ペンション経営ナースライフ【2】開業へひた走った5年間

現役ナースがペンション経営!?

「健康に不安がある人にも旅行を楽しんでもらいたい」そんな想いをカタチにしたナースマン・桐木智一がペンション経営ナースライフをお届けします。


 

今回は、開業までのあれこれについてお話ししたいと思います。

健康に不安のある方でも宿泊できる宿をつくろうと一念発起し、一気に事業計画書を書き上げたのは、実は妻が病気で入院しているとき。今にして思えばよく許してくれました・・・。

 

「ペンションなんてやめたほうがいい」?

それまで開業なんて考えたこともなかった一介の看護師ですから、とにかくチンプンカンプン。経営を学ぶために商工会議所へ出向いたり、お客さんへの対応について聞くためにいろいろな宿を回ったりしました。起業塾にも通い、熱い意見を交わしたことも……。その経験はとても有意義なものでした。

 

ただ、そこで少なからず聞かされたのが、「ペンションなんてやめたほうがいい」というご意見。すでに宿を経営されている方やフィナンシャルプランナーから、かなり厳しいご意見をいただきました。それだけ、宿をつくり、継続することが難しい時代になっているんですね。

 

それでも私の決心は揺らぎませんでした。「普通の宿とは違うんだ! 看護師ならではのバリアフリーの宿という特色を前面に出せば、きっとうまくいく」と自らを鼓舞。設計士さんや施工会社の方など、いろいろな方に私の宿の特徴を説いて回り、何とか協力を得ることができました。

 

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当時の事業計画書や図面。何もかも手探りでしたが、いろいろな方のご協力で開業へと進むことができました

 

開業の地はここ! 北海道十勝清水町

開業のために物件を探している際、役場の方にたまたま紹介していただいたのが、ここ十勝清水町。

 

十勝に決めた理由は、周囲の環境の良さと、アクセスの良さのバランスが宿に最適だったからです。目の前には遠くまで広がる畑、見上げれば雲一つない青空、北海道らしい大自然が広がっています。その畑がもたらす食材の豊富さ。新鮮な野菜や乳製品、のびのび育って作られたお肉や特色のあるスイーツ。そして、札幌から2時間半で到着するというアクセスの良さ。これらのことを踏まえて、十勝を可能性のある町と考えたのです。

 

頭を悩ますのはやっぱり「お金」

準備が整ってきたとはいえ、開業するのにはお金が必要。幸い、夫婦2人とも看護師ですし、浪費家でもないのでそれなりの貯蓄はありました。とはいえ開業には何千万とかかります。

 

融資を受けるため、国民生活金融公庫にアプローチしましたが、結果は「不可」。開業費用を抑えるために中古物件をリフォームすることにしたのですが、それでも用意できる担保の価値が足りず、融資が受けられなかったのです。

 

このときは、本当に焦りました。宿に対する熱意は十分にありましたが、熱意だけではお金を借りられないと実感した瞬間でした。

結局、施工会社の方の紹介で地元の銀行から融資を受けることができ、一安心。

書面上とは言え、何千万というお金を動かしていると、緊張と責任を感じずにはいられません。「もう後戻りできないなぁ……」と強く感じました。

 

リフォームで、30年前の元集会所を和風の宿に

紹介していただいた物件は、増築を繰り返した地域の元集会所。古い部分は30年も前に作られたそうです。設計士さんによると、まだまだ十分使えるとのことでした。工事が始まると古い壁は無くなり、柱だけのがらんとした光景になりました。

 

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改装が進むにつれて、いよいよ自分の宿ができるのだという実感が湧いてきました

 

「この壁をぶち抜きましょう」と、設計士さん。一番奥にある部屋の壁に穴を開け、3枚の窓にしようと言うのです。おかげで外の防風林も眺めることができ、明るく、開放的なホールになりました。外装、内装ともに、木の風合いを活かし落ち着ける雰囲気に統一しました。

 

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リフォーム前は殺風景な内観でしたが・・・

 

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プロの技により、和風の心安らぐ部屋に様変わりしました

 

一念発起してから5年後、「和みの風」はこうして完成しました。

場所探し、お金の工面、リフォームといったあらゆる面において、私の宿の特徴を理解してくださる方々のご協力がなければ、完成はなかったと思います。

 

宿の完成はゴールではなく、スタート地点。気合いを入れ直し、初めてお客さんを迎えたのは、2008年の7月でした。

 

次回は、「和みの風」でのバリアフリーのためのさまざまな取り組みについてご紹介したいと思います。

 


名前:桐木智一(きりき ともかず)

経歴:外科病棟・緩和ケア病棟に勤務後、訪問看護に転身。さらにそののち、バリアフリーの宿「和みの風」をオープン。訪問看護の仕事でケアにも携わりつつ、宿の経営を続けている。

 


【ペンション経営ナースライフ|連載記事】

【1】「看護婦さんが一緒だったら、旅行するのになぁ。」

【2】開業へひた走った5年間

【3】「看護師ならではの宿」とは? 

【4】「宿のオーナー」と「訪問看護」の二足のわらじ

【5】1人でも多くの方に、旅の幸せを

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