合格しても看護師免許がもらえない…「欠格事由」って?

看護師免許の「欠格事由」って? | 第103回看護師国家試験・直前準備号【2】001

看護師国家試験に合格した人は、厚生労働大臣(准看護師の場合は都道府県知事)の免許を受け、晴れてナースの仲間入りとなります。

ところが、国試に合格しても、免許を受け取れない場合があるって、ご存知ですか?

 

今回は、看護師免許の欠格事由について。受験者の皆さんだけでなく、現在看護師として働いている皆さんにも関係のあるお話です。

 

【Index】

1.看護師免許の欠格事由と処分について

2.交通違反・交通事故…どこまでが処分の対象?

3.欠格事由に該当した場合の対処法

番外編1.現職ナースが9条の欠格事由に該当した場合は…?

番外編2.公務員看護師は処分が厳格?

 

1.看護師免許の欠格事由と処分について

 

看護師免許の欠格事由とは?

免許の欠格事由というのは、いわゆる看護師免許を取り消されてしまう場合の条件のこと。

この欠格事由に該当した場合、現職看護師さんの場合は免許剥奪。これから受験する皆さんは、試験に合格しても免許をもらえない、ということになるのです。

それでは、保健師助産師看護師法に記載されている、欠格事由について紐解いてみましょう。

 

免許剥奪の対象は、保健師助産師看護師法 第9条 に記載されているケース

=心身の障害、薬物依存、犯罪・不正行為、医療従事者としての品位に欠ける行いなど

 

保健師助産師看護師法では、看護師・保健師・助産師になるためには、国家試験に合格し厚生労働大臣(准看護師の場合は都道府県知事)の免許を受けなければならない、と定められています。

この際、試験に合格しても、「保健師助産師看護師法 第9条」に該当する場合は、免許を与えないことがある(現職の場合は剥奪となる)、とされています。国試合格者や現職看護師が処分の対象になるのは次の通り。

 

保健師助産師看護師法 第九条  

次の各号のいずれかに該当する者には、前二条の規定による免許(以下「免許」という。)を与えないことがある。

 罰金以上の刑に処せられた者

 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの

 麻薬、大麻又はあへんの中毒者

 

看護師免許の「欠格事由」って? | 第103回看護師国家試験・直前準備号【2】002

裁判を経験し、前科が付いた場合は、基本的に欠格事由に該当すると思って良いでしょう。

 

2.交通違反・交通事故…どこまでが処分の対象?
 

交通違反はアウト? セーフ?

看護師免許の「欠格事由」って? | 第103回看護師国家試験・直前準備号【2】003

罰金刑以上と聞いて、身近なのは交通違反ですね。

駐車違反や一時停止違反、30km/h未満のスピード超過など…いわゆる“青切符”の交通違反で支払うのは、罰金ではなく、反則金。しかも、「反則金を支払うことで、刑事罰を受けなくてよい(=前科がつかない)」というものですので、9条の欠格事由にはなりません。

 

物損事故の場合は?

看護師免許の「欠格事由」って? | 第103回看護師国家試験・直前準備号【2】004

壁やガードレールに突っ込んだ、など、自損事故や物損事故で怪我人がない場合には、交通事故であっても前科はつきませんので、9条に該当しません(但し、信号無視や無免許運転、飲酒運転などの重大過失がある場合を除く)。

 

相手に怪我を負わせた。人身事故の場合は…?

看護師免許の「欠格事由」って? | 第103回看護師国家試験・直前準備号【2】005

ネットのお悩み掲示板には、「交通事故を起こしてしまった。看護師免許は剥奪になるの?」という質問がたびたび寄せられています。悪気があって事故を起こす人はいませんが、残念ながら、人身事故(車同士・対人を問わず事故によって相手を死傷させた場合)は、裁判となり、刑事処分が科せられるため、9条の欠格事由に該当します。

 

※人身事故を起こした場合でも、被害者から申し出があったり、検察庁から出頭要請がなかった場合には、刑事処分が科せられないこともあります。

 

但し、9条に該当したら免許の交付を受けられない とは限らない。

但し、9条の欠格事由に該当したからと言って、即刻看護師免許の交付が受けられなくなるわけではありません。時間を掛けて状況等を審議した上で、最終的な判断が下されます。

 

3.欠格事由に該当した場合の対処法
 

事故を起こした経験がある場合は、試験合格後に申告が必要

欠格事由に該当する場合、基本的に合格後にその申告を行うため、国試を受けること自体は可能です。

看護師国家試験に合格した人は、免許の申請を行う際、過去に罰金以上の刑罰を受けたことがあるか否か、欠格事由に該当しているかどうかを申告する義務があります。

この申告があってから、事故に関する事実確認や聴取、審議などが行われ、最終的に免許を発行するかどうかの判断が下されます。そのため、交付される場合は、通常より1~2ヶ月ほど遅いタイミングになるようです。

