最終更新日 2018/01/29

エアリーク

エアリークとは・・・

エアリーク(えありーく、air leak)とは、胸腔ドレナージ下で気胸などにより肺の開いた穴から出て胸腔内に溜まった空気がドレナージチューブから漏れている状態を指す。気胸の原因となった肺の穴の状態を推測する情報となる。 

胸部レントゲンで肺尖部が鎖骨の下より尾側に虚脱しているなど中等度以上の気胸では、胸腔内に溜まった空気を持続的に脱気するために胸腔ドレーンを挿入する。挿入された胸腔ドレーンは、水封ボトル(チェストドレーンバックなど)に接続する。この際、水封ボトルと胸腔とは閉鎖空間となり、回路の途中に水面が張られる。肺に開いた穴から胸腔内に空気が漏れ続けていると、その空気はドレーンチューブを通り水封ボトルに到達する。この際、空気は水封ボトルの底から水面へ浮き出てくる。これをエアリークと呼び、肺に開いた穴が塞がっていない(気胸が改善してない)ことを示している。 

逆に、エアリークがないということは、肺に開いた穴が閉じ(気胸が改善し)ている可能性を示している。これが胸腔ドレーンを抜く指標の一つとなる。なお、ドレーンチューブが閉塞している場合にもエアリークはみられなくなるので注意する。 

【気胸に対する胸腔ドレーン】 
■適応 
胸部レントゲンで肺尖部が鎖骨の下より尾側に虚脱しているなど中等度以上の気胸
■使用方法 
(1) ドレナージチューブのサイズ:一般的には16~22Frを用いるが、必要に応じて24~28Frを使用することもある。 
(2) ドレーンの挿入の確認:挿入後、水封ボトルに接続した際、ドレーンが正しい位置に挿入されたかを、チューブの曇り・水封面の呼吸性変動・エアリークで判断する。 
(3) ドレーンの陰圧:ドレーン挿入後は、水封のままとする。病態に応じて-5~-20cmH2Oの陰圧で吸引することもある。 
(4) ドレーン抜去:胸部レントゲンで虚脱した肺が再拡張し、エアリークが消失していることを確認する。クランプテストをして胸部レントゲンで再虚脱がなければドレーンを抜去する。 
■合併症 
(1) 再膨張性肺水腫:1%程度との報告がある。死亡率は20%を超える。危険因子は40歳未満・4日以上の虚脱・虚脱率>30%などである。
(2) 臓器損傷:肺挫傷・心損傷・腹腔内臓器損傷は起こり得る。 
(3) 出血・感染 
以上のように、エアリークは、胸腔ドレーン挿入患者で肺に開いた穴の状態を推測する上で重要な情報である。

執筆: 江角 亮

三重大学医学部附属病院 救命救急センター医員

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