喫煙によるDNAの変異は、一生元に戻らないことが明らかに

喫煙によるさまざまな悪影響はすでに長年にわたり指摘されており、現在では、健康保険を使った禁煙治療も行われるようになりました。では、禁煙すれば喫煙の悪影響を完全に断てるのでしょうか? 実は、たとえ禁煙したとしても喫煙の影響がDNAに突然変異として残り、一生元には戻らないことが確認されたそうです。

 

今回は、英BBCニュースで紹介された、喫煙がDNAにもたらす影響について詳しくご紹介します。

 

 

禁煙しても残る喫煙の影響

国際的な共同研究によって、1日にたばこを20本吸う喫煙者の肺細胞には、毎年平均150の突然変異が生じていることが明らかになりました。そして、喫煙によるこの肺細胞への影響は永続的であり、禁煙しても持続するのだとか。

 

パメラ・ピューさん(69歳)は、17歳から50代前半まで喫煙し、2013年に肺がんであると診断されました。彼女は「何年も前にたばこを止めたにもかかわらず、喫煙の影響は私を追いかけてきたのです」「十代の私は喫煙の影響が細胞の突然変異の要因となって一生残るとは知りませんでした」と語ります。彼女には右肺の腫瘍の増大が認められたため、化学療法と放射線療法の量を増やすこととなりました。

 

不可解で複雑なメカニズム

1日1箱の喫煙は、1年で肺細胞に150、咽頭または喉頭の細胞に97、口腔内の細胞に23、膀胱内の細胞に18、肝臓の細胞に6の突然変異を生じさせます。今回の衝撃的な研究結果は米科学雑誌「サイエンス」でも発表されました。筆頭著者のマイク・ストラットン教授は「これらの細胞の突然変異は、自然に生じる変異のプロセスが喫煙によって早められたかのようだが、このメカニズムは不可解で複雑だ」と語ります。

 

今回の分析は、生涯の喫煙本数と腫瘍DNAにおける突然変異の数の直接的な関連性を示しました。ストラットン教授は「多くの突然変異が生じるほど、正常な細胞をがん化させる重要な遺伝子に変異を生じさせる可能性が高まります」と説明します。

 

また、突然変異のサインとなる化学物質は、肺のように、たばこの煙に直接さらされる組織から発見されたものの、膀胱のような、たばこの煙に直接さらされない組織からは発見されなかったそうです。

 

喫煙は遺伝子に混乱を生じさせる

イギリスのパプワース病院とロイ・キャッスル肺がん財団理事のデイビッド・ギリガン博士は、「肺細胞に毎年150もの突然変異が生じるということは、それだけ肺がんになる率を高めます」と語ります。がんのゲノムを観察すると、喫煙による影響と思われる痕跡が認められるそうです。

 

ギリガン博士は「肺がんは長年、生存率において底辺にあるようながんでしたが、免疫療法や遺伝的アプローチをねらった薬物療法のような、期待が高まる新しい治療法が開発されています」と加えます。イギリスでは年間3万5千人の肺がん患者が死亡しています。この9割のケースの肺がんは未然に防ぐことが可能だと推定されるそうです。

 

日本では、禁煙外来はもちろん「卒煙」という言葉も浸透してきていますが、日本看護協会の2013年の調査によると、看護職者全体の喫煙率は7.9%。患者さんの健康を支えるためにも、まずは自分の健康を守れるように、現在喫煙されている人は、禁煙を考えてみませんか? 

 

(文):A.Brunner

(参考):
Smoking 'causes hundreds of DNA changes'(BBC)

「2013年看護職のたばこ実態調査」結果(PDF)日本看護協会

最新たばこ情報 成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)(厚生労働省)

がんゲノムビッグデータから喫煙による遺伝子異常を同定(国立がん研究センター)
 

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