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2019年07月21日

多職種チームにおけるせん妄ケアにはどんな効果がありますか?

『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、多職種チームにおけるせん妄ケアについて解説します。

多職種チームにおけるせん妄ケアにはどんな効果がありますか?

包括的で系統的なチーム・アプローチにより,せん妄の予防,早期発見,適切な治療・全身管理を行うことができ,せん妄の発症率と重症度の低下,発症期間の短縮,看護師のせん妄ケア困難感の緩和が報告されています.

〈目次〉

多職種チームによるせん妄ケアの効果

せん妄の予防や回復を目指し,複数の職種で連携して治療・ケアを提供すると,せん妄の発症率を下げたり,重症度を軽くしたり,せん妄の発症期間を短縮したりすることができます.

実際に,複数の介入研究の結果1, 2)によると,多職種の連携,スタッフの教育などの効果の高いことが報告されています(表1).

表1チームによるせん妄ケア提供方法1, 2)

  • せん妄を早期にアセスメントするための評価尺度(アセスメントツール)を導入する
  • 包括的な高齢者アセスメントを行う
  • リエゾンチームと連携する
  • 栄養管理や運動療法を併用する
  • 薬剤を調整する
  • 個別化された患者ケアを提供する
  • 看護方式を調整する
  • スタッフに教育する

 

その理由は,①せん妄を放置せずに早期に的確に発見できること.②適切な治療や全身管理などの次のステップへのアクションに結び付けられること,の2点です3, 4)

また,多職種チームの連携がよい病院の看護師は,効果が高いと思われる一歩踏み込んだケア(表2)を行うことができるようになっていました5)

表2より効果が高い患者ケア5)

  • せん妄アセスメントツールを用いて発症の有無や発症後の経過を把握する
  • 医療チームでカンファレンスを行う
  • 離床センサーマットやモニターカメラで監視する
  • 水分摂取を促す
  • 挿入されている点滴やチューブ類を必要最小限にする
  • 行う処置をていねいに説明し患者さんが自分の状況をつかめるようにする

 

そして,医師・看護師などの職務責任範囲が明確で,看護師個人だけでなく病院内・病棟内での学習機会が多い傾向もみられました5).それによって,多くの看護師が抱くせん妄ケアの困難感が緩和される可能性も高いことが示唆されています5)

 

チームによるせん妄ケアのしくみづくり

せん妄を早期に発見し対処するための準備をするには,多職種チームが先を読みながら積極的かつ系統的に協働できるしくみをつくることが重要です.

  1. 術後の疼痛管理について,確実に疼痛緩和が図れるような予測処方・指示を医師に依頼しておきましょう.
  2. 術後の「不穏時」の鎮静や「不眠時」について,副作用やリスクを勘案しながらも一定の範囲で与薬できるよう,予測処方・指示を医師に依頼しておきましょう.
  3. せん妄の発症が懸念されるケースでは,精神科コンサルテーションを積極的に受けておくように主治医に働きかけましょう.

多職種への教育介入の効果

米国のある病院の一般病棟において,せん妄の高齢患者さんを早期にアセスメントして多職種で対応できるよう,スタッフへの教育介入を行った研究2)があります.

この研究では,介入を行った病棟(介入群)と,介入せず従来通りのケアを行った対照病棟(非介入群)を比較しました(非ランダム化比較対照試験).

介入の内容は,①せん妄の早期発見と系統的な観察のための評価尺度を用いること,②この尺度の得点が低下したら多職種チームにコンサルテーションを行うこと,そして③せん妄発症の関連因子を特定するアルゴリズムを導入したことです.その結果は表3のとおりです.

表3多職種への教育介入によるせん妄発症状況への効果2)

多職種への教育介入によるせん妄発症状況への効果

 

多職種アプローチが効果的に改善することにより,せん妄の発症率を低くし,たとえ発症したとしてもその期間を短くできるという効果が示されました.

 

スタッフ教育と看護方式の変更の効果

米国で70歳以上の内科入院患者400名を対象とした介入による比較研究(非ランダム化比較対照試験)6)があります.

介入として,①認知症とせん妄の基礎知識についての教育,②せん妄のアセスメントと治療および患者対応の技術に関する看護スタッフ教育(計2 日間),③看護方式の変更(業務割り当てから個別ケアへ),④月1 回のスーパーバイズなどを行いました.

その結果,従来のケアと比べて,入院後7 日目まで発症し続けたせん妄患者さんの割合や発症日数,入院日数,せん妄患者さんの入院中死亡率を有意に少なくする効果がありました(表4).

表4看護職への教育介入による効果6)

看護職への教育介入による効果

 


[文献]


[Profile]
綿貫 成明 (わたぬき しげあき)
国立看護大学校

*所属は掲載時のものです。


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

[出典]『“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』(編集)酒井郁子、渡邉博幸/2014年3月刊行

“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100

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