新卒で就職するなら、やっぱり大病院で経験を積むべき?
そんな気持ちがある一方で「大病院は忙しすぎるのでは…」「もっと自分らしく働ける場所があるかも」と思っていませんか?
大病院だけが正解じゃない今、中小規模病院も視野に入れることで、あなたに合った働き方が見つかるかもしれません。
この記事では、新卒看護師が中小規模病院で働くメリット・デメリットについて、大病院との違いを含めてわかりやすく整理します。一覧でわかる比較表もあるので、あなたらしい就活のヒントにしてみてください。
中小規模病院ってどんなところ?
「中小規模病院」と聞いても、具体的なイメージが湧きにくいかもしれません。まずは定義や特徴から整理しましょう。
中小規模病院の基準は、機関などによって定義が異なります。
| 参考情報 | 病床数の定義 |
|---|---|
| 厚生労働省 「中小病院看護管理支援事業ガイドライン」 | 300床未満が中小規模病院 |
| 厚生労働省 「受療行動調査」 | 小病院:20〜99床 中病院:100〜499床 大病院:500床以上 |
| 全国自治体病院協議会 | 200未満が中小病院 |
| 厚生労働省「特定機能病院制度」 | 特定機能病院の要件:400床以上 |
このように基準はさまざまですが、一般的な感覚では100~200床台の病院を中規模病院、100床未満の病院を小規模病院とイメージされることが多いようです。300~400床台の病院は、地域によって中規模病院とされるか大規模病院とされるかが異なりそうです。
「大病院じゃないと成長できない…?」と不安に思うかもしれませんが、そんなことはありません。多くの先輩が中小規模病院を選び、それぞれの現場で活躍しています。
看護学生が知りたい中小規模病院のメリット7つ

新卒看護師が中小規模病院で働く魅力を7つの視点から紹介します。
1. 幅広く学べるのが魅力!大病院にない経験も
中小規模病院では、病棟や診療科が細かく分かれていないことが多いため、さまざまな疾患や病態に対応することになります。その分、看護師が担当する役割も幅広く、一人の患者さんに対して入院から退院支援まで一貫して関わることも珍しくありません。
大病院のように業務が高度に細分化されていないからこそ、「看護の全体像」を早い段階で身につけられるのは大きな魅力です。
「いろんな場面で看護を経験したい」「実践を通して力をつけたい」という方にとって、成長のチャンスが詰まった環境です。
2. 他職種連携を身近に学べる|チーム医療のやりがいを実感
中小規模病院では、医師・薬剤師・理学療法士・ソーシャルワーカーなどとも距離が近く、他職種連携を間近で学ぶことができます。大病院のように部門が分かれすぎていないため、「誰が何をしているのか」が見えやすく、1年目からチーム医療の一員として参加する機会も豊富です。
大病院では数年かけて段階的に学ぶことを、早いうちから経験できる環境があります。
3. 教育が手厚い中小病院も|密なサポートが受けられることも
病院によって差はあるものの、スタッフが少人数で距離が近いため、新人一人ひとりを丁寧にフォローする体制が整っている病院もあります。プリセプター制度がしっかりしているところや、全員で育てようという文化がある病院も。
「わからないことはすぐに聞きたい」「じっくり教えてほしい」という方にとって、魅力的に感じられる病院もあるでしょう。
4. 年齢層が広く、落ち着いた雰囲気の人間関係
中小規模病院では若手〜ベテランまで幅広い年齢層のスタッフが働いています。落ち着いた職場の雰囲気や、多世代で支え合う文化が築かれているところが多いでしょう。
同期の人数が限られている分、「競争」よりも「協力」の空気があり、「周囲と比べてしまって焦る」といったプレッシャーが少ない環境でもあります。実際に、大学病院から中規模病院に転職した先輩からは「同期同士で協力する雰囲気に驚いた」という声も聞かれます。
「競争より協力」「自分のペースで馴染みたい」と思う方には心地よい人間関係が築けるかもしれません。
5. 残業少なめ&休みが取りやすい病院も
業務量や患者数が比較的落ち着いている中小規模病院では、残業が少なく、シフトの融通が利きやすい職場もあります。もちろん病院によりますが、プライベートとのバランスを重視する方には魅力的です。
6. 地域に根ざした看護ができる|やりがい・関係性を実感
中小病院は地域密着型なので、患者さんやそのご家族と長期的な関わりを築き、地域とのつながりを感じやすくなります。
「生活を見据えた看護を提供したい」「顔の見える医療に携わりたい」と感じている方には、やりがいを実感しやすい環境です。
7. 選択肢が多く競争率も低め|自分に合う職場に出会いやすい
大病院は全国的に人気が集中し、新卒採用の倍率が高くなりがち。一方で、中小規模病院は施設数が多く、それぞれに特色があるので、実は個人の相性や希望に合った病院を見つけやすいという側面もあります。
「有名病院じゃなくても、自分に合った場所で成長したい」という方にこそ、チャンスの多い選択肢です。
中小規模病院で働くデメリット・留意点は?
どんな職場にも「合う・合わない」があるように、中小規模病院にも注意しておきたい点があります。ここでは、特に新卒で就職する前に知っておきたい中小規模病院のデメリットや留意点を紹介します。
1. 教育体制にばらつきがある
病院ごとの体制差が大きく、プリセプター制度や新人研修の質に開きがある場合も。
2. 高度先進医療は学べない
高度先進医療や専門分野の症例は多くありません。専門性を追求したい人には物足りなさを感じるかもしれません。
3. 同期が少ないことが多い
新卒採用の人数が少ないので、大病院のようにたくさんの同期がいる環境ではありません。切磋琢磨できる仲間が限られる場合があります。
4. 担当業務が多岐にわたりがち
人手が限られる分、業務が多岐にわたり、最初は戸惑うこともあるかもしれません。
中小規模病院のマイナス面も事前に理解したうえで、「それでもここで働きたい」と納得できる病院かどうか、見学会やインターンシップも活用して確認してみましょう。

