や「モジュールナーシング+プライマリーナーシング」、「チームナーシング+機能別看護方式」など、現場の人員や方針に合わせて柔軟に運用されています。
就活で看護方式に注目するポイントは?

就活で病院を選ぶとき、看護方式のどんなところに注目すればよいのでしょうか。
ここでは、看護方式が「自分のやりたい看護」とマッチしているかを見極めるための3つの視点を紹介します。
受け持ちのしかた(1人で受け持つかチームで分担か)
「患者さんを自分1人でしっかり担当したい」と思う人は、プライマリーナーシングやセル看護方式のような“専任型”が向いています。
一方、「みんなで情報を共有しながら支え合いたい」という人は、チームナーシングやPNSなど“チーム型”の方が安心して働けるかもしれません。
フォロー体制の違い(新人が支援を受けやすいか)
看護方式によって、新人への支援体制も変わってきます。
PNSではペアで動けるため常に先輩に相談しやすく、チームナーシングでも複数人で新人を見守るスタイルが一般的です。
プライマリーナーシングでは個人の責任が明確なぶん、自分から声を出す力も求められます。
動き方・情報の流れ(連携・報告のしやすさ)
チーム型では申し送りや情報共有の仕組みが整っている一方、専任型は自分の判断で主体的に動く場面が増えます。
どちらが自分に合っているか、「丁寧に報告を受けながら動きたい」「ある程度任されて主体的に動きたい」など、自分の性格と照らし合わせて考えることが大切です。
病院見学・説明会で確認したいこと
就活で病院を訪れたときは、以下のような質問をしてみると、働き方のイメージがつかみやすくなります。
見学・説明会での質問例
- 「病棟ではどの看護方式を採用していますか?」
- 「新人看護師のサポート体制はどうなっていますか?」
- 「看護方式は病棟によって違いますか?」
- 「複数の方式を組み合わせていますか?」
看護方式の名前だけで判断せず、実際の働き方や教育体制まで確認することで、自分に合った職場かどうかを見極めやすくなるでしょう。

病院の見学会・インターンシップに行ってみよう
まとめ|看護方式を知ると、働き方のイメージがつかみやすくなる
看護方式は、“どんなふうに働くか”を左右する大事な要素です。
就活のときに「この病棟はどんな方式で動いているのか」を知っておくことで、入職後のギャップを減らすことができます。説明会や見学で質問する際にも役立ちます。
「この方式が気になる」「自分に合うのはどれだろう?」と思ったら、ぜひ各方式の詳しい解説記事もチェックしてみてくださいね。



