看護師が「さよなら」と口にするとき―ある看護師のターミナルケア

看護師は多くの患者さんの世話をし、多くの患者さんの死を見届けます。
あるアメリカ人看護師が「患者さんとの別れ」について思いを綴っていました。

 

 

看護師の役割

看護師のリタ・マクドナルドさんは、あるとき、死に直面している患者さんの友人に、「どういう神経しているの?」と言われました。それは、とても皮肉っぽい調子だったそうです。なぜならリタさんは、患者さんに近しい人たちへ、その患者さんについての悲しい事実を伝えたスタッフのひとりだったからでしょう。

 

「私たちにできることはもう何もありません。患者さんはお亡くなりになります」

 

彼女は、自らが執筆した記事のなかでこう綴っています。

「看護師は『悪者』となるのを楽しんでいるわけではありません。みんな、患者さんの家族や友人が望むような奇跡が起こることを願っているのです。けれど、かなうはずのない希望を与えるくらいなら、むしろ、悲しい事実を伝える役割を担いたいと思います」

 

看護師の患者さんへの思い

リタさんは、12時間におよぶシフトの合間に、家に帰り、シャワーを浴び、再び病気の人々を看ます。次の勤務に備える「昼寝」をするだけの時間しかありません。こんな勤務では肉体的にはもちろん、精神的にも疲れ果ててしまう! というのが彼女の本音です。「私たちは、看護記録を職場に置いていくことはできるかもしれません。でも、病院での心配事を家に持ち帰っているのです」と、リタさんは語ります。

 

そして、家で思うのはこんなことだと言います。「何かやり残したことはなかったかしら?」「今日なにか他に彼女へできる看護はあったのかしら?」「あぁ、彼女は今夜どうしているかしら?」

 

患者さんの最期に立ち会うとき

患者さんの一番近くで世話をしているからこそ、看護師が「さよなら」を告げるときの患者さんや家族への思いは特別なもの。
リタさんは、看護師が患者さんを看取るときの様子について、こう語っています。


「私たちは、亡くなろうとしている患者さんの額をなで、手を握ります。そして、目を見つめながら言うのです。『今までの人生、よくがんばりましたね。あなたはとてもいいお母さん(お父さん)です!お子さんたちのことは心配いらないですよ』」

 

そして、患者さんの家族についてのある思い出にも触れています。

「ある日私の不在時に、亡くなった担当患者さんの家族の方が病院を訪れたのですが、私はその方にさよならを言うことができませんでした。彼はとても親切でしたし、私たちに感謝してくださる良い方だったので、別れの言葉を伝えられなかったことを後悔しました」

 

彼女は、本当は患者さんの家族にこう言いたかったそうです。

「ありがとうございます。あなたの大切なご家族を看護させていただき、感謝いたします。これまで私に感謝の意を示してくださり、また、患者さんの予後が悪いことを告げたにもかかわらず怒らずにいてくださり、ありがとうございました。あの方の予後についてお伝えするのは、私たちにとっても大変つらいことだったのです」

 

看護師という職業のため、悲しい知らせを伝えなければならないときもあります。しかし、看護師は常に患者さんや家族のことを考え、看護しています。そして、最期の瞬間も一番近くで患者さんの死を見届け、このとき、それまでの患者さんや家族との関わりを思い出します。だからこそ、看護師が病室のカーテンを引いて、「さよなら」を口にするときには、彼らに対する感謝の思いを胸に秘めているのです。

 

(文)Rio,S.

(参考)When a nurse says goodbye

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