「看護師になりたい。でも学費が不安…」。そんなとき、「返済不要の奨学金」が気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、看護学生が利用できる奨学金制度の仕組みや種類、注意点についてわかりやすく解説します。後悔のない制度選びができるよう、一緒に確認していきましょう。
返済不要の奨学金ってどういうこと?
看護学生を対象にした奨学金の中には「返済不要(返還免除)」とされるものがあります。
返済不要と言っても、実際は「無条件に返さなくていいもの」と「条件付きで返済が免除されるもの」の2種類があります。
「給付型」と「条件付き免除型」の違い
給付型奨学金とは、成績や家庭の経済状況など一定の条件を満たすことで返済義務なくお金を受け取れる制度です。
一方、条件付き免除型(いわゆる病院奨学金など)は、卒業後に特定の病院で一定年数働くことを条件に返済が免除される仕組みです。たとえば「3年間勤務すれば返済免除」といった条件が多く見られます。
| 給付型 | 条件付き免除型 | |
|---|---|---|
| 概要 | 給付 (返済の必要なし) | 条件を満たせば返済免除 |
| 主な条件 | 学業成績や家計状況など | 卒業後に指定された病院等で一定期間勤務すること |
| 主なメリット | ・進路選択の自由度が高い ・経済的 | ・就職先が確保される ・経済的な安心 |
| 留意点 | ・該当基準が厳しい場合がある ・支給金額は制度により異なる | ・返済免除の条件を満たさない場合、原則として一括返済が必要 ・勤務先や勤務期間に制約が生じる |
| 主な実施主体 | 日本学生支援機構、学校、各種団体など | 医療機関、都道府県や市町村など |
看護学生が一般的に利用する条件付き免除型では、以下のような条件が多く設定されています。
看護学生向け奨学金
返済免除の条件例
- 卒業後、指定病院で3~4年以上勤務する
- 返済途中で退職・辞退した場合は一括返済が必要
返済途中で退職する場合のルールは病院によっても異なります。奨学金を利用する際は、契約内容や勤務義務についてしっかり確認しましょう。
看護学校はどれくらいお金がかかる?

奨学金が必要になる背景として、まずは看護学校の費用がどのくらいかかるのかを把握しておきましょう。
看護大学・専門学校・短大で異なる費用の目安
進学先や学びの年数によって学費は大きく異なります。目安となる費用は以下の通りです。
看護学校の学費(目安)
- 国公立大学(4年制):約200万円~300万円
- 私立大学(4年制):約400万円~800万円
- 専門学校(3年制):約20万円~500万円
参考:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」、東京都専修学校各種学校協会「令和6年度 学生・生徒納付金調査」
入学金・授業料・教材費・実習費に加え、寮費や通学費、国家試験対策の費用などもかかる場合があります。
奨学金は、看護師を目指したいのに経済的な事情で進学を諦めるといった学生を支え、未来の医療を守る大切な制度です。
看護奨学金制度の種類は?
ここでは、返済不要または条件付きで返済免除となる看護学生向け奨学金制度の主な種類を紹介します。
病院奨学金
病院が独自に行っている奨学金制度です。基本的に貸与を受けた期間と同じ年数、その病院で勤務することを条件に返済が免除されます。看護師が利用する奨学金として最も一般的なタイプの奨学金です。
看護学校の入学時から就職先が決まることになるので、就職活動の必要がなく、実習や国家試験に専念できるメリットがあります。一方で、入職後に合わないと感じても、勤務義務のある間は辞めにくい点がデメリットです。
いろんな病院の奨学金制度を見比べて、自分に合う病院を探してみましょう。

