1. 看護roo!>
  2. 看護・ケア>
  3. せん妄のスタンダードケアQ&A100>
  4. せん妄になりかけている人の転倒を予防したい……効果的な方法はありますか?

2019年06月26日

せん妄になりかけている人の転倒を予防したい……効果的な方法はありますか?

『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、せん妄患者さんの転倒予防について解説します。

せん妄になりかけている人の転倒を予防したい……効果的な方法はありますか?

人は欲求に従って動こうとします.せん妄になりかけている人では周囲に注意して動く・身体感覚を十分使って動くことがむずかしく,転倒が起こります.
よって,生じる欲求を予測して先に満たすよう援助します.

〈目次〉

転倒が起こりやすい理由

せん妄の状態や,せん妄になりやすい状態では,転倒が起こることを常に想定しておく必要があります.
なぜ転倒が起こりやすいかというと,そのような状態にある患者さんの動きには「周囲に注意を払いながら気を付けて動くことができない」「自分の身体に注意を払いながら行動することができない」「自分がどのように行動することが適切かを判断できない」「欲求が生じると即座に動く」という特徴があるからです.

 

欲求を予測し,先に満たす援助

せん妄になりやすい状態の患者さんが動こうとするのは,「痛み,不快,不安などから逃れたい」「排泄のためトイレに行きたい」「喉が渇いたので飲み物を探したい」などの欲求があるからです.

そのため,患者さんはどのような欲求をもちやすい状況であるかを看護師が予測し,先にその欲求を満たす援助(表1)を行い,患者さんが安心してその場にいられる状態をつくり出します.

表1患者さんの欲求の予測と援助の例

患者さんの欲求の予測と援助の例

 

これはせん妄の発症や悪化の予防策と同じです.

 

離床センサーの活用

とはいえ,患者さんの欲求をすべて予測することはできないため,動きをとらえてナースコールが鳴る離床センサーが用いられます.

離床センサーにはいくつかのタイプがあります(表2)が,せん妄の患者さんの動きは予想以上に速いため,動き始めをとらえることができるタイプのものを用います.

表2離床センサーの種類

離床センサーの種類

 

患者さんの動き方や,ナースコールが鳴ってから看護師が患者さんのそばまで行くのにかかる時間などによって,使用する機器を選択・工夫する必要があります.

いずれにしても,離床センサーの使用とその理由について,患者さんと家族に説明し了解を得ておきます.

 

万が一の転倒に備え環境を整える

万が一転倒した場合に外傷などの影響が少なくなるように,患者さんがどのように動くかを予測して,危険の少ない環境になるよう調整しておくとよいでしょう(表3).

表3患者さんが動きだした場合に危険が少ない環境にする工夫例

  • ベッドの高さをもっとも低くしておく
  • ベッド柵を3点にする(1つ空けておき,柵を乗り越え転落するのを防ぐ)
  • 点滴やドレーンなどのライン類は,動いて降りようとする方の足元にまとめておく(動き出したときにライン類に引っぱられないで動くことができるようにしておく)
  • カーテン類やオーバーテーブルはつかまることのできない位置にしておく
  • すべりやすいマット類は置かない
  • 見えるところに履物を置かない(履物を取る.履く動作でバランスを崩しやすい)

 

やってはいけない

離床センサーのナースコールが鳴ったとき