就職活動を進める中で「プリセプター制度」という言葉をよく耳にしますよね。
この記事では、プリセプター制度の基本から、新人看護師の1年目にどんなサポートがあるのか、就職前によくある不安とその対処法まで、わかりやすくご紹介します。
そもそも「プリセプター制度」ってどんな制度?

プリセプター制度とは、新人看護師(プリセプティ)に対して、経験を積んだ先輩看護師(プリセプター)がマンツーマンで指導・サポートを行う教育制度のことです。
- プリセプター:
新人を指導し、相談役として支える先輩看護師。3~5年目の看護師が担当するのが一般的です。新人のお手本としての姿勢が求められます。 - プリセプティ:
新人看護師。わからないことを素直に聞き、積極的に学ぼうとする姿勢が求められます。
プリセプター制度の目的は、新人看護師が安心して仕事に慣れ、看護師としての自信を持てるようにすることです。新人看護師はプリセプターの先輩から、業務の流れ、患者さんへの対応、記録の書き方など、看護師の仕事を実践的に教えてもらえます。
病院によっては、ベテラン看護師がプリセプターを補佐する役割を担ったり、プリセプティ・プリセプターの両者を支えるメンター(相談役)がいたりすることも。

また、プリセプター・プリセプティは1年を通してペアを組むのが一般的ですが、プリセプターが半年ごとに交代する病院もあるなど、職場によってさまざまです。

新人看護師の1年間とプリセプターの関わり方
入職後の1年間、プリセプターはどのように新人看護師にサポートしてくれるのでしょうか?
新人看護師の1年間の大まかな流れと、プリセプターの関わりを以下にまとめました。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 4~6月 | 基礎的な業務や院内ルールを学ぶ時期。 「見て覚える」ことを中心に、プリセプターが付き添って指導する。 |
| 7~9月 | 担当できる業務が増え、夜勤も始まり、疲れがたまる時期。 振り返りや相談の機会が多くなる。 |
| 10~12月 | 自立に向けて難しい業務にもチャレンジするため、ミスや悩みも出やすい時期。 プリセプターへの相談も増える。 |
| 1~3月 | 1年間の成長を振り返る時期。 今後の課題や目標を考える。 |
プリセプターも「うまく教えられているかな?」「励まし方は適切だったかな?」と悩むことがあります。 サポートを受ける新人看護師もできるだけ率直なコミュニケーションで信頼関係を築いていくことが大切です。
プリセプター制度のメリット・デメリット
「制度の基本はわかったけど、実際はどうなの?」とリアルな声も気になりますよね。ここでは、先輩ナースの声をもとに、プリセプター制度の良い点と気をつけたい点を解説します。
メリット:相談しやすい安心感
- 誰に相談していいか悩むことなく、まずはプリセプターに聞けるので安心だった
- つらいときも優しくアドバイスしてくれて救われた
- これまでの経過を踏まえて定期的に振り返ってくれ、自分の成長が実感できた
デメリット:プリとの相性や制度の合わなさ
- プリセプターとの相性が合わずに悩んだ
- 自分の成長に対してプリセプターに責任を感じさせてしまうので「ちゃんとしなきゃ」とプレッシャーだった
- プリセプターとの勤務が合わない日は相談しにくかった
プリセプターの存在は、日々の業務で悩みや不安を感じやすい新人看護師にとって、心強い支えとなります。わからないことをすぐに相談できる安心感や、自分の成長を一緒に見守ってくれる関係性は、前向きに仕事に取り組む大きな力になるでしょう。
一方で、病院によってプリセプター以外のサポート体制に違いがあったり、人間関係の相性もあります。相談しにくい環境で不安や孤独感を強く感じたり、業務に影響があったりしては大変。就活を通じて、志望先の教育・サポート体制についてしっかり確認しましょう。

プリセプター制度のよくある不安と対処法

「プリセプターの先輩とうまくやっていけるかな…」と不安に感じる方も多いはず。ここでは、よくある悩みとその対処法を紹介します。
よくある不安①:プリセプターが怖い・厳しすぎる
実際に「厳しい先輩で質問や相談がしづらかった」「威圧的で緊張してしまう」という声はよく聞かれます。ですが、プリセプターの指導が厳しすぎるあまり、業務に必要な質問もできなくなってしまっては看護の質にも影響しますよね。
そんなときは患者さんのためにも遠慮せず、ほかの先輩に相談するのがよいでしょう。多くの病院では、プリセプター以外にも教育担当者や他のスタッフが相談に乗ってくれる仕組みが整っているので、見学時に聞いておくことをおすすめします。
よくある不安②:プリセプターとの相性が合わない
人間同士なので相性があるのは仕方のないこと。特に厳しかったり冷たくされたりしているわけではないものの「なんだか合わない…」と感じることもあるかもしれません。
こんなときも、まずはほかの先輩や教育担当者に相談しましょう。ただし、ただ不満を伝えるのではなく「なぜ合わないと感じるのか」を整理することが大切です。第三者に相談していく中で「お互いに気を遣いすぎていただけかも」といった意外な原因が見つかってコミュニケーションが改善することもあります。

プリセプター制度を“味方”にするために大切なこと
新人看護師がプリセプター制度を味方にして成長していくためには、1年を見守ってくれるプリセプターと良い関係を築くことが大切です。そのためには、新人看護師も心がけたいことがあります。
自分の学び方を知っておこう
「見て覚えるのが得意」「書いて覚えるタイプ」など自分に合った学び方を知っていると、プリセプターの指導をより的確に吸収できます。
自分にとって得意な学び方があれば「昨日教わった手技についてまだ動き方がイメージできないので、一度、見学させていただいてもいいですか?」と具体的な相談もしやすくなるでしょう。「熱心に学ぼうとしてくれている」と伝われば、プリセプターも成長を喜んでくれるはずです。
自分の状況を率直に伝えよう
「何か困ってないかな?」「最近どうかな?」など、プリセプターは常にプリセプティを気にかけてくれています。そんな気持ちに応えて、自分の状況や悩みはできるだけ率直に伝えてください。
「心配しているのに全然、話してくれないな」と感じれば、人はなかなか親身になれないものです。業務や勉強の相談などを通じて信頼関係を築いていけると良いですね。また、アドバイスは素直に受け入れ、感謝の気持ちを伝えましょう。
「患者さんのため」を意識しよう
マンツーマンで向き合っていると、プリセプターの存在だけが大きくなりすぎることがあります。「プリセプターに怒られないように」と、あいまいなこともわかったふりをしてしまったり、何でもかんでもプリセプターに頼ってしまったりすることもあるかもしれません。
あくまでも一番大切なのは「患者さんのために良いかどうか」です。プリセプターばかりを見るのではなく、「プリセプターと一緒に患者さんを見る」という意識を心がけましょう。プリセプターにとっても負担になりすぎず、良い先輩後輩の関係づくりができるはずです。
まとめ:不安があっても大丈夫。1年目を支えてくれる制度を理解しよう
プリセプター制度は、新人看護師が安心して現場に慣れ、自分らしく働けるようサポートする制度です。大切なのは「一人で頑張る」ではなく、「サポートを受けながら成長していく」姿勢です。
制度の仕組みやリアルを知ることで、就職後のイメージがクリアになり、不安がやわらぐはず。病院見学会や説明会では、プリセプター制度の運用やサポート体制について積極的に質問してみましょう。

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