奨学金制度のある病院を探してみよう
自治体が出している奨学金
都道府県や市町村が運営する奨学金もあります。こちらも一定期間、その地域にある病院で働くことを条件に返済が免除されるケースが多いようです。
進学で地元を離れても、「Uターン就職で地元に帰りたい」を考えている方にピッタリです。
大学・看護学校が独自に出している奨学金
一部の大学・看護学校では、返済不要の給付型奨学金を設けています。
学業成績や家庭の経済状況などが審査対象になることが多いです。
社会人向けの給付金制度は?
社会人から看護師を目指す方にも、学費をサポートする次のような制度があります。いずれも給付金なので返済の必要はありません。
教育訓練給付制度
厚生労働省が運営する制度で、雇用保険に加入している社会人や過去に加入していた人が対象です。指定された教育訓練を受講・修了することで支給されます。
指定の学校に通うなど一定の条件がありますが、社会人から看護師へのキャリアチェンジを考える方には知っておいてほしい制度です。
ひとり親家庭の親が看護師を目指す際の給付金制度
主に児童扶養手当を受給している方などを対象とした給付金制度があります。
- 自立支援教育訓練給付金
- 高等職業訓練促進給付金
これらの制度は、自治体によって金額や条件が異なる場合があります。お住まいの市区町村窓口やホームページで事前に確認しましょう。
看護師の奨学金の面接は何を聞かれるの?

病院や自治体が実施する奨学金制度では、申し込み時に面接が行われる場合があります。
面接の内容はそれほど難しいものではありませんが、病院や自治体が「この人は、ちゃんと働いてくれそうか」を確認する場だと考えるとわかりやすいです。服装はリクルートスーツや、清潔感のある私服でOKです。
よくある質問とその答え方のポイント
返済不要の奨学金、選ぶ前に知っておきたいこと
返済不要と聞くと魅力的に思えますが、制度によっては進路の自由度が狭まる場合もあります。「こんなはずじゃなかった」と後悔しないように、知っておくべきポイントをまとめました。
自由な進路選択がしづらくなることも?
返済免除の条件に「卒業後〇年間、特定の病院で勤務」がある場合、その期間中は、転職・進学・引っ越しなどに制限が出る可能性があります。
「学校で学ぶうちに別の領域に挑戦したくなった」「入職したけど自分には合わない」などのようなことがあっても、奨学金が足かせになることもあるため、慎重に判断しましょう。
途中で辞めたらどうなるの?
利用した奨学金の制度によりますが、途中で退職や辞退した場合に受けた金額の全額返済が発生するケースがほとんどです。
「辞めたら即、一括返済」ではなく、返済猶予や分割返済が可能なケースもありますが、基本は返済義務が生じます。申し込み時には、契約書や制度要項を細かく確認することが大切です。

一括返済になってしまったけれど、あと1年を待たず希望する環境に飛び込んだことに後悔はなかったそう。
臨床経験を積む中で、興味や適性が変化するのもよくあること。奨学金を利用しても、勤務しながら少しずつ返済資金を貯めておくのがおすすめです。将来の選択肢を狭めないための「保険」だと思えば、無理なく貯金できると思います!
「自分に合っているか」を判断する3つの視点
奨学金の利用を検討する際は、以下のようなポイントで比較してみましょう。
- 返済条件・勤務義務の内容
:年数・場所・配属先など - 自分のキャリアプランとの相性
:本当にやりたいことができるか? - 支援金の金額や用途の自由度
:学費のみ?生活費にも使える?
迷ったときは、進路指導の先生・先輩・家族など、信頼できる人と一緒に検討するのもおすすめです。まずは、いろんな病院の奨学金制度の情報を集めてみましょう。

奨学金制度のある病院を探してみよう
まとめ:安心して制度を使うために
奨学金は、看護師を目指す多くの人にとって、進学や夢を支える大きな力になります。中でも、一定期間の勤務で「返済不要」となる病院奨学金の制度は、金銭的な不安を軽くしてくれる心強い味方です。
けれど、「返さなくていい=無条件で自由」ではありません。勤務義務や条件がある制度も多いため、よく調べて、自分に合った奨学金を選びましょう。




