訪問看護の利用者は、赤ちゃんからお年寄りまで「自宅での看護ケアを必要とするすべての人」。年齢も疾患も幅広い「訪問看護の利用者さん」について見てみます。

目次

訪問看護サービスの利用者は?

利用者の多くは高齢者

厚生労働省の調査によると、訪問看護ステーションの利用者さんはやはり高齢者が多く、平均年齢は82歳でした。

疾患は高血圧認知症脳卒中などが目立ちます。

【訪問看護ステーションの利用者に多い疾患】高血圧:37.5% 認知症:26.8% 脳卒中:23.9%

出典:訪問看護のサービス提供のあり方に関する調査研究事業(平成29年度調査)

訪問看護ステーションによって特徴も

「利用者さんの半数は、ターミナルのがん患者さんです」

「このステーションでは、小児を多く受け入れています」

「難病の利用者さんが多いです」

など、利用者さんの疾患などに一定の傾向・特徴のあるステーションもあります。

こうした比較的高度なケアが必要な利用者さんを受け入れられるステーションかどうかは、次のような点が関わってきます。

  • ステーションの体制
    (24時間対応か、看護師は何人いるか…など)
  • 所属する訪問看護師のスキルや経験
  • 近隣にどんな医療機関があるか

勤務先を選ぶ際は確認してみると良いでしょう。

急速に増えている小児の訪問看護ニーズ

訪問看護の小児の患者のイラスト

近年は、小児の訪問看護ニーズが急速に高まっています

医療が進歩し、重い障害や難病があっても自宅で家族と過ごせるお子さんが増えているのです。

小児の訪問看護利用者は1.4万人

現在、小児で訪問看護を利用しているのは約1.4万人(2017年)。

このうち、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な「医療的ケア児」が半数ほどを占めています。

医療的ケア児は全国に約1.7万人いるとされ、小児に対応できる訪問看護ステーションは、まだまだ足りていない状況です。

先輩からヒトコト

小児に対する訪問看護では、ご家族にケア方法を指導したり、精神的な支えとなったりするだけでなく、学校や病院、地域の福祉サービスと連携したサポートを行うのも、大切な役割のひとつです。

注目度が高まる精神科の訪問看護

精神科の訪問看護のニーズも高まっています

入院患者をできるだけ在宅(地域生活)に移行させる流れは、精神科領域でも活発になっていて、その受け皿が必要です。

統合失調症アルコール依存症など、精神疾患のある利用者さんに対する訪問看護では、症状の管理や身体合併症へのケアのほか、「身の回りのことができず、日常生活が整えられない」「服薬や通院が途絶えがちになる」といった面でのサポートも重要になります。

「介護保険」と「医療保険」の違い

訪問看護の利用者さんは、「介護保険」でサービスを利用される場合と「医療保険」で利用される場合があります。

どちらになるかは、利用者さんの年齢や疾患によって決まりますが、原則として介護保険が優先されます(一部併用の方もいます)。

介護保険での利用者は約40万人、医療保険での利用者は約20万人です。どちらも増加が続いています。

それぞれ対象となる人・疾患は次の通りです。

介護保険の訪問看護の利用者
  1. 65歳以上で、要支援・要介護認定を受けている人
  2. 40~64歳で、次の「特定疾病」による要支援・要介護認定を受けている人

<特定疾病>

  • 関節リウマチ
  • 後縦靭帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 脊柱菅狭窄症
  • ウェルナー病(早老病)
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 両側の膝関節または膝関節に著しい変形を伴う変形性関節症

※がん(がん末期)・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・パーキンソン病関連疾患脊髄小脳変性症(SCD)・多系統萎縮症も「特定疾病」ですが、訪問看護の利用には医療保険が適用されます。

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医療保険の訪問看護の利用者
  1. 小児など40歳未満の人
  2. 65歳以上で、要支援・要介護認定を受けていない人
  3. 次の疾病等の人
  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 脊髄小脳変性症(SCD)
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患
  • 多系統萎縮症
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態
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訪問看護のサービス提供が始まるまで

訪問看護ステーションが利用者さんにサービス提供を開始するには、初めに次のような手順が踏まれます。

【訪問看護サービスが始まるまでの手順】1:訪問看護ステーションに依頼 2:ケアカンファレンス 3:訪問看護指示書 4:ケアプラン・訪問看護計画

 

訪問看護ステーションに依頼

訪問看護ステーションが、利用者さんやご家族、ケアマネジャー、医療機関などからサービス提供の依頼を受けます。

ケアカンファレンス

依頼を受けた訪問看護ステーションは、在宅ケアにかかわる多施設・多職種によるケアカンファレンス(退院前カンファレンス、サービス担当者会議)に参加します。

利用者さんの病状について情報共有したり、今後のケアの方針などを話し合います。

訪問看護指示書

医師が訪問看護指示書を発行します。

指示書は、医療保険・介護保険にかかわらず必要です。

また、一般的な指示書とは別に、14日間限定で回数の制限なくサービスを利用できる「特別訪問看護指示書」というものもあります(急性憎悪、終末期、退院直後の場合のみ)。

ケアプラン・訪問看護計画書

ケアマネジャーの立てたケアプランや、訪問看護師が作成した訪問看護計画書に沿って、訪問看護サービスを開始します。

訪問看護サービス開始

先輩からヒトコト

医療保険で訪問看護サービスを利用する場合は、ケアマネジャーがいません。ケアの計画作成や関係機関との調整などは、訪問看護師が中心的な役割を担うことになります。

訪問看護師をもっと知りたい!

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