腎臓病療養指導士とは? 資格の取得方法や看護師が取得するメリットを解説

看護師が取りたい資格図鑑の「腎臓病療養指導士」の記事のメインビジュアル

腎臓病療養指導士は、慢性腎臓病の患者さんへの質の高い療養指導ができるようになるための資格です。

 

この記事では、腎臓病療養指導士とはどういった資格なのか、取得するメリット、受験資格や試験情報、勉強方法などを解説します。

 

 

腎臓病療養指導士とは

腎臓病療養指導士は、腎臓病患者さんへの療養指導を担う看護師・薬剤師・管理栄養士が取れる資格です。まずは、どんな資格なのか詳しく見ていきましょう。

 

 

腎臓病療養指導士はどんな資格?役割は?

腎臓病療養指導士は、慢性腎臓病(CKD)の患者さんに対してより高度な療養指導ができます

 

具体的には、病状のステージに応じた生活習慣の指導、食事や栄養、薬の服用方法のアドバイスなど、患者さんの療養生活を全面的にサポートしやすくなります。

 

腎臓に疾患のある患者さんは、一人ひとりの症状や生活習慣、体調によって適切な療養指導の内容が異なります。

 

また、食事は管理栄養士、服用は薬剤師など、療養指導には多職種間の連携が必要です。

 

腎臓病療養指導士の資格がなくても療養指導はできますが、資格の勉強を通じて保存療法の知識や指導スキルが身につく上に、それらが多職種間で連携するときの共通言語となるので、より適切な指導を行いやすくなります

 

 

今後、注目度が高まる資格

腎臓病療養指導士は、2018年に第1回試験が実施された比較的新しい資格です。

 

慢性腎臓病は早期発見と治療・療養指導により重症化を遅らせることが可能です。しかし、患者さんが増え続ける中で、十分な療養指導をするためには腎臓専門医だけでは対応が間に合わないことが問題となっていました。

 

そのため、専門医以外にも慢性腎臓病の適切な療養を指導できる人材のニーズが高まっており、今後さらに注目される資格と言えるでしょう。

 

2024年1月現在では、腎臓病療養指導士の合格者は約2,400人で、そのうち看護師さんは1,357人です。

 

 

腎臓病療養指導士は取ったほうが良い?

腎臓病療養指導士の資格は、腎臓病患者さんに関わる看護師さんは取ったほうが良いのでしょうか? ここでは、資格を取るメリットなどをご紹介しています。

 

 

メリット1:患者さんへの療養指導の質が高まる

腎臓病療養指導士の資格取得を目指して学ぶことで、患者さんにより質の高い療養指導が行えるようになります。

 

具体的にはテキストによる勉強や講習会への参加により、療養指導の知識の幅が広がります。また、医師や薬剤師などの他職種との連携もスムーズになり、より患者さんに合った指導ができるようになります

 

実際に、腎臓病療養指導士資格を取得した看護師に対して行われたアンケートでは、

 

指導内容をより具体的に説明できるようになり患者さんに納得してもらいやすくなった

薬剤師や栄養士などの他職種と話し合い、より患者さんのための指導ができるようになった

 

など、療養指導の質が高まったことを実感した声が多くありました。

 

アンケート出典:『慢性腎臓病(CKD)患者に特有の健康課題に適合した多職種連携による生活・食事指導等の実証研究

 

 

メリット2:看護業務のモチベーションが上がる

腎臓病療養指導士の勉強をとおしてできることが増えることで、同僚や他職種から信頼されたり、患者さんに納得してもらえる指導ができたりと、仕事のモチベーションアップにつながります。

 

例えば、食事の指導では生活を制限することになるため、患者さんやご家族から納得してもらえないこともあるでしょう。

 

しかし、栄養の知識や指導の仕方などを学ぶことで、患者さんの気持ちを理解して、納得してもらえる指導が実践できるようになれば、モチベーションも上がってきます。

 

実際に資格を取得した看護師さんに行ったアンケートでは、

 

医師や薬剤師、ほかの看護師さんから頼られるようになった

より具体的な知識が身についたことで、もっと患者さんの味方になりたいと思うようになった

 

など、モチベーションにつながったことがわかる声もありました。

 

アンケート出典:『慢性腎臓病(CKD)患者に特有の健康課題に適合した多職種連携による生活・食事指導等の実証研究

 

 

あまり変化を感じないという意見も

腎臓病療養指導士の資格を取ることでメリットを感じる看護師さんもいる一方で、資格を取っても、キャリアや待遇に変化を感じないという意見もあります。

 

資格を取るために勉強することでスキルアップにつながりますが、資格を生かす機会が現場で必ずしもあるとは限らない現状や、診療報酬への加算が適用されない点などが、資格を持つ一部の看護師さんの中では不満として捉えられているようです。

 

 

腎臓病療養指導士になるには

腎臓病療養指導士の資格を取るためには、次のステップを踏むことになります。

 

参考:日本腎臓病協会「腎臓病療養指導士について

 

症例要約等の用意が完了したら、6月~7月にWebから受験の申し込みをし、8月~10月にかけて受験書類を提出し、翌年の1月~2月に試験が実施されるという流れです。

 

ここでは、腎臓病療養指導士の受験資格と試験情報についてそれぞれ解説しています。

 

 

腎臓病療養指導士の受験資格は?

