綾野剛、小松菜奈が演じる精神科患者と病棟がリアル!映画『閉鎖病棟―それぞれの朝―』をナースが観てきた

『閉鎖病棟―それぞれの朝―』の劇中写真

©2019「閉鎖病棟」製作委員会

 

精神科ナースでなければ、見ることができない「閉鎖病棟」。

その「閉鎖病棟」をリアルに描いた作品がこの秋、公開になります!

 

患者役に笑福亭鶴瓶さん、綾野剛さん、小松菜奈さん。看護師役には小林聡美さんとキャストも豪華!

 

今回、映画『閉鎖病棟―それぞれの朝―』の試写を観た2年目ナースとベテランナースが映画の見どころを語ります。

 

現役看護師の小沼さんと近藤さんの2ショット

左:小沼さん(精神科病院で6年間の勤務経験があるベテランナース。現在はクリニックに勤務)

右:近藤さん(大学病院血液内科勤務2年目の新人ナース。学生時代、閉鎖病棟で実習した経験も)

 

ライター/橋本優子(看護師、ファンメディケーション

 

勤務経験者もびっくりのリアル感…

右を向いている近藤さんのアイコン

映画を観て一番驚いたのは、閉鎖病棟の自由度が高いこと!

実際に患者さんはあんなに自由にしているんですか?

 

説明している小沼さんのアイコン

うん、あれは実際の閉鎖病棟の様子に近いと思いました。

 

患者さんの居室も、多目的ホールも、休憩場所も、ナースステーションも、すべてが「閉鎖病棟」の中にあるんです。

 

その病棟の中で、散歩したり、おしゃべりしたり、患者さんは比較的自由に過ごします。

治療の場だけど、患者さんの生活の場でもあるんだよね。

 

綾野剛演じるチュウさんが会話をしているシーン

閉鎖病棟のホールでは、患者たちが自由に過ごしている。本作では、患者同士のコミュニケーションが活発で、看護師より患者の方が情報通な場面も描かれた。©2019「閉鎖病棟」製作委員会

 

右を向いている近藤さんのアイコン

笑福亭鶴瓶さん演じる秀丸(ひでまる)が映画の冒頭で言っていた「(この病棟にいると)人間から患者になっていく」という言葉が印象的でした。あの言葉ってどういう意味なんですか?

 

真剣な小沼さんのアイコン

あれはリアルな言葉だな、と思いましたね。

 

療養型病棟では数十年を超える長い期間、入院されている方もいます。

 

何十年も入院していると退院して外の世界へ出ることが怖くなったり、身寄りや帰る場所がなくなったりする場合もないとは言えません。そのことを指してたんじゃないかな。

 

閉鎖病棟の中で長年生活をすると、その生活パターンや決まりごとが患者さんの生活のすべてになるから、「患者になっていく」って話したんだと思う。

 

 

綾野剛、小松菜奈演じる患者のリアルなキャラクター

右を向いている近藤さんのアイコン

幻聴に苦しむチュウさん(綾野剛)って、前髪がなぜか長くて、目を隠すように垂らしていたり、廊下の端を歩いていたり…。

「ああ、実習で見た患者さんそのものだ」という感じがしました。

 

説明している小沼さんのアイコン

そうだよね。

オレも小松菜奈さんが演じる由紀の生い立ちや、家族の状況は、実際に閉鎖病棟で入院していた患者さんたちに近いなって思った。

患者さんたちの家庭環境もリアルでしたね。

 

幻聴に襲われるチュウさん(綾野剛)に寄り添う秀丸(笑福亭鶴瓶)のシーン

元会社員のチュウさん(綾野剛)は、幻聴に悩まされている。©2019「閉鎖病棟」製作委員会

 

 

ラジオ体操にカラオケ大会…その意味は?

