最終更新日 2018/03/29

喘息

喘息とは・・・

喘息(ぜんそく、asthma)とは、慢性の気道炎症、可逆性の気道狭窄、気道過敏性の亢進が主病態としてあり、発作時には咳嗽(がいそう)、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などを認める疾患である。

【病態】

感染やアレルゲンにさらされることで気道粘膜の炎症細胞からさまざまなサイトカインが放出され、気道粘膜や気道平滑筋の炎症が生じる。炎症に対する反応は急性の反応と慢性の反応がある。

炎症に対する急性反応として、気道粘膜はむくみ、粘液の分泌が亢進する。また、気道平滑筋は炎症により収縮する。急性反応の結果、気道狭窄や閉塞が生じて、いわゆる「喘息発作」の症状が引き起こされる。この反応は可逆的であり、炎症が治まれば気道狭窄は改善する。

一方、炎症に対する慢性反応として、気道粘膜の線維化や粘膜下腺細胞が増生し、平滑筋も肥厚する。これらの慢性反応は気道のリモデリング(気道壁の肥厚により気管支内腔が狭くなる現象)を引き起こし、気道狭窄が進行する。それと同時に気道過敏性も亢進するため、刺激に対して急性反応を起こしやすくなる。気道のリモデリングや気道過敏性の亢進は急性反応とは異なり不可逆であり、しかも症状がない時にも進行し、急性反応、つまり喘息発作が生じやすくなっていく。

【症状】

咳嗽(がいそう)、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などを認める。このような症状は発作時にみられ、非発作時にはほとんどみられない。発作の誘因(トリガー)としては、気道感染、タバコ、ハウスダスト、気温や湿度の変化、運動ストレスなどさまざまなものがある。一度発作を起こすと、咳嗽、呼吸困難、喘鳴を認める。

【治療】

喘息の治療は、発作時の治療と非発作時の治療の二つが大切である。

発作時の治療は気道の拡張と気道粘膜の炎症を抑制することが重要である。発作の重症度は、SpO2の値や喘鳴の程度、会話がどの程度できるか、聴診所見などにより分類され、それに応じた治療を行う。治療の軸となるのは短時間作用型β2刺激薬の吸入で、これにより気管の拡張を図る。重症になればそれとともに、ステロイドの全身投与(内服あるいは点滴)を行い、気道粘膜の炎症を抑える。低酸素血症がある場合は酸素吸入も行う。最重症の場合は、エピネフリンの筋肉注射と皮下注射も行われ、気管挿管を要することもある。

非発作時の治療目的は、発作予防と炎症に対する気道の慢性反応進行を抑制することである。発作頻度やピークフロー値により、重症度が分類され、それにより使用される薬剤が選択される。治療の軸となるのは吸入ステロイド薬で、これに長時間作用型β2刺激薬や抗ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放薬が併用される。

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