米国では当たり前?診断や治療もできるエキスパートナース「NP(ナースプラクティショナー)」

Nurse Practitioner(ナースプラクティショナー・NP)を知っていますか? アメリカでは看護師の職位が細かく分類されているのですが(専門看護師CNS、麻酔看護師のCRNA、高度実践看護師のACNなど)、一般的な看護職(日本でいう正看護師)の上位職種にあたるのがNPです。

 

仕事内容は患者にプライマリーケアを提供し専門的な医療機関を紹介することですが、ある程度の診断や治療ならば単独で行うこともできます。そのため、位置づけとしてはちょうど医師と看護師の中間にあるといえるでしょう。

 

日本にも専門看護師認定看護師などがいますが、医師法により、診断、薬剤の処方、投与などを行うことは認められていません。現在、特定の医療行為を実施できる「特定看護師」は導入の検討段階に入っていますが、この資格においても「医師の指示の下」であることが前提となっています。つまりNPに相当する職種は存在しないというわけですね。

 

でも、アメリカではNPの存在はごく一般的。ここではそんなアメリカのNPの活動を通じて、その必要性や課題点などを探ってみたいと思います。

米国では当たり前?診断や治療もできるエキスパートナース「NP」|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

医師よりも「広範囲に」かつ「じっくり」と患者と向かい合う

メリーランド州のサンドラ・ネティナは、NPの中でも特にFamily Nurse Practitioner(FNP)といわれる資格を持って働いています。FNPは成人看護に加え小児科や婦人科領域も診ることができるため、その需要と資格保有者は多いようです。

 

彼女は、「FNPのように広範囲にわたる診療では医師の診察よりもじっくり患者の話を聞くことができ、より包括的な医療が提供できる」と語ります。実際にサンドラは、重度のリウマチ、高齢期の慢性肺疾患や慢性心疾患、肥満などの理由で家に引きこもりがちになった患者宅を訪問し、彼らのニーズを満たす活動もしているとのことです。

 

 

完全にナース独断ではなく医師との連携も

ヴァージニア州のマリベス・カプノは、セーレム退役軍人医療センターにて心臓病患者を診ています。患者が抱える疾患は不整脈から冠動脈心疾患までと幅広く、時にはステント留置患者のケアも行っています。彼女はまたNPヴァージニア会議の議長でもあり、無料診療所でボランティアを行うなど総合的なヘルスケアを日々提供しています。

 

マリベスは「NPのほとんどが内科医と良好な連携体制をとっている」と述べています。そして「不測の事態になれば、医師だけでなく他のNPや医師助手に対しても協力を依頼する」とのことです。どんなに優れたNPであっても、やはり高度の専門知識を必要とするケースは起きるもの。彼女はプライマリーケア提供者と専門分野のスペシャリストとの調和を特に重視しているようです。

 

 

NPを取り巻く問題は?

NPが活躍する環境では問題点もいくつか存在するようです。そのうちの一つは内科医やその他医療従事者をとりまく政治的な問題――つまり、「誰が、どこまで、何を診るのか?」ということです。

 

アメリカでは、就労する人々の雇用や収入を確保するために職域が細かく分類されることが多々あります。医療業界もまさに同じ状況にあるようです。こういった問題解決のために、NPと内科医との間で業務上の契約を義務付けるなどの協定はあるものの、州によってはその点が各自治に任されているケースもあり、根本的な解決には至っていないのが現状です。

 

 

日本国内でNPが誕生する日は来るか

アメリカでNPが設立された背景には、医師不足や医療費削減などがあります。確かにNPのようにプライマリーケアを提供できる人が増えることで、より多くの「患者の振り分け」が可能になり無駄な医療費がかからなくなるでしょう。それに伴って、専門医は専門性の強い病態とじっくり向き合う機会も増えます。

 

先にも述べた通り、現在日本では特定看護師の導入が検討されている段階であり、NPの導入はまだまだ先の話……のように感じるかもしれませんが、実は日本でもNPを創設しようとする動きがあります。しかし、そのためには行政の理解、教育制度の改革、その他医療従事者との協調など、乗り越えるべき課題は山積みのようです。また、NP導入による「職業的ヒエラルキーの発生」「低コスト医療制度の推進」などは危険とする意見もあがっており、導入に反対する動きがあるのも事実です。

 

各国によって文化や事情はさまざまありますが、現在の日本の看護制度についてあなたはどう考えますか? そう遠くない未来でNPが創設された場合、その資格を取りますか?

 

 

文:宮川梨沙

 

(参考)

9 Things to Know About Nurse Practitioners

(追記)

特定行為の大枠がついに決定!ドレーンやカテーテル抜去、薬剤投与など38項目

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