就職先を選ぶとき、「福利厚生って何を確認すればいいの?」「どのくらい重視すべき?」「どんな制度があると働きやすいの?」と迷う看護学生さんも少なくありません。
福利厚生には、看護師寮や住宅手当、休暇制度、研修支援などさまざまな種類があります。
この記事では、看護学生が就活でチェックしておきたい看護師の福利厚生について、主な種類や優先したい制度、説明会などで確認したいポイントを解説します。
病院選びで福利厚生は重視すべき?
福利厚生は、看護師になったあとの生活のしやすさや働きやすさに関わるため、病院選びで重視したいポイントの一つです。実際に、多くの先輩看護師が就活時に福利厚生を重視して病院を選んでいます。
看護roo!が実施したアンケートでは、先輩たちが就活で重視した項目として、「立地・通いやすさ」に次いで「給与・待遇・福利厚生」が多い結果となっています。
先輩看護師が就活で1番重視したポイントは?(投票数3,912票)
- 立地・通いやすさ(39%、1,527票)
- 給与・待遇・福利厚生(15%、610票)
- 人間関係・職場の雰囲気(9%、377票)
- やりたい看護・やりがい(7%、278票)
- 実習先だった(6%、248票)
- 教育・研修体制(6%、238票)
- 休み・勤務体系(3%、141票)
- 規模・設備(2%、108票)
- その他(9%、385票)


看護師の福利厚生とは?どんな種類がある?