中小規模の病院を探す
【比較表でわかる】大病院と中小規模病院の違い
中小規模病院と大病院の違いを、最新データも交えながら項目ごとに比較してみましょう。
| 中小規模病院 | 大病院 | |
|---|---|---|
| 病床数 | 200床台までの病院を指すことが多い | 400床以上で大病院とされることが多い |
| 業務範囲 | 幅広く担当(包括的) | 専門分化されている |
| 患者対応 | 長期的な関わりも多い | 入退院の回転が早く短期的 |
| 教育体制 | 実践型中心の指導(病院による差がある) | 段階的・体系的な教育プログラム(集合研修が充実) |
| 残業・夜勤 | 夜勤平均:3交代制で月7~8回・2交代制で月4〜5回 残業少なめ | 夜勤平均:3交代制で月7~8回・2交代制で月4〜5回 業務密度高め |
| 新卒離職率 (1年以内) | 約9~12% | 約8% |
| 初任給 (大学卒平均) | 約27~28万円 | 約29~30万円 |
| 初任給 (専門卒平均) | 約26~28万円 | 約28~29万円 |
| 看護の特徴 | 看護の全体像を学びやすい 多職種連携・退院支援なども幅広く経験 | 各分野の専門性が高く、特定スキルを深めやすい |
| 募集枠・倍率 | 病院数が多く倍率も低め | 人気集中で競争率が高い |
中小規模病院では、看護の幅広さや比較的ゆとりのある勤務環境が魅力となりやすく、大病院では、高い専門性や充実した教育制度が強みになっています。
あなたに合うのはどっち? 中小 vs 大病院
「違いはわかったけど、自分にはどっちが合っている…?」
そんな疑問を持った方に向けて、中小規模病院・大病院それぞれに「向いている人」の傾向を整理しました。自分の価値観や希望を考えてみましょう。
| 中小規模病院 | 大病院 |
|---|---|
| 幅広く看護を経験したい | 専門分野を深めたい、スペシャリスト を目指したい |
| 患者さんと継続的に関わりたい | 高度な医療に触れたい |
| 自分のペースで成長したい | 体系的な教育を受けたい |
| チームで協力して働きたい | 大人数の同期と切磋琢磨したい |
| アットホームな環境が好き | 全国レベルでキャリアを築きたい |
| 地域医療に興味がある | 最新設備や技術に触れたい |
| 比較的、落ち着いた環境で働きたい | 忙しい環境で充実感を得たい |
どちらが良い・悪いということではなく、どんな働き方が「自分にとって気持ちよく続けられるか」を考えることが大切です。複数当てはまる場合は、病院見学などで実際の雰囲気を確認してみましょう。

