最終更新日 2018/05/28

更年期障害

更年期障害とは・・・

更年期障害(こうねんきしょうがい)とは、更年期に出現する多種多様な症状の中で、器質的変化に起因せず、日常生活に支障をきたすものを指す。更年期障害の主な原因は、卵胞ホルモンエストロゲン)の低下で、これに年齢に伴う体の変化と精神・心理的な要因、環境要因が複合的に影響することで症状が出現すると考えられる。

更年期は女性の加齢に伴う生殖期から非生殖期への移行期であり、閉経前後の5年間合計10年間とされる。

更年期障害の症状は大きく3つに分類される。
1)自律神経失調症状(エストロゲン欠落症状)
のぼせ、汗、寒気、冷え症、動悸、胸痛、息苦しさ、疲れ、頭痛、肩こり、めまい
これらは血中エストロゲン濃度の減少により体温中枢が刺激されることや、血中カルシウム濃度の上昇に伴い血管拡張作用を有する物質が過剰放散されることによると報告されている。
2)精神神経症状
情緒不安定、抑うつ気分、恐怖感、疲労感
これらはエストロゲン濃度の低下によりモノアミンオキシターゼの分解を抑制するため、セロトニン濃度に影響することが知られている。
3)その他
腰痛、関節痛等の運動器症状、吐き気・食欲不振等の消化器症状、乾燥、かゆみ等の皮膚粘膜症状、排尿障害頻尿、性交障害、外陰部違和感などの泌尿生殖器症状がある。

診断には器質的疾患の除外が必須であり、特に甲状腺機能障害は、機能亢進症・機能低下症ともに更年期障害と類似した症状が多く注意が必要である。またうつ病や悪性疾患も、易疲労感や倦怠感等の非特異的な症状で受診する場合があるため留意する必要がある。
治療はホルモン補充療法(HRT)が有効である。子宮の有無によってエストロゲン単独投与と、エストロゲン・黄体ホルモン(プロゲステロン)併用投与の二つに分けられるが、副作用と使用禁忌、使用期間に注意しなければならない。その他の治療方法として漢方薬も広く用いられている。また精神的ストレスが中心の症状である場合には、向精神病薬が使用される場合もある。

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