福利厚生とは、病院が職員の生活や働きやすさを支えるために、給料とは別に用意している報酬やサービスなどの制度です。
福利厚生は、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つに分けられます。法定福利厚生は法律で定められた制度で、法定外福利厚生は病院が独自に設けている制度です。
法定福利厚生は、病院ごとで大きな差は出にくい一方、法定外福利厚生には病院ごとの特色が出やすいのが特徴です。
法定福利厚生の種類
代表的な法定福利厚生には、次のようなものがあります。
- 健康保険
病気やケガで医療機関を受診したときに、医療費の自己負担を軽くする制度です。保険料は、本人と病院が半分ずつ負担するのが基本です。 - 厚生年金保険
将来受け取る年金に関わる制度です。毎月の給与に応じて保険料が決まり、本人と病院が半分ずつ負担します。 - 雇用保険
失業したときや育児休業を取得するときなどに、生活を支える給付を受けられる制度です。保険料は、本人と病院がそれぞれ決められた割合で負担します。 - 労災保険
仕事中や通勤中のケガ・病気に備える制度です。保険料は病院側が負担し、職員本人の負担はありません。 - 介護保険
介護が必要になったときのサービス利用を支える制度です。40歳になると保険料の支払いが始まり、本人と病院が半分ずつ保険料を負担します。 - 子ども・子育て拠出金
児童手当など、子育て支援に必要な費用の一部にあてられるものです。厚生年金保険の被保険者を雇用する事業主が負担するもので、職員本人の給与から引かれるものではありません。
法定外福利厚生の種類
法定外福利厚生は、法律で一律に決められているものではないため、内容や手厚さは病院によって異なります。
理想の生活や働き方を想像し、自分なりの優先順位を決めて、各病院の用意している制度を比較してみましょう。
住宅・通勤を支える福利厚生
- 看護師寮
病院が用意している寮に、一般的な賃貸物件より安い費用で住める制度です。築年数、設備、入寮できる年数などは病院によって異なります。 - 住宅手当・家賃補助
職員に対して家賃やローンの一部を補助する制度です。支給額の上限や「本人が世帯主であること」など、支給条件は病院によって異なります。 - 引っ越し費用補助
遠方から就職する場合に、引っ越し費用の一部を病院が補助する制度です。就職のために引っ越しが必要な人は、補助の対象になるか確認しておくと安心です。 - 通勤手当
自宅から病院までの交通費を補助する手当です。電車・バス代のほか、自動車やバイクのガソリン代などを支給します。上限など、補助のルールが決められていることが多いようです。
生活・食事を支える福利厚生
- 職員食堂
院内の食堂を職員価格で利用できる制度です。食費を抑えられるだけでなく、お弁当を用意する手間も省けます。 - 夜勤時の食事補助
夜勤中の食事や軽食を支給してもらえたり、食事代の一部を補助してもらえたりする制度です。 - 売店・院内施設の割引
病院内の売店やカフェなどを職員価格で利用できる場合があります。日々のちょっとした出費を抑えやすくなります。
健康管理を支える福利厚生
- 健康診断
職員の健康状態を確認するために、定期的に行われる検査です。検査項目の内容や、追加検査を受ける際の補助は病院によって異なります。 - 予防接種費用補助
インフルエンザワクチンなど、感染対策に関わる予防接種の費用を補助する制度です。 - 医療費補助・診察費補助
自院や関連施設を受診したときに、医療費や診察費、処方薬代の一部を補助してもらえる制度です。本人だけでなく、家族も対象になる場合があります。
休暇・働き方を支える福利厚生
- 特別休暇
結婚、忌引き、災害時など、通常の有給休暇とは別に取得できる休暇です。どのような場合に使えるかは病院によって異なります。 - リフレッシュ休暇
心身のリフレッシュを目的に、「年に1回・1週間」など、決まった回数でまとまった休みを取れる制度です。 - 産休・育休制度
出産や育児のために休業できる制度です。法律で定められた制度に加えて、取得しやすさや復職後のサポート体制は病院によって差があります。 - 時短勤務・短時間正職員制度
育児や介護などの事情に合わせて、勤務時間を短くしながら働ける制度です。対象条件や利用できる期間、正職員として働き続けられるかは病院によって異なります。 - バースデー休暇
誕生日月などに特別休暇を取得できる制度です。病院によっては、職員の満足度向上のために設けている場合があります。
教育・キャリアを支える福利厚生
- 研修・学会参加支援
院内での研修実施もしくは、院外研修や勉強会、学会などの参加費用を一部または全額補助する制度です。参加費だけでなく、交通費や宿泊費なども対象になるか、勤務時間として扱われるかも確認しておくとよいでしょう。 - 資格取得支援
認定看護師や専門看護師など、将来のキャリアアップにつながる資格取得を支援する制度です。対象資格や支援額、研修・通学期間中の勤務扱いは病院によって異なります。
お金・ライフイベントを支える福利厚生
- 退職金制度
一定期間働いた職員に対して、退職時にお金が支給される制度です。対象になる勤続年数や支給額の計算方法は病院によって異なります。 - 財形貯蓄制度
給与から一定額を天引きして、計画的に貯蓄できる制度です。結婚やマイホームなどの資金として、ライフプランに合わせて引き出すことも可能です。 - 企業型確定拠出年金制度
厚生年金とは別に、将来に向けた資産づくりをサポートする制度です。病院が勤続年数や役職などに応じた掛金を積み立ててくれます。自費で掛金を上乗せできる場合もあります。 - 家族手当・扶養手当
扶養している家族がいる職員に対して、一定額が支給される制度です。新卒のうちは対象にならない人も多いですが、将来のライフステージを考えるうえでは確認しておきたい制度です。 - 祝い金・慶弔見舞金
結婚や出産などのお祝いごと、家族の不幸、病気や災害などの際に、一時金が支給される制度です。支給対象や金額は病院によって異なります。
育児・介護との両立を支える福利厚生
- 院内保育所
病院内や病院近くの保育施設に子どもを預けられる制度です。 - 保育手当
外部の保育園や託児サービスを利用する際に、費用の一部を補助する制度です。対象年齢や補助額は病院によって異なります。 - 病児保育・夜間保育
子どもが体調を崩したときや、夜勤・遅番の時間帯に子どもを預けられる保育支援です。 - 学童制度
小学生の子どもを預けられる制度です。院内保育所は未就学児が対象の場合が多いため、子どもが小学生になっても預け先を確保できます。 - 介護休業・介護支援制度
家族の介護が必要になったときに、休業や勤務時間の調整ができる制度です。将来的に長く働き続けるうえでは支えになるでしょう。
その他の福利厚生
- 保養所・提携施設の割引
提携している宿泊施設やレジャー施設を、割引価格で利用できる制度です。 - 社員旅行補助
病院や職員団体などが実施する社員旅行に対して、費用の一部を補助する制度です。 - クラブ活動・イベント
職員同士の交流を目的に、クラブ活動や院内イベントを行っている病院もあります。 - 職員割引・提携サービス
ジム、映画、買い物などのサービスを割引価格で利用できる制度です。病院や運営母体によって内容はさまざまです。
看護学生が就活で優先して見たい福利厚生4選

数ある福利厚生の中でも、看護学生がまずチェックしたいのは「家賃補助・看護師寮」「キャリアアップ支援」「休暇制度」「ライフイベントに応じた制度」の4つです。
いずれも入職後の生活のしやすさや働き方に直結し、恩恵を受ける機会が多い制度です。それぞれ確認したいポイントとあわせて紹介します。
家賃補助・看護師寮
初めて一人暮らしをする人にとって、家賃は毎月の大きな固定費です。
家賃補助や看護師寮があると、生活費を抑えやすく、入職後の貯金や暮らしの余裕にもつながります。
確認したいポイント
<家賃補助>
- 上限額
- 支給条件
<看護師寮>
- 家賃、立地、間取り
- 総戸数や空き状況
- 入れる年数
- 門限や来客ルールの有無
- プライベートの自由度
一人暮らしか看護師寮かで迷っている方は、次の記事を参考にしてみてください。