事故を起こしても看護師になれた人はたくさんいます。あきらめず、まずは気持ちを切り替えて、国試を受験しましょう。

但し、事故への対応がまだ済んでない人は、自分の都合ばかりを優先しないこと。看護師は人の命を守る仕事。くれぐれも被害者とその家族への対応は最後まで誠意を持って行いましょう。

 

判断に困ったら厚生労働省医政局医事課試験免許室へ

また、日本看護協会のサイトでは、「罰金刑などの刑罰を受けたのですが、看護師(准看護師)免許は取得できないのでしょうか?」という質問に対し、次のような解答が示されています。
 

看護師免許の付与については厚生労働省が判断しますので、
厚生労働省医政局医事課試験免許室(03-3595-2204
)にお尋ね下さい。
准看護師免許については各都道府県庁へお尋ね下さい。

 

欠格事由について心当たりのある人は、併せてチェックしておきましょう。

 

番外編1.現職ナースが9条の欠格事由に該当した場合は…?
 

「戒告」「3年以内の業務停止」「免許の取り消し」のいずれか

現職の看護師・助産師・保健師が9条の欠格事由に該当した場合、まず、その旨の通知が来ます。その後、必要に応じて意見聴取が行われ、審議会で処分内容が決定されます。

処分の内容は、保健師助産師看護師法 第14条に基づき、内容に応じて「戒告」「3年以内の業務停止」「免許の取り消し」のいずれかが適用されることになっています。

 

保健師助産師看護師法 第十四条

保健師、助産師若しくは看護師が第9条各号のいずれかに該当するに至つたとき、又は保健師、助産師若しくは看護師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。

 戒告

 三年以内の業務の停止

 免許の取消し

 准看護師が第9条各号のいずれかに該当するに至つたとき、又は准看護師としての品位を損するような行為のあつたときは、都道府県知事は、次に掲げる処分をすることができる。

 戒告

 三年以内の業務の停止

 免許の取消し

 前二項の規定による取消処分を受けた者(第九条第一号若しくは第二号に該当し、又は保健師、助産師、看護師若しくは准看護師としての品位を損するような 行為のあつた者として前二項の規定による取消処分を受けた者にあつては、その処分の日から起算して五年を経過しない者を除く。)であつても、その者がその 取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与える ことができる。この場合においては、第十二条の規定を準用する。

 

「免許の取り消し」は、中でも最も重い処分

「免許の取り消し」は、中でも最も重い処分です。実際に取消処分を受けている看護師は、年間わずか数名ほど。参考までに、2013年に厚労省から免許の取り消しがあった看護師の数は、3名。それぞれの罪状は、未成年者誘拐、強姦致傷、現住建造物当方か未遂・建造物損壊となっています(CBニュース2013/1/30より)。

 

実際、ネットでは交通事故を起こしてしまったものの、取消処分にはならなかったという声を多く目にします。2010年には、飲酒運転で人身事故を起こし、自動車運転過失傷害などの罪で懲役2年6ヶ月・執行猶予4年となった看護師が処分を受けましたが、こちらも3年の業務停止と、取り消しには至りませんでした(共同通信2010/02/01より)が。

 

とはいえ、事故時の対応や被害者への謝罪・配慮に欠けた場合、反省の色がない場合などは、当然、処分内容も変わってくることでしょう。第14条では、9条にも「看護師としての品位を損するような行為のあつたとき」も同様に処分対象となる、との記述があります。日頃はもちろん、何か問題を起こしてしまったときこそ、医療従事者としての立場を忘れず、しっかりとした対応を行うことが望まれていると言えるでしょう。

 

番外編2.公務員看護師は処分が厳格?
 

一方、公立病院に勤務する看護師、つまり公務員看護師の場合は、助産師保健師看護師法に加え、公務員法が適用されます。

2007年、岡山県で窃盗容疑で逮捕され、懲役1年6ヶ月(執行猶予3年)と言い渡された県立病院の看護師は、看護師免許の剥奪以前に、地方公務員法の欠格事由により失職しました。最後に公務員法第十六条を引用しておきますので、公立病院に勤務されている方は、参考までに。

 

第16条 次の各号の一に該当する者は、条例て定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
1.成年被後見人又は被保佐人
2.禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
3.当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
4.人事委員会又は公平委員会の委員の職にあつて、第5章に規定する罪を犯し刑に処せられた者
5.日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

 

【看護roo!編集部】

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