子どもの緩和ケアにも力を入れるオーストラリア

オーストラリア首都特別地域(Australian Capital Territory ;ACT)政府は、210万豪ドル(約1億6,800万円)の助成金を出し、4年間で小児医療における緩和ケアを強化すると発表しました。そこにはどのような背景があるのでしょうか。

 

 

小児に特化した緩和ケアとは

ACTに住み、小児腫瘍の治療を必要とする子どもたちは、隣の州のシドニーで治療を受けることが多く、地元に戻ってからのサポートが不可欠です。このため、ACTで小児緩和ケアにあたる看護師を育成することには大きな価値があり、看護師はシドニーの子ども病院と連携して患者とその家族のケアに当たるといいます。

 

余命を宣告された闘病生活を送る子どもたちには、同様の状況下にある成人患者とは全く違ったニーズがあります。子どもたちの痛みや症状、心理的な状態とそれを見守る家族に寄り添えるのは、専門性を有した看護師だからこそです。

 

小児緩和ケアの必要性

小児医療に特化した緩和ケアを行う看護師の必要性について、厚生相補佐のミーガン・フィッツハリスさんは「この計画は終末期を迎える子とその家族のためのものです」と語ります。

 

彼女は病気で子どもを失った家族の話を聞き、州が行っているサービスと求められている緩和ケアとのずれに気づき、小児緩和ケアの必要性を実感したそうです。そのため、この助成金は、ターミナルケアの専門性を向上させる緩和ケア教育の強化や、患者とその家族が積極的な終末期の決定を行えるようなサポートに当てられるといいます。

 

家族の心のケア

脳腫瘍のため2011年に4歳の息子を失ったウィルズさん家族は、小児緩和ケア看護師の育成を強く訴えています。亡くなったベニー君の母親イモージェン・ウィルズさんは「私たちが小児緩和ケアを行う看護師に出会えたことはとても幸運でした。そこには、終末期の子どもを持つ親が息抜きできる環境があります」と語ります。

 

子どもにつきっきりになりがちである親が、安心して子どもを預けられるようなシステムと看護師がいることは、彼らにとって心と身体を健康に保つことにつながるでしょう。

 

緩和ケア認定看護師や緩和ケア病棟で働く看護師は日本にも多くいます。しかし、小児緩和ケアに特化した看護師がいる病院はそう多くありません。特に小児の場合は、親や兄弟へのケアも求められ、そのニーズや内容は成人の緩和ケアとは異なることも多いでしょう。必要なときに求められるケアが提供できる小児緩和ケアを専門とする看護師が増えることは、日本でも必要とされているのではないでしょうか。

 

(豪ドルは、記事執筆時2016年12月のレートにより1豪ドル=85円で計算)

(文):Ryo,S.

(参考):ACT Government to fund children's palliative care nurse(ABC)

SNSシェア

コメント

0/100

掲示板でいま話題

他の話題を見る

アンケート受付中

他の本音アンケートを見る

今日の看護クイズ

本日の問題

◆看護技術の問題◆右手背から点滴をしている患者さんの寝衣交換時の看護で正しいのは、次のうちどれでしょうか?

  1. 点滴ルートを外して寝衣交換を行う。
  2. 点滴ルートが抜けないように、看護師がすべて行う。
  3. 点滴の滴下は中止せずに寝衣交換を行う。
  4. 左袖から脱がせ、右袖から着せる。

10871人が挑戦!

解答してポイントをGET

ナースの給料明細

8101人の年収・手当公開中!

給料明細を検索