最終更新日 2023/11/28

ピル

ピルとは・・・

ピル(ぴる、pill)とは、一般的に避妊薬のことを指し、日ごろから避妊目的で内服するピル(経口避妊薬/低用量ピル)と、避妊失敗など緊急時に使用するアフターピル(緊急避妊薬)の2つがある。

 

【禁忌】
(1)ピル(経口避妊薬/低用量ピル)
禁忌は以下の通りである。
・初経前
・閉経後
喫煙者(35歳以上で1日15本以上の喫煙)
・重症の高血圧症(収縮期血圧160mmHg以上、もしくは拡張期血圧100mmHg以上)
妊娠
・産褥期(産後4週以内、もしくは授乳中)
・手術前
・重度の心疾患・心臓弁膜症
・重度の肝疾患(急性ウイルス肝炎、重症肝硬変、肝腫瘍)
・閃輝暗点や星型閃光を伴う片頭痛
乳がん
血栓性素因
抗リン脂質抗体症候群
・異常性器出血
など

 

(2)アフターピル
避妊薬に対するアレルギー歴、重篤な肝障害、妊娠中の患者が禁忌である。

 

【効能・効果】
ピルには以下のような効能・効果がある。
・避妊効果(排卵抑制、子宮内膜増殖抑制、頸管粘液粘稠度上昇作用)
・月経困難症/月経過多/月経不順の改善
排卵痛の消失
・月経前症状などの月経に伴う症状の改善
子宮内膜症の抑制など婦人科関連疾患のリスク低下

 

【用法・用量】
(1)ピル(経口避妊薬/低用量ピル)
21錠タイプ(3週間内服し1週間休薬する4週サイクルで使用)、28錠タイプ(3週間の低用量ピルと1週間の偽薬の4週サイクルで使用)の2種類がある。
用法:毎日1錠ずつ、できるだけ同じ時間帯に内服する。

 

(2)アフターピル
LNG法とYuzpe法がある。妊娠阻止率には差異がないという報告があるものの、副作用の少なさからLNG法が使用されることが多い。
・LNG法
性交後72時間以内にノルレボ®錠1.5mgを1回内服する。
・Yuzpe法
性交後72時間以内にプラノバール®錠2錠を12時間あけて2回内服する(計4錠)。

 

【副作用(投与後の注意点)】
(1)ピル(経口避妊薬/低用量ピル)
特に注意を要するものとして静脈血栓症がある。
そのほかのマイナートラブルとして、不正性器出血、吐き気、頭痛、むくみなどがある。
また子宮頸がん、乳がんのリスクがわずかに増加する可能性がある。

 

(2)アフターピル
嘔気・嘔吐が最も有名な副作用である。
ほかには不正性器出血、頭痛、倦怠感、傾眠など非特異的な副作用が報告されている。

 

【取り扱いの注意点】
静脈血栓症の発生頻度は非使用者に比べてわずかに増加するが、妊産婦/褥婦における発生頻度よりは低い。静脈血栓症発生関連症状の「ACHES」※を認めた場合、直ちに内服を中止し、処方医などの医療機関を受診する必要がある。

 

※「ACHES」
A:Abdominal pain(激しい腹痛
C:Chest pain(激しい胸痛、呼吸困難)
H:Headache(激しい頭痛)
E:Eye/speech problems(視野の障害、言語障害、意識障害
S:Severe leg pain(ふくらはぎの痛み、熱感や皮膚の発赤)

 

 

【引用・参考文献】
1)日本産婦人科学会編.低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬ガイドライン 2015年度版.2015.
2)日本産婦人科学会編.緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版).2016.
3)日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―産科編2020.(2023年5月閲覧)

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