「モルヒネだけは飲みたくない」への対応法|平方眞の「看取りの技術」

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

 

平方 眞(愛和病院)

 

***

 

本連載では、書籍『看取りの技術』の内容の一部を、加筆修正してご紹介します。

 

前回に続いて、がん患者さんの痛みの訴えへの対応法について述べます。

 

NSAIDsなどの一般的な鎮痛薬に比べて、モルヒネなどの医療用麻薬は、とかく嫌がられます。そのほとんどは誤解で、実際の医療用麻薬は適切に使えばとても良い鎮痛薬なのですが、「いけない薬」「最後に使う薬」のようなイメージが世間一般にはまだ根強くあります。

 

緩和ケア研修会の普及などによって、医療現場での誤解はかなり少なくなりました。しかし研修に参加したことがない医師もまだ多く、緩和ケア医として麻薬を使いましょうと助言すると、尻込みされてしまうこともあります。

 

特に「モルヒネ」と「麻薬」という言葉の印象が良くないようです。どうも「ダメ!ゼッタイ!」という薬物乱用防止キャンペーンのイメージを持ってしまう人が少なくないようです。

 

私が実際に聞いた患者さんの言葉として、「どんなに痛くても、モルヒネだけは絶対飲みたくない」「モルヒネなんて飲むようになっちゃ、終わりだな」などがあります。既に別の種類の強オピオイドを使用していた患者さんから「生きているのも大変になってきたから、モルヒネでも一服盛って、コロッとあの世に行かせてくれ」と言われたこともあります。

 

私は緩和ケアを20 年近くやっていますが、今までモルヒネによって命が終わった人は見たことがありません。それくらい、実際の薬の作用や効果と一般の認識はズレがあるのです。

 

この誤解を解かずに処方していると、患者さんや家族は「飲みたくない薬を仕方なく飲んでいる」ことになります。正しいイメージで捉え直してもらうために、医療用麻薬を開始するときに、私は次のことを必ず説明するようにしています。

 

◎ 今使っている薬では痛みが十分抑えられないので、次の段階の痛み止めが必要です。
◎ 「医療用」麻薬の一種です(「モルヒネです」あるいは「モルヒネに近い種類です」と伝えることも)。
◎ 多くの患者さんが、今のような状態のときに使って痛みを止めています。
◎ 今までの痛み止めと異なる副作用(=便秘、初期の吐き気、初期の眠気)があります。
◎ 副作用で困らないようにする薬も一緒に処方します。
◎ 最初の量で痛みが止まらなくても、痛みに応じて増やすことができる薬です。

 

このように説明し、モルヒネやオキシコドンをはじめとした医療用麻薬を「良い薬」だと患者さんに認識してもらえて、実際に服用して効果が実感できれば、その後の治療もよりうまくいくようになります。

 

※このコラムでは、読者の皆様から、看取りにまつわるさまざまな疑問・質問、「こうした方がよりうまく行くのでは?」「私はこんな工夫をしています」などのご意見を募集しています。投稿はこちらから。お待ちしています。

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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