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プライマリーナーシングとは

プライマリーナーシングとは|メリット・デメリットと他方式の違い

#病院選び #働き方 #教育・制度

就活中に「プライマリーナーシング」を導入しているという病院を目にして「どんな体制なんだろう」とイメージがつかない看護学生さんも多いのではないでしょうか。

プライマリーナーシングは、患者さんの入院から退院まで一貫して関われるため、「患者さんとじっくり関わりたい」「責任を持って看護したい」と考える看護師さんに向いている看護方式です。

この記事では、プライマリーナーシングの基本から、他の看護方式との違い、メリット・デメリット、就活で確認しておきたいポイントまで、わかりやすく解説します。

プライマリーナーシングとは

プライマリーナーシングとは、「ひとりの看護師が、ひとりの患者さんを入院から退院まで継続して受け持つ看護方式」です。

1970年代にアメリカで始まった看護方式で、日本でも看護の質を高める方法の一つとして導入されています。

プライマリーナーシングでは、患者さんと深く関わりながら、看護過程のすべて(アセスメント・計画・実践・評価)を担当看護師が責任をもって行います

このような関係性を通して、より個別性の高いケアが可能になると考えられています。

プライマリーナーシングと他の看護方式との違い

プライマリーナーシングは他の看護方式と何が違うのでしょうか? それぞれの特徴を比較してみましょう。

看護方式特徴プライマリーナーシングとの違い
プライマリーナーシング1人の看護師が1人の患者さんを入院から退院まで一貫して担当する。
チームナーシングリーダーナースを中心にチームで分担・協力して看護を提供する。情報共有と連携が重視される。担当看護師1人ではなく、チーム全体でケアを行うため、多くの場合で担当する患者さんが毎回変わる。
固定チームナーシング同じメンバーで固定チームを組み、同じ患者さんを継続的に看護する。看護師1人ではなく、チームで患者さんを担当するが、チームメンバーは固定。スムーズな情報共有・統一されたケアができる。
PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)看護師2人がペアで患者さんを受け持つ。対等なパートナー制。ペアで患者さんを担当するため、1人で担当するより業務分担・相談・サポートがしやすい。
モジュールナーシング看護師2〜3人の小グループ(モジュール)で患者さんを担当する。PNSに似ている。小グループでケアを行うため、PNSと同じく、1人で担当するより業務分担・相談・サポートがしやすい。

どの看護方式にもメリット・デメリットがあり、病院の規模や理念、病棟の性質によって採用している方式は異なります。

チームナーシングとの違い

チームナーシングは、病棟全体で患者さんを支える方式です。リ―ダーを中心にメンバー間で情報共有や業務分担ができる一方、患者さんに関わる看護師が複数になるため、患者さんにとっては担当看護師がわかりにくい面があります。

プライマリーナーシングは、入院から退院まで1人の看護師が受け持つ分、患者さんの細かな変化に気づきやすく、個別に対応しやすいのが特徴です。

【図解あり】チームナーシングとは?看護方式の仕組み・特徴・他方式との違いをやさしく解説
チームナーシングとは?仕組みと特徴をわかりやすく解説。就活前に知っておきたい他の看護方式との違い、メリット・デメリットも紹介します。

固定チームナーシングとの違い

固定チームナーシングは、同じメンバーでチームを組み、患者さんを受け持ちます。看護師同士で協力・サポートしやすい反面、チームナーシングと同様に複数の看護師が関わるため、患者さんからは誰が担当看護師なのかが分かりづらいことがあります。

プライマリーナーシングでは担当看護師が1人であるため、患者さんが「いつも同じ人が自分を見てくれる」という安心感を得やすくなります。

PNSやモジュールナーシングとの違い

PNS(パートナーシップ・ナーシング)はペア、モジュールナーシングは2~3人のグループで患者さんを受け持つ看護方式です。

チームナーシングよりも少人数で受け持ちます。1人で受け持つプライマリーナーシングに比べると負担が分散されやすく、相談したりサポートしやすい点が特徴です。

プライマリーナーシングは、チームナーシングやPNSなどと併用されるケースが多いようです。
就職先を選ぶときは、看護方式が自分の希望する働き方や価値観に合っているか、病院見学や説明会で確認するのがおすすめです。
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プライマリーナースの役割と業務内容

