最終更新日 2019/07/17

急性リンパ性白血病

急性リンパ性白血病とは・・・

急性リンパ性白血病(きゅうせいりんぱせいはっけつびょう、acute lymphoblastic leukemia;ALL)とは、遺伝子異常が前駆細胞に生じることで、モノクローナルにリンパ前駆細胞が増殖する、リンパ球性悪性腫瘍のうち最も未分化な段階の腫瘍である

放置すると急速に進行する場合が多く、速やかな診断治療の開始が重要である。

急性リンパ性白血病は、Bリンパ球前駆細胞由来のBリンパ芽球性白血病(B lymphoblastic leukemia;B-ALL)と、Tリンパ球前駆細胞由来の小児T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)に分けられる。
Bリンパ芽球性白血病が全体の約85%程度、小児T細胞性急性リンパ芽球性白血病が約15%程度を占めている。

急性リンパ性白血病の好発年齢は小児であるが、若年や高齢者も発症することがある。小児では年間約500人が発症しており、小児がんのなかで最多である。

【症状】
急性リンパ性白血病の症状は、骨髄で正常造血が抑制されてしまうために起こる症状(貧血による息切れ動悸、倦怠感や、血小板減少に伴う出血傾向、白血球減少に伴う感染症等)と、白血病細胞が臓器に浸潤することで起こる症状がある。特に中枢神経系(脊髄)に浸潤しやすく、頭痛嘔吐、精神症状を認める場合は中枢神経系浸潤を疑う必要がある。

【診断・検査】
診断は血液検査骨髄検査で芽球の増加の有無や細胞形態、腫瘍細胞表面抗原や染色体検査を行う。大部分のB-ALLはCD10、CD19、細胞質内CD79が陽性であり、T-ALLはCD2、CD3、CD5、CD7の陽性率が高い。また染色体異常として、成人B-ALLの約25%はフィラデルフィア染色体(Ph)がみられる、-t(9;22)(q34;q11.2);BCR-ABL1を伴うB-ALLである。

【治療】
治療は、以下の順番で進めていく。

1)寛解導入:緩解導入療法は白血病の根絶と正常造血の回復を目的に行われる。
寛解導入治療の選択は、フィラデルフィア染色体の陽性の有無と年齢、全身状態により異なる。フィラデルフィア染色体陰性の場合には、寛解導入療法でビンクリスチン、アドリアマイシン、プレドニゾロン等の抗がん剤を組み合わせて治療する。

2)地固め療法・維持療法:緩解導入療法後、残存している白血病細胞の根絶と再発・再燃の予防を目的に行われる。
地固め療法では大量のメトトレキサート(MTX)、シタラビン(Ara-C)が用いられることが多い。
維持療法:維持療法では6メルカプトプリン(6-MP)と少量のメトトレキサートの内服を2~3年間継続する。

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