中小規模の病院を探す
よくある誤解を解消!中小規模病院にまつわるQ&A
中小規模病院と聞くと、「教育体制が弱い?」「キャリアアップに不利?」といった声があるのも事実。けれど、それらのイメージは必ずしも正しくありません。よくある疑問をQ&A形式で解消していきましょう。
病院によりますが、新人研修をしっかり設けている中小規模病院も多くあります。中小病院は少人数だからこそ、個別にサポートしてもらいやすいというメリットもあります。重要なのは「研修スタイルと自分との相性」です。
目安として、プリセプター制度が整っているか、定期的な面談・振り返りがあるか、研修内容が自分の学習スタイルに合うかなどを見学時に確認すると安心です。

一般的に良いとされる環境でも、自分に合うとは限りません。病院見学では「教育体制が充実しているかどうか」だけでなく、「自分の学習スタイルに合いそうか」まで確認するのがおすすめです!
規模が大きい病院のほうが給料などが高い傾向があるのは事実です。一方で、実際は病院によりけりです。給料が高くても、その分、残業が多いということもあります。住宅手当・通勤手当・資格取得のサポートの有無なども含めた働きやすさはどうか、採用情報などでよく確認しましょう。
専門看護師・認定看護師の在籍人数は大病院ほど多くはありませんが、学会参加や院外研修を支援する制度を設けている病院もあります。また、スペシャリストを目指す以外のキャリアアップの道もあります。どんなキャリアを目指したいかを含めて考えてみましょう。
中小規模は多様な機能を担っており、地域医療の中核として重要な役割を果たしています。200床規模で指定される「地域医療支援病院」などもあります。提供する医療レベルと規模は別物です。
中小規模病院の見学チェックポイント・質問例
実際に働くイメージを持つためには、病院見学がとても効果的です。特に中小規模病院では、見学を通して「雰囲気」や「具体的な働き方」が見えてきます。
ここでは、見学時にチェックすべきポイントと質問例を紹介します。
見学でチェックしたいポイント
- 新人看護師の教育体制(プリセプターの有無、研修の進め方)
- 病棟の雰囲気(スタッフの声かけ、表情、忙しさの程度)
- 看護師と他職種の連携の様子
- 休憩室・更衣室・ナースステーションなど環境面
- 実際に働いている新人看護師の様子
見学で聞いてみたい質問例
- 「新人さんはどのように教えてもらっていますか?」
- 「1年目の看護師さんは何人くらいいらっしゃいますか?」
- 「夜勤はいつ頃から始まりますか?」
- 「困ったときに相談しやすい雰囲気はありますか?」
- 「この病院の良いところを教えてください」
事前に確認したいことを整理しておくことで、病院の特色や働き方がよくわかります。また、質問を通して先輩看護師とコミュニケーションを取ることで、職場の雰囲気や人間関係の良さも感じ取れるでしょう。
中小規模病院も魅力的な選択肢!
中小規模病院と大病院には、それぞれ違った学び・やりがい・働きやすさがあります。
「なんとなく大病院がいいから」でも「中小規模病院のほうが忙しくなさそうだから」でもなく、納得できる就活のために中小規模病院も検討してみましょう。

中小規模の病院を探す