プライマリーナースとは、患者さんを入院から退院まで一貫して受け持つ担当看護師のことです。プライマリーナースは、次のような業務を担います。

  • 入院時のアセスメントと担当決定
    入院直後に患者さんの状態や生活背景を把握し、情報を収集・分析します。この時点で誰がプライマリーナース(担当看護師)になるか決まることが多く、患者さんの重症度や治療内容、看護師の経験年数などを考慮して割り振られるのが一般的です。
  • 看護計画の立案
    アセスメントをもとに、その患者さんに合わせた目標と看護計画を立てます。
  • ケアの実践
    立案した看護計画に沿って、観察・清潔ケア・服薬管理などを行います。小さな変化も見逃さず、医師に報告したり、ケア内容を調整したりします。
  • カンファレンスでの共有
    病棟全体に経過を報告し、情報を共有します。プライマリーナースが不在のときは他の看護師が対応できるようにするほか、必要に応じて他職種とも連携します。
  • 看護計画の評価と調整
    週1回、月1回など定期的に看護計画を評価して、状態変化に合わせて計画を見直し、修正します。
  • 退院支援
    患者さんの自宅の状況や必要な支援を把握し、退院に向けた生活指導、家族への説明などを行います。医療機器、薬や食事管理など、退院後を見据えた準備を整えます。
  • 記録・報告
    看護記録を残し、医師や他職種と情報を共有します。

プライマリーナースが不在のときは「アソシエイトナース」が代行します。アソシエイトナースとは、プライマリーナースの補助をしつつ、患者さんのケアを引き継ぐ看護師のことです。これにより患者さんは、入院中に安定した看護が受けられます。

プライマリーナーシングのメリット・デメリット

プライマリーナーシングのメリット・デメリットを理解しておくと、就活中に「自分がどんな看護師として働きたいか」をイメージしやすくなります。病院選びの判断材料に役立ててみましょう。

プライマリーナーシングのメリット

患者さんとの信頼関係を築きやすい

同じ看護師が継続して担当することで、患者さんは「自分のことを理解してくれている」という安心感を持ちやすくなります。患者さんの生活背景や価値観を深く理解できるため、個別性の高いケアが可能となり、患者さんの満足度も向上します。

小さな変化に気づきやすい

毎日、同じ看護師が観察することで、些細な体調の変化や表情の違いに気づきやすくなります。病状の進行や回復の兆しを早期に察知できるでしょう。

自己成長ややりがいにつながる

看護過程を一貫して担うため、臨床判断力や責任感が養われます。「1人の患者さんを最初から最後まで看た」経験は大きな自信となり、キャリア形成にもつながります。

プライマリーナーシングのデメリット

看護師のスキルや相性がケアの質に影響する

チームでケアを提供する体制と違って、プライマリーナーシングでは、担当看護師の経験やスキルが、そのままケアの質に直結します。また、患者さんと看護師の相性が影響する面も。情報共有やチームでのフォロー体制が重要となります。

担当看護師の負担が大きい

1人で患者さんを担当するため、精神的・身体的プレッシャーが大きくなりがちです。長期入院の患者さんを受け持つ場合や、夜勤時に担当患者数が多い場合は、特に負担を感じやすくなります。周囲のサポートや勤務体制の工夫が必要です。

不在時の対応が課題になる

休暇や勤務シフトで担当看護師が不在のとき、情報共有が不十分だと、患者さんが継続したケアを受けられません。体調変化に気づきにくくなったり、患者満足度が下がったりする恐れがあります。

プライマリーナーシングに向いている人・向かない人

プライマリーナーシングに向いている人・向かない人は、どんなタイプでしょうか? 自分の考え方や働き方の好みを振り返りながらチェックしてみましょう。

向いているタイプ

  • 患者さんとじっくり関わり、信頼関係を築くことにやりがいを感じる人
  • 自分で考えて行動することが好きな人
  • 患者さんの人生の一部を預かる責任感を前向きに捉えられる人

向いていないかもしれないタイプ

  • 責任を1人で負うことにプレッシャーを感じやすい人
  • チームで分担して働く方が安心できる人
  • コミュニケーション能力に自信がない人

プライマリーナーシングは、患者さんと深く関わりたい気持ちや、自ら考えて行動する姿勢がある人に向いています

一方で、責任を一人で抱えることに不安がある場合や、コミュニケーションを苦手とする人は、戸惑いやすいかもしれません。

ですが、プライマリーナーシングでも、担当看護師のサポート体制が整った職場で経験を積めば、少しずつ自信を持てるようになり、やりがいを感じる場面も増えていきます。自分の性格や働き方の好みを理解し、補える環境を選ぶことが大切です。

