心停止の患者の救命に大切なことは?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は心停止の患者の救命に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
心停止の患者の救命に大切なことは?
質の高いCPRをできるだけ早く始めることです。
〈目次〉
CPRとは
心肺機能が停止している人に行う、胸骨圧迫や除細動、人工呼吸などの心肺蘇生法(cardio pulmonary resuscitation)のことです。
心停止のときにCPRなしでは、CPRありと比べてどれくらい生存退院率が下がるか
図1のように刻一刻と予後は悪くなってしまうので、一刻も早い質の高い胸骨圧迫と、除細動が大切です。
図1電気ショックまでの時間と生存退院率

収縮期血圧の予測
大腿動脈が触れる場合 → 収縮期血圧が70mmHg以上
頭骨動脈が触れる場合 ;→ 収縮期血圧は80mmHg以上
「頸動脈は触れるけど、大腿動脈が触れない」という場合、収縮期血圧は60~70mmHgであることが考えられます。
質の高い胸骨圧迫とはどのように行うか
胸の真ん中を強く(少なくとも5cm)、速く(1分間に100~120回)押し、押した胸郭が毎回完全にもとに戻るようにします。これを絶え間なく行う必要があります。脈が触れないと判断したら、ためらわずに胸骨圧迫を始めましょう。
図2胸骨圧迫の方法

少なくとも5cm沈むように押す → その深さをイメージできますか?
全力で押すとそのくらいになります。ですから、疲れてくると容易に浅くなってしまい、質の悪い胸骨圧迫となってしまいます。質のよい胸骨圧迫を続けるために疲れたら他のスタッフに交代してもらうことが大切です。
1分間に100~120回の胸骨圧迫 → その速さをイメージできますか?
“アンパンマンのマーチ” “ドラえもん” “世界に一つだけの花”などの歌を心の中で歌いながら胸骨圧迫をするとわかりやすいです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術 第2版』 (編著)江口正信/2024年5月刊行/ サイオ出版