右を向いている近藤さんのアイコン

実習のとき「ラジオ体操」を患者さんと一緒にやったのを覚えています。

映画にも「ラジオ体操」や「カラオケ大会」の場面がありましたよね。

 

笑っている小沼さんのアイコン

映画の「カラオケ大会」楽しそうだったよね。

普段とは全然違う顔を見せる患者さんがいたりして。

実際にも、入院前の特技や趣味を思い出して楽しむ方が多いです。

 

ラジオ体操、カラオケ、ゲーム、季節の行事など、閉鎖病棟ではイベントが目白押し。

閉鎖されている場所だからこそ、生活の感覚を失わないように、レクリエーションを大事にしているんです。

 

笑っている近藤さんのアイコン

そういえば、実習のとき、病院の敷地内で花を摘み、生け花をするという時間がありました!

 

説明している小沼さんのアイコン

生け花ひとつとっても、ただのレクじゃなくて、季節の感覚を忘れないためのリハビリテーションでもあるんだよ。

 

病院の許可を得て街へ買い物に出るシーン

映画の中では、許可を得て街へ買い物に出るシーンも。©2019「閉鎖病棟」製作委員会

 

笑っている近藤さんのアイコン

精神の実習でいちばん難しかったのって患者さんとの距離のとり方だったんです。

この映画の小林聡美さん演じる師長ってすごく自然でいいなと思いました。

 

笑っている小沼さんのアイコン

オレも思いました!

チュウさん(綾野剛)の退院が決まって、不安を打ち明けた場面の「ゆっくりゆっくりでいいよ。それでもだめだったら帰ってきなさい」という師長の言葉。

 

戻ってくる場所があるんだよ、という言葉をかけている場面がとてもよかったです。

 

共感している近藤さんのアイコン

そう!さりげなくて素敵でした!

私だったら、患者さんが本当に退院して大丈夫なのか不安になっちゃって、細かく質問したりしてしまいそう。

 

笑っている小沼さんのアイコン

わかる!看護師って質問したり、なにかアドバイスしようとしがちだよね。

 

でも、この師長は一言だけ投げかけた。

なかなかできることじゃないよね。

 

あとは同じく師長の「(チュウさんの横に)座っていい?」というひと言もすごいと思った。

これも精神科ならではの、声かけなんだよね。

 

隣に座るなんて、一般病棟では何も言わずにするかもしれないけど、精神科病棟では、ただそれだけで患者さんが怒り出したりすることもある。

だから、「いま、患者さんがどんな精神状態か」をアセスメントすることって、常に求められていて、確認する言葉が大切なんです。

 

師長は、人間としてその患者さんを尊重しているからこそ、この一言がさりげなく出たんだと思う。

 

この映画の師長さんは患者さんとの距離感が絶妙でうまい!

 

笑っている近藤さんのアイコン

どの病棟のナースでも、勉強になるところがあるんじゃないかなって思いました!

 

 

「あるある」と「ツッコミ」を楽しんで!

説明している小沼さんのアイコン

この映画、精神科に勤務したことがある人は「精神科あるある」で楽しめます。

 

細かく見ていくと、ツッコミどころもあったり、いま勤務している病棟との違いに驚いたりするかも。

ナースの視点ならではの楽しみ方ができると思いますよ!

 

共感している近藤さんのアイコン

普段なかなか接することができないから、こうやって映画になると精神科の患者さんや家族の状況を知るきっかけになりますよね。

 

公開されたら、同期ともう一回観に行こうと思います!

 

 

■映画情報■

『閉鎖病棟―それぞれの朝―』のポスター画像

『閉鎖病棟―それぞれの朝―』

【キャスト】笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈、他

2019年11月1日(金)全国ロードショー

公式サイト

【原作】帚木蓬生『閉鎖病棟』(新潮文庫刊)

【監督・脚本】平山秀幸

【配給】東映 ©2019「閉鎖病棟」製作委員会[PG-12]

 

取材時撮影・編集/坂本綾子(看護roo!編集部)

 

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