エボラ感染者は排除すべきなのか?「感染者は脅威ではない」米国看護師の訴え

西アフリカを中心に猛威をふるうエボラ出血熱――現地に住む人々だけでなく、各国から集まった医療関係者にも次々と感染が広がり、世界保健機関(WHO)が制御不能のレベルに入ったとして緊急事態宣言を出したことは記憶に新しいでしょう。

 

そんな中、アメリカではエボラ出血熱に感染した医療関係者を帰国させないでほしいという世論が広まっていました。その理由は、感染者の帰国によってアメリカ国内にエボラ出血熱が蔓延してしまうから、というもの。

 

それに対し、堂々と異を唱えた看護師がいました。一体彼女は何を訴え、何を主張していたのでしょうか。

 

エボラ感染者は排除すべきなのか?「感染者は脅威ではない」米国看護師の訴え

 

「感染者は脅威ではない」それを裏付ける徹底した教育と設備

現地で医療活動をしているうちにエボラウイルスに感染した2人のアメリカ人は、アフリカから米アトランタにあるエモリー大学病院に到着し、専門の隔離病棟に収容されました。

 

この事実にメディアや大衆は大バッシング。アメリカ国土にエボラ感染を広げてしまうのではないかと危惧し、「感染者を入国させるのは軽率」「なぜ現地で治療をしないのか」などの意見がソーシャルメディアを中心に広がっていました。

 

エモリー大学病院看護師長であるスーザン・M・グラントは、そんな世間の反応に対し「感染者の受け入れは国にとって脅威ではない」と断言しました。そして、世論を渦巻く恐怖心はどれも根拠のないものばかりで、エボラに関する知識不足と私たちの危機管理能力に対する認識不足を如実に表していると嘆きました。

 

彼女曰く、エモリー大学病院では強い感染力がある疾患にかかった患者に対しては、特別に1つのユニットを設けて対応すると同時に、スタッフは感染をコントロールするための手順やプロトコールを徹底的に訓練されているとのこと。彼女には絶対の自信があったのです。

 

患者を受け入れることで見識が広がる

彼女は、感染者受け入れによって得られる利益についても主張しました。彼女のいう利益とは、「受け入れによって疾患に対する新たな見識が得られる」というものです。感染者のケアをすることは、その命を助ける以外にも疾患に対する研究を進めることにつながります。有効な治療法やワクチンなどが存在しない今だからこそ、患者の受け入れは必要不可欠というわけです。

 

また、こういった緊急事態は決して対岸の火事ではなく、私たちが暮らす世界の一部として捉えることが重要であるとも述べています。「もし私たちがコントロール不能とされる疾患の根絶を望むならば、世界的な研究努力に寄与しなければならない」――彼女は強く訴えます。

 

 

「欲」はない、そこにあるのは「使命感」

最後に彼女は、自身が考える医療従事者のあり方についても述べていました。

 

「なぜ私たちは(感染などの)リスクの高い仕事をあえて選択するのか?――それは人のためになるから、困っている人の世話をしたいからです。今回エボラ出血熱に感染してしまった2人も、ヘルスケア基盤のない国々で致命的な疾病を根絶するという使命感を持ってアフリカへ行きました。私たちに、私利私欲はありません。」

 

また、今回エモリー大学病院に感染者が搬入されるにあたって、少なくとも2人の看護師が休暇を取り消し、治療チームに加わったとのことです。

 

恐れるばかりでは何も始まらない

ここ日本においても、エボラ出血熱というこれまで聞き慣れなかった疾患に脅威を感じる人は多いでしょう。今回のような事態を収束させるためには、適切な援助物資や各国の協力が必要なのはもちろんですが、まずは個々が正しい知識を持つことが大切なのかもしれません。

 

そして何よりも、遠く離れた場所で高いリスクを抱えつつ日夜奮闘している人たちの存在を忘れないようにしたいものです。

 

 

(参考)

I’m the head nurse at Emory. This is why we wanted to bring the Ebola patients to the U.S.

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