すべての人に医療を―LAのナース主体で運営するホームレス支援診療所

ホームレス、と聞くとどんなイメージが浮かびますか?

外で生活していて大変そう、何かできたらいいけど、ちょっと近寄りがたい……。私たちとのあいだに見えない「壁」がある気がしませんか。

きっと誰もが感じるその壁を、看護の力で飛びこえたナースたちがいます。

 

すべての人に医療を―LAのナース主体で運営するホームレス支援診療所|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

勤務地は、ホームレスシェルター!

ロサンゼルスの繁華街に、ユニオン・レスキュー・ミッション(URM)という非営利団体があります。1891年の設立以来、ロサンゼルス地区のホームレスたちに、温かい食事や衣服、一時宿泊所などを提供し、社会復帰の手助けをしてきました。

この施設内に、ナース主体で運営する診療所があるのです。

 

突然のお願いがすべての始まり

さかのぼること1983年。URMから、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)看護学部長に、いきなりこんな依頼が。

 

「URMの敷地内に診療所を開いてくれませんか?」

 

実はアメリカでは、ナースの資格はいろいろな種類・レベルに分かれていて、中には医師の協力のもと診察や薬の処方ができる(州によっては医師の協力なしでもOK)ものもあります。

そこに注目したURMが、診察資格のあるナースたちにぜひ手伝ってほしい、とお願いしたのです。

 

でもこの頃はまだ、ホームレスについての情報が何もありませんでした。彼らの生活サイクルや疾患の傾向などもまったく分かりません。そもそも自発的に来院してくれるのか? よそ者のナースたちに心を開いてくれるのか? 学部長にはまるで見当がつきませんでした。

 

それでも、「私たちから手を伸ばすことで、彼らもきっと得られるものがある!」と、看護学部全体がこの企画に意欲を見せたのです。こうして、ホームレスのための診療所「UCLA看護学部ヘルスセンター」がスタートしました。

 

名実ともにホームレスの「よりどころ」

それから約30年、センターはしっかりと地域に根づき、通常の診察に加えて小児・成人の健康診断など幅広く手がけます。診察はすべて無料。2013年はホームレスの患者さんが約9,500人訪れました。

 

ある日も、家の立ち退きにあいホームレスになった母子が来院。乳児から7歳までの4人の子ども全員に反応性気道疾患があり、うち1人は上気道感染も起こしていました。

それぞれに必要な薬が処方され、お母さんと子どもたちはとても感謝してくれたとのこと。

 

まずは1人1人を知ることから

センター長のアビー・ストリブラさんは、成人・小児に加え婦人科の診察もできる、ファミリーナースプラクティショナーの資格を持つナース。

アビーさんがいちばん好きなのは、患者さんとのふれあいです。

今までどんな人生を生きて、なぜ路上で生活することになったのか。彼らを知れば知るほど、それぞれのニーズに合わせた援助ができるようになっていく、そのことに、尽きないやりがいを感じるそう。

 

問題は医療資源の不足

アメリカでは近年、大手のスーパーやドラッグストアの店内に診療所を設けるサービスが広まっています。こちらでも主に、ナースが診察にあたります。

大手企業が提携する診療所は、企業のサポートで充分な医療資源が確保できますが、UCLAヘルスセンターは限られた資源しか使えません。

アビーさんによれば、専門医やソーシャルワーカーなどの紹介先を見つけるのも、一般の病院に比べ難しいとのこと。医療資源の確保は、今後の課題となっています。

 

誰でも医療を受けられる国に

アメリカでは、たくさんの人が深刻な貧困に悩んでいます。ホームレスの数は全国で60万人以上、ロサンゼルス地域だけで5万人以上にのぼります。

 

またアメリカに国民皆保険制度はなく、住む家はあっても、高額の保険料や医療費を払えず病院に行けない人も多くいます。
UCLA看護学部ヘルスセンターでは、看護学生や医学生も業務にたずさわり、経験をつみながら地域医療に貢献しています。今後このような動きがもっと広がり、貧困に苦しむ人たちのQOLが少しでも向上していくと良いですね。

 

(参考)

RN-led, shelter-based UCLA School of Nursing Health Center helps homeless population deal with myriad issues

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