胸骨圧迫が必要な心電図にはどんなものがある?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は胸骨圧迫が必要な心電図に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
胸骨圧迫が必要な心電図にはどんなものがある?
心静止、PEA、VF、pulseless VTの4種類です。
〈目次〉
実際の心停止波形は
モニターが準備できたら、すぐに波形を確認しましょう。心停止と判断するのは、
①心静止(asystole)
②無脈性電気活動(PEA:pulseless electrical activity)
③心室細動(VF)
④無脈性心室頻拍〔pulseless(脈なし)VT〕
の4種類です(図1)。
図1心停止の心電図

これらはいずれも、波形があっても有効な血液の拍出がなく、胸骨圧迫が絶対必要です。普通の波形に見えたとしても、脈が触れなければPEA(心臓の電気信号のみで、有効な心拍出がない状態)と判断します。
除細動とは
除細動とは、重篤な不整脈が発生したとき、強い電流を心臓に流して、不整脈を起こしている電気的な活動を停止させ、心臓のリズムをもとに戻す方法です。除細動が必要な波形を見たら一刻も早く除細動を行いましょう。
除細動が必要な心電図波形は、心停止の4種類のうち、心室細動(VF)、無脈性心室頻拍(pulseless VT)の2種類です。
急変時の対応

除細動が準備できるまでの間は絶え間ないCPRが必要です。この間で救急カートが来たら、呼吸の補助、点滴ルートの確保を行います。
除細動器やAED
心室細動(VF)、無脈性心室頻拍(脈なしVT)の場合には一刻も速い除細動が必要です。医師の到着を待っている時間はありません。
除細動器の場合、通常モードでは除細動をかけるかどうかは自身が判断しなければなりません。医師の到着が遅いなどの場合で、その判断が難しい場合は、除細動器をAEDモードで作動させることが可能です。
施設により、看護師判断で行ってよい範囲が違うかもしれません。いざというとき、最大限の介入ができるよう、その施設で可能な処置を確認し、きちんと動けるよう日ごろより除細動器やAEDを使う練習をしておきましょう。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術 第2版』 (編著)江口正信/2024年5月刊行/ サイオ出版


