最終更新日 2018/05/31

甲状腺

甲状腺とは・・・

甲状腺(こうじょうせん)とは、気管の前面に位置する、血管の豊富な内分泌腺である。肉眼的には、蝶のような形をしている。大きさは、縦横ともに4~5cmほどで、重さは15~20gほどである。顕微鏡的に見ると、濾胞細胞と傍濾胞細胞が腺を構成する。濾胞細胞が甲状腺ホルモンを分泌し、傍濾胞細胞がカルシトニンを分泌する。これらは、それぞれ、代謝と血中カルシウム濃度を調整する。甲状腺ホルモンは全身の代謝を高めたり、交感神経を興奮させたりする。また、胎児や小児の成長や発達にも関与する。

甲状腺機能異常には、甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症がある。
甲状腺機能が亢進すると、イライラしやすくなる、頻脈息切れ、体温の上昇(暑く感じる)、汗をかきやすくなる、下痢体重減少などの症状が出る。
逆に、甲状腺機能が低下すると、抑うつ的になる、認知機能の低下、脈が遅くなる、体温の低下 (寒く感じる)、便秘、体重増加などの症状が出る。

これらの症状を呈する疾患として、バセドウ病、プランマー病、原発性甲状腺機能低下症、橋本病 (慢性甲状腺炎)、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、甲状腺の良性腫瘍、および、悪性腫瘍(例:甲状腺乳頭癌、悪性リンパ腫)などがある。

血中甲状腺ホルモンが高値になり、甲状腺中毒症状のあるものを甲状腺中毒症という。甲状腺中毒症には、甲状腺機能が亢進し、血中甲状腺ホルモンが高値になるものと、甲状腺が破壊され甲状腺ホルモンが血中に流出して甲状腺ホルモンが高値になるものがある。前者を甲状腺機能亢進症といい、バセドウ病やプランマー病が含まれる。後者には亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎がある。

甲状腺機能の亢進が特徴なのは、バセドウ病、プランマー病である。一方、甲状腺機能の低下が特徴なのは、橋本病や原発性甲状腺機能低下症である。ただし、これらの疾患の症状は、病期、病勢や治療の影響を受ける。例えば、橋本病では甲状腺機能が正常なこともある。

執筆: 園 真廉

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター副医長

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