この10年間で子宮頸がん患者が半減!?日本では副反応が問題になっているワクチンの成果とは

子宮頸がんなどを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンを接種した女性に、痙攣や全身の痛み(回復がみられない場合もある)などの重篤な副反応が見られたというニュースを覚えている人も多いのではないでしょうか。この事態を受け、厚生労働省は2013年6月14日、HPVワクチンに関して定期接種としての位置づけは変更せずに、接種の「積極的な」呼びかけの一時中止を発表しています。

 

日本では安全性に不安を覚える人が多いHPVワクチンですが、オーストラリアでは同じワクチンが大きな成果をもたらしたとの報告があります。今回はBBCが伝えたその内容を見ていきましょう。

 

 

HPVとは

HPVは、ヒトの口腔内、皮膚、陰部、肛門部など全身に存在し、主に性交渉によって感染するとされる一般的なウイルスです。感染した場合も目立った自覚症状はなく、多くの人の場合は体に備わった免疫機能によって自然に排除されます。しかし、感染者の約1%が排出されずに感染が長期化し、その間にがんを発症することが指摘されています。

 

ちょうど今から約10年前に、HPVワクチンは世界で初めてがん予防ワクチンとして、オーストラリアでの接種事業が開始されるようになりました。

 

10年間の取り組みと成果

トランスレーショナル研究所の最高責任者であるイアン・フレーザー教授は、オーストラリアでこの10年間のワクチン接種の取り組みの成果として、人を介して感染するHPVの感染を90%減少できたと指摘しています。

 

世界的に見ても、このHPVワクチンの接種はこれまでに130カ国以上に拡大。現在までに接種されたワクチンは合計1億7千万本に上るといわれています。これに伴い、子宮頸がんの新たな罹患者数も半減。死者数の割合では、100人に1人が死ぬ危険性もある子宮頸がんを予防することができたことになるといわれています。

 

40年以内にHPVに起因するがんは撲滅可能?

フレーザー教授は、このワクチン接種の取り組みとその成果が今後も継続すれば、「将来的にHPVに起因するがんは40年間で撲滅することができる可能性がある」と想定しています。これは、HPVの感染に起因する口腔内、咽頭がんの予防にも男女ともにワクチンの効果があることが知られているためです。

 

ワクチンの予防効果についてもフレーザー教授は「接種が開始された当時は、がんを引き起こすウイルス2種への予防効果でしたが、現在は技術の進歩により9種まで予防することが可能になりました。今後もワクチンは改良されていくことでしょう」と明るい展望を語っています。

 

一方で、HPVに起因するがんを撲滅する目標達成のためには、いくつかの問題が残されています。フレーザー教授によると、日本と同様にワクチンの安全性や副反応を危惧する両親が、自分の子どものワクチン接種を見合わせる場合があること、米国ではこのワクチンが一般的に広まっていないこと、発展途上国ではワクチン接種が開始されていないため、毎年25万人が子宮頸がんで死亡することなどが挙げられています。

 

専門職だからこそHPVワクチンに関する正しい知識を持とう

また、HPVワクチンに関する副反応については、他国でも報告例があるものの、国際的な基準が設定されていないため、症状の種類、程度や起こる頻度などを詳細に比較することは困難で、厳密な研究は進んでいないというのが現状のようです。

 

ワクチンの接種対象者やその家族からの相談にも適切に応えられるように、専門職として今回の報告内容もぜひ頭に入れておいてください。

 

(文):A.Brunner

(参考):

A decade on, vaccine has halved cervical cancer rate (BBC)

わが国におけるHPVワクチン副反応続出の要因に関する研究(PDF) (立命館大学大学院先端総合学術研究科)

 

※2017/12/13 内容を一部編集いたしました。

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