腎臓病療養指導士の試験を受けるためには、いくつかの要件をクリアする必要があります。

 

看護師さんの場合は、まず看護師として3年以上の実務経験が条件です。

 

その上で、下記の3点の条件をクリアすると、腎臓病療養指導士の認定試験を受けることができます。

 

腎臓病療養指導士の受験条件

条件 詳細
(1)療養指導の実務経験
  • 腎臓病患者の療養指導が「通算2年以上+通算1,000時間以上」
  • e-ラーニングによる実務代替研修の受講で代替も可能
(2)研修の受講
  • 慢性腎臓病患者に対する外来や療法指導などを見学・実施
(3)医療的ケア
  • 「腎臓病療養指導士認定のための講習会」を受講
  • オンデマンドによる受講も可能。受講証明は5年間有効

参考:日本腎臓病協会「腎臓病療養指導士について

 

資格試験に合格した後は、5年ごとに更新が必要となります。

 

 

腎臓病療養指導士の試験の内容は?

試験の合格率や具体的な内容は公式に発表されていませんが、これまでの実績としては、試験は150分でマークシート式でした。

 

合否は、実務経験や研修のレポートの内容と、認定試験結果などから総合的に判断されます。

 

腎臓病療養指導士の認定試験の試験日や試験会場、試験時間、持ち物などの試験情報詳細は、公式サイトを定期的に確認するようにしましょう。

 

 

腎臓病療養指導士試験の勉強法

腎臓病療養指導士の資格試験は、市販されているガイドラインや認定のための講習会の内容をもとに対策していきます。

 

過去問題が公表されておらず、「この範囲をピンポイントに対策する」というより、療養指導の全般的な知識が求められます

 

 

ガイドライン・ガイドブックで勉強する

腎臓病療養指導士の資格試験に備えるためには、主催団体から出されているガイドラインやガイドブックを活用しましょう。

 

代表的なものとして、以下のガイドライン・ガイドブックが挙げられます。

 

  • 『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』/編集:日本腎臓学会
  • 『腎臓病療養指導士のためのCKD指導ガイドブック』/編集:日本腎臓学会、日本腎不全看護学会、日本栄養士会、日本腎臓病薬物療法学会,日本腎臓リハビリテーション学会

 

 

講習会の内容、配布テキストで勉強する

腎臓病療養指導士の試験対策として、試験前に受講する「腎臓病療養指導士認定のための講習会」の受講内容や、講習会で配布されるテキストを活用して勉強することもおすすめです。

 

2023年に実施された講習会では、以下のようなプログラムが行われました。

 

  1. 1腎臓病療養指導士制度について
  2. 2慢性腎臓病 CKD とは何か
  3. 3CKD の管理について
  4. 4CKD 患者の療養生活支援
  5. 5CKD 患者の療法選択支援
  6. 6CKD の薬学的管理と服薬指導
  7. 7CKD のステージ別の食事指導
  8. 8CKD におけるチーム医療について

 

 

まとめ

慢性腎臓病の患者さんは今後さらに増えることが予想されており、腎臓病療養指導士の知識・技術をもった看護師さんの活躍の場は広がっていくでしょう。

 

資格を取るための学習をとおして療養指導の質が高くなり、仕事に対するモチベーションアップにもつながります。

 

腎臓病患者さんの指導にもっと自信を持ちたい、医師や栄養士、薬剤師と連携してチーム医療をやっていきたいといった方には、おすすめの資格です。

 

執筆:看護roo!編集部

 

この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます

 

 

看護師さんが挑戦した資格・検定の

体験談を募集中!

 

投稿はこちらのフォームから!

 

 資格・検定の体験談を投稿する

 

 

 

SNSシェア

コメント

0/100

仕事トップへ

掲示板でいま話題

他の話題を見る

アンケート受付中

他の本音アンケートを見る

今日の看護クイズ

本日の問題

◆呼吸器看護の問題◆慢性咳嗽は、咳嗽がどれくらい続いている状態と定義されているでしょうか?

  1. 4週間以上
  2. 6週間以上
  3. 8週間以上
  4. 10週間以上

11536人が挑戦!

解答してポイントをGET

ナースの給料明細

8907人の年収・手当公開中!

給料明細を検索