ヒップホップは精神疾患に効く?

この疑問に最低でも2人の精神科医が「Yes」と答えています。

 

長い間ヒップホップは、アーティストの感情のはけ口となってきました。彼らは、ヒップホップを通して自分自身を表現したり、抱えている問題を克服したりしてきたのです。そして、このようなプロセスにはセラピー効果があるのではないかと考えられたこともあったようです。

 

近年ではイギリスのケンブリッジ大学の科学者たちが、ヒップホップ音楽を聞くこととラップの歌詞を書くことは、両方とも実際に精神疾患の治療に役立つということを証明しようとしています。

 

ヒップホップは精神疾患に効く?|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

精神科医が作るソーシャルベンチャー「HIP HOP PSYCH」

ケンブリッジ大学の精神医学教室に所属する神経学者のベッキー・インクスターさんは、「ヒップホップには、まだ知られていないことがたくさんあります」と述べています。

彼女は、精神科医のアキーム・スレさんと「HIP HOP PSYCH」というソーシャルベンチャーを設立し、この組織の目的について次のように語っています。

 

「私が育った90年代はヒップホップの黄金期で、それがメインストリームとなっていきました。ヒップホップ音楽のなかには、これまできちんと研究されてこなかった精神疾患について触れているものがたくさんあり、それらは患者に多くの利益をもたらす可能性を秘めています。私たちは、ラッパーやチャリティー団体、医療団体などと共に、その真の可能性を追求していきたいと思っています」

 

ヒップホップを研究する講義

もちろん、過去にヒップホップがアメリカの大学で教材として使われたことは何度もありました。

ラッパーのバン・Bは、ライス大学で、宗教学の一部として“宗教とヒップホップ文化”という教科を教えています。ワシントン大学には、早世した伝説のラッパー、2パック(Tupac Shakur)のもたらした文化的、歴史的な影響についての講義があります。

また、ジョージア・リージェント大学では、同じくラッパーであるケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)についての講義が今年からスタートしています。それは、彼のデビューアルバムを通してアメリカ都市部について学ぶというものです。

 

ヒップホップ音楽の可能性

HIP HOP PSYCHは、ヒップホップは研究対象とすることが可能なだけでなく、実際に精神疾患を持つ患者の治療にも使えると信じています。

ベッキーさんは、「私たちがヒップホップで探究したい技法のひとつは次のようなものです。自分が1~2年後にどうなりたいかを書き出すセラピーのように、未来の自分についてのアウトラインを、ラップの歌詞を使って描いてもらうのです」と述べています。

 

さらに、彼女はヒップホップについてこう語ります。

「主なラッパーやヒップホップアーティストの多くは、ドラッグや家庭内暴力、貧困などの問題が多数存在する恵まれない都市部の出身です。このような環境は、精神疾患発生率の増加に結び付きます。これらの問題は彼らの言葉や歌に根付いているのです」

 

また、続けて次のように締めくくっています。
「総じてヒップホップ、特にラップは通常の音楽よりも複雑なメッセージを含んでいます。これが患者の精神疾患を理解する助けになり、疾患と付き合っていく方法を見つける理想的な手段となるのです」

 

ベッキーとアキームはケンブリッジ大学で行われるアイデアの祭典(Festival of Ideas)で「ヒップホップは精神疾患の治療に利用できる」という彼らの理論をより詳しく発表する予定です。

 

彼女たちのウェブサイトには、次のようなコメントが掲載されています。

「今回は、2パック、ケンドリック・ラマー、J・コールといったアーティストをカバーします。私たちは商業的に成功したアーティストだけでなく、すべてのヒップホップアーティストを愛しています。そして、ヒップホップを体現したいと考えています。また、愛するコミュニティから常に関心を持たれる存在であり続けたいと思うのです」

 

ヒップホップの成り立ちには、アメリカの社会的背景や社会問題が大きく関係しています。そういった歴史から生まれたこの自己表現方法は、精神疾患の治療に役立つ可能性があるようです。私たちが普段何気なく聞いている音楽には、まだまだ多くの可能性が秘められているのかもしれません。

 

(文)Rio, S.

 

(参考)
Could listening to Hip-Hop help treat mental illness?
 

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