「意識がなくても聞こえている」すべてのICU勤務者が知るべき、驚きの患者体験談

ICUを含め、さまざまな科や施設において看護師は日夜、昏睡状態にある患者さんのケアにあたっています。あなたは昏睡状態や意識レベルの低い状態にあると医学的に判断されている患者さんに対してどのように接しているでしょうか?

 

ここでご紹介するとある女性の体験談は、多忙な業務で忘れてしまいそうな看護の基本について考えさせられるエピソードです。

 

ICUで起こったことをすべて鮮明に覚えていた女性

20年前の事故で、ICUでの治療を受けた経験をもつキャシーさんはこう語ります。

 

「意識がなくても聞こえている」すべてのICU勤務者が知るべき、驚きの患者体験談|キャシーさんの体験|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

「意識が戻った時、私はICUにいました。目は腫れて開けられず、あごもしっかり閉じられていました。そこにあったのは、私の喉の穴から呼吸を管理する人工呼吸器でした。私は、見ることもできなければ、話すことも飲食もできず、自分自身で呼吸さえもできませんでした。しかし、こんな状態でも、すべての出来事を聞くことはできたのです」

 

ICUに収容されたキャシーさんのように、外見上は「深昏睡」とされる患者さんも、刺激による反応やアウトプットが得られなくても、聴覚からまわりに起こることを理解できているケースがあります。

 

キャシーさんは続けます。

「私は、耳障りなアラームで落ち着かないICUの中で私自身に何が起こったのか、これから何が起こるのかを知る手掛かりを必死に探しました。大きなアラームが鳴るけれど見ることもできないし、なぜなのか、もしかしたら死んでしまうのかもしれないとも思ったほどです。看護師はアラームを消しには来ますが、その後は何の説明もなく行ってしまうのです」

 

また、彼女は回診について語ります。

「回診の時に医師がベッドを囲んで、私のケースを詳細に話し合っていましたが、医療用語ばかりで全く何の話をしているのか理解できませんでした。そして、また私にとってはすべてが謎のまま立ち去って行くのです」

 

もし、キャシーさんに意識があれば、きっとアラームが鳴った原因や、治療の説明を受けることができたでしょう。彼女のように、深昏睡と判断されているゆえに適切な情報提供が受けられず、ひとしれず深い孤独と恐怖にさらされている患者さんがいるようです。

 

一人の看護師からの語りかけが心の支えに

「意識がなくても聞こえている」すべてのICU勤務者が知るべき、驚きの患者体験談|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

「夜勤の看護師さんがしてくれたのはさまざまな身体的なケアだけでした。1番看て欲しかった感情面、精神的なケアをしてくれたのはたった一人の看護師さんだけでした」と、キャシーさんは言います。

 

「その彼が来てくれる時には、いつも私の状態を見た後に肩に手を当てて耳元に話しかけてくれたのです。目は開けられませんでしたが、わずかな隙間からシルエットだけは知ることができました。そして、いつもその日の予定をきちんと説明してくれたのです。これだけのことですが、3週間人工呼吸器で管理されていても誰一人私にしてくれませんでした」

 

「彼は、私を普通の人のように関わってくれたのです。彼は傷の消毒、清拭、着替え等何でも予定をきちんと教えてくれました。点滴を確認する時でさえ、何でも伝えてくれました(……)説明することはほんの一瞬のことですが、それだけでも患者の安心感につながります」

 

この看護師はほかにも、キャシーさんに最新のニュースや外の天気を教えるなどの語りかけを行い、そんな彼の看護をキャシーさんは決して忘れないと語っています。

 

これまでも多くの人が、ICUでの治療後に回復し、キャシーさんと同様に「すべてが聞こえていた」と語っていますが、昏睡状態と判断された患者さんがここまで鮮明に、そして詳細に身の回りに起きたこと記憶されていたことは、まさに驚きです。

昏睡状態にある患者さんへの精神的ケアの重要性を改めて知ることができるとともに、毎日の語りかけが、どんな容態の患者さんにも届いているという実感できるエピソードではないでしょうか。

 

文:A.Brunner

 

参考:
Heart in Healthcare, Kathy’s Story
意識不明とされていた時期に意識があったケース
 

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