最終更新日 2018/06/06

熱中症

熱中症とは・・・

熱中症(ねっちゅうしょう)は、暑熱暴露、身体運動による体熱産生増加を契機として引き起こされる全身の諸症状である。発症の特徴は年代によって異なるが、小児では温度・湿度がいずれも高い場所での運動活動が熱中症発症に強く関与するとされる。

【疫学】
毎年5万人前後が熱中症で搬送されており、このうち約7000人(14%)が小児とされている。熱中症のよる死亡例のうち75~80%が65歳以上の高齢者であるが、小児死亡例も毎年数件報告されている。

【発生機序】
体内では常に熱産生が行われており、運動によりさらに熱が産生される。熱は毛細血管を流れる血流にのり、外気温で直接冷却されるとともに、汗が蒸発することで生じる気化熱によって放散される。小児の場合、一汗腺あたりの発汗量と温熱刺激に対する汗腺の感受性が成人より低いため、発汗による放熱のみでは十分に代償できず、熱伝導に体温低下を依存している。そのため、気温や湿度が高い環境では熱中症になりやすい。

【分類】
熱中症の重症度を表すのに熱射病、熱痙攣、熱疲労等の言葉を使用してきたが、重症度や治療方法と結びつきにくく混乱を招きやすいことから、2012年から日本救急医学会熱中症ガイドラインでは重症度をⅠ~Ⅲ度までの3段階に分類している。

【治療】
・I度熱中症
症状はめまい、立ち眩み、こむら返り等。意識は清明で、臓器症状を認めない。
現場での安静・水分摂取により対応可能である。
・II度熱中症
症状は頭痛嘔吐、倦怠感、集中力の低下(JCS≦1)
医療機関での診察が必要あり十分な水分とNaの補給や体温管理を要する。
・III度熱中症
中枢神経症状(意識障害≧JCS2、痙攣、小脳症状)または肝腎機能障害(入院が必要な程度)または血液凝固異常(急性期DIC診断基準でDICと診断)のいずれかが認められる場合。
入院加療による体温管理や呼吸・循環管理が必要。

【治療・予防】
適切な水分摂取が予防につながる。塩分と水分を適切に含んだもの(0.1~0.2%食塩水)が望ましい。塩分を含まない水分のみの補給では自由水は補給されるもののNaが希釈され痙攣の閾値を下げ、補給された水分も血清浸透圧低下に伴う水利尿によって体外に排泄されてしまう。
冷却方法については大量の水の噴霧や水槽に浸漬する方法がある。重症患者の場合は血管内冷却カテーテルを用いた冷却法も推奨されている。

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