キャリアアップ支援
キャリアアップ支援の体制が充実していると、理想のキャリアプランを実現しやすくなります。
キャリアアップのハードルが下がれば結果的に、給与アップや転職もしやすくなるでしょう。
確認したいポイント
- 補助の内容、範囲
- 学会や勉強会への参加は勤務扱いかどうか
- 資格取得支援の対象と内容

休暇制度
休暇制度は働きやすさや、プライベートを充実させられるかに関わる大切なポイントです。
同じ制度があっても、実際の取得状況や希望が通るかどうかは病院によって大きく異なるため、説明会や見学会で確認しておきましょう。
あわせて、有給や希望休の取りやすさを聞いてみるのもおすすめです。
確認したいポイント
- 休暇制度を申請しやすい雰囲気はあるか
- 希望休や連休の取りやすさ
- 有給、休暇制度の取得率
- 1年目から休暇制度を利用できるか

ライフイベントに応じた制度
入職直後だけでなく、将来を想像した長い視点で就職先を選べるとより安心です。
すぐに利用できるわけではなくても、結婚や出産、育児、介護など、ライフイベントに応じた制度があるかどうかは、長く働き続けるうえで大切なポイントになります。
確認したいポイント
- 思い描くライフプランに沿った制度がどのくらいあるか
- 時短勤務制度の取得実績
- 院内保育所の有無


自分に合った福利厚生のある病院を探してみよう!
福利厚生を調べるときの4ステップ

病院選びで福利厚生を調べるときは、以下の4ステップで進めてみましょう。
資料請求やホームページで情報収集
福利厚生を調べるときは、まず病院の採用パンフレットやホームページ、求人票を確認しましょう。
看護師寮、住宅手当、研修支援、休暇制度など、どのような制度があるかをざっくり把握できます。
気になる病院は質問して詳細を確認
「家賃補助あり」「リフレッシュ休暇あり」などと書かれていても、詳細や条件まではわからないことがあります。
気になる病院の説明会や病院見学に参加し、利用条件や実績など、詳しい内容を担当者や先輩看護師に質問して確認してみましょう。

説明会・見学会に参加してみよう
自分に合った制度かを整理
福利厚生は、多ければ多いほどよいというものではありません。必要な制度は人によって異なります。
たとえば、次のように自分の状況や将来像と照らし合わせて考えてみましょう。
- 認定看護師などの資格に興味がある
→資格取得支援や研修制度を優先 - プライベートや趣味の時間を大切にしたい
→休暇制度や希望休の取りやすさを優先 - 将来は結婚・子育てをしながら働きたい
→産休・育休の取得実績や院内保育所を優先
優先順位を整理しておくと、病院ごとの福利厚生を比較しやすくなり、説明会で質問すべきこともはっきりします。
給与や通いやすさなど、他の条件と合わせて比較
福利厚生は大切なポイントですが、給与や通いやすさ、教育体制、職場の雰囲気などとあわせて、総合的に判断しましょう。
福利厚生が充実していても、通勤に時間がかかったり、教育体制が合わなかったりすると、入職後の働きやすさに影響するためです。
たとえば、住宅補助が少なくてもその分、基本給が高く設定されるケースもあります。他の条件も比較して、一番魅力的に思える病院を探してみましょう。
看護師の福利厚生に関するよくある質問
福利厚生だけで働きやすい職場かどうかは判断できません。
福利厚生は生活しやすさを支える大切な要素ですが、働きやすさには教育体制、配属先の雰囲気、残業時間、休みの取りやすさなども影響します。
福利厚生は判断材料の一つとして、他の条件とあわせて確認しましょう。
一般的には、総合病院や大学病院など規模の大きい病院のほうが、看護師寮、住宅手当、研修支援、院内保育所、退職金制度などが充実している傾向があります。
一方で、クリニックは福利厚生の種類は少なくても、日勤中心で働きやすい、休診日が固定されているなど、勤務スタイル面のメリットがあります。
どちらか一方ではなく、あわせて確認することが大切です。
月給が高く見えても、住宅手当や看護師寮がないと生活費の負担が大きくなることがあります。反対に、月給だけでは大きな差がなくても、住宅支援や研修支援などがあることで、入職後の生活に余裕が出る場合もあります。
福利厚生について質問しても問題ありません。福利厚生は働き方に関わる大切な条件なので、確認するのは自然なことです。
ただし、待遇面の質問ばかりが続くと、意欲が低い印象を与える可能性もあります。仕事内容や教育体制への質問とあわせて聞くと、前向きな姿勢が伝わりやすいでしょう。
気になる制度は、利用条件や実際の利用状況まで確認しておくのがおすすめです。
まとめ
福利厚生は、入職後の生活や働きやすさを支えてくれる大切な制度です。
ただし、制度が多いからといって、自分に合う病院とは限りません。給与や通いやすさ、教育体制、職場の雰囲気などもあわせて確認しながら、総合的に判断することが大切です。
自分の生活や将来の働き方をイメージしながら、納得できる就職先を見つけていきましょう。