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プライマリーナーシングの就活ポイントと志望動機【例文あり】

プライマリーナーシングを導入している病院を志望するときは、教育体制や働き方を理解しておくことが大切です。ここで紹介する内容を参考に、病院見学やインターンシップでの質問、面接での志望動機を準備しておきましょう。

病院見学・面接で確認したいこと

  • プライマリーナーシングは単独で運用していますか? 他の方式と併用ですか?
  • 看護師1人の担当患者数は平均で何人くらいですか?
  • アソシエイトナースの役割はどのようになっていますか?
  • 新人看護師が患者さんを受け持つのは何年目からですか?
  • 教育体制やOJTの内容を教えてください

これらを事前に把握することで、現場での具体的な働き方や、入職後に自分がどのように成長できるかをイメージしやすくなります。

プライマリーナーシングの志望動機

「プライマリーナーシングで働きたい」という気持ちは、志望動機として具体的に伝えられると、面接でも説得力を持たせられます。特に、以下のポイントに沿って自分の経験や価値観と結びつけて話すと効果的です。

    プライマリーナーシング
    志望動機のポイント例

    • 患者さんとの関係性に魅力を感じた
      継続的に関わることで信頼関係を築ける点を自分の価値観や看護観と結びつけて伝える。
    • 「責任を持つことにやりがいを感じる」
      入院から退院まで一貫して看護過程を担う経験を通じて成長したいという意欲を示す。
    • 「将来的なキャリアを見据えている」
      判断力や臨床スキルを磨ける環境で学びたい、将来的にリーダーや指導者として活躍したいという希望を表現する。

        【例文】
        私は患者さんと長く関わり、信頼関係を築ける看護を実践したいと考えています。

        プライマリーナーシングは入院から退院まで責任を持って関われるため、自分の理想に合った看護方式だと感じています。患者さんの小さな変化に気づける力を磨き、将来的にはチームをリードできる看護師に成長していきたいです。

        就活学生向け!プライマリーナーシングのよくある質問

        プライマリーナーシングを導入する病院の就職を検討する看護学生さんのよくある質問を紹介します。

        新人看護師もプライマリーナースを担当しますか?
        新人看護師が入職してすぐに1人で患者さんを受け持つことは基本的にありません。多くの場合、3〜4年目以降にプライマリーナースとして本格的に担当するようになります。
        その間は「アソシエイトナース」として、先輩看護師の補助を受けながらケアやアセスメントを学びます。少しずつ判断や看護計画の作成にも関わることで、段階を踏んでスキルを身につけられる仕組みです。
        そのため、いきなりすべてを任される心配はほとんどありません
        プライマリーナーシングを導入している病院は多いですか?
        プライマリーナーシングを単独で導入している病院は少数派で、多くはチームナーシングやPNSなどと併用されています
        中にはプライマリーナーシングをベースとして、患者さんに合わせていくつかの看護方式を選択できる独自のシステムを導入している病院もあります。
        就活の際には、単独か併用かを確認すると現場の働き方を具体的にイメージできるでしょう。

        まとめ|働き方を知ることが納得の就活につながる

        プライマリーナーシングは、患者さんと深く関わり、看護の質を高められる看護方式です。担当としての責任や負担もある分、やりがいや達成感は大きく、看護師として成長につながります

        一方で、すべての人に合うわけではありません。だからこそ、「自分がどんな働き方をしたいか」を知ることが、納得のいく就職につながります。

        プライマリーナーシングに興味を持った看護学生さんは、ぜひ病院見学会やインターンシップに参加してみましょう! 実際の雰囲気や教育体制を体感することで、自分に合った職場を見極めやすくなります。気になる病院のイベント情報をぜひチェックしてみてください。

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        榎本なつみ
        看護師ライター
        榎本なつみ
        看護大学を卒業後、総合病院のICU・CCUで7年勤務。家族看護の大切さを学んだ経験から訪問看護師へ。地域に根ざしたケアで利用者様・ご家族をサポートしながらライターとしても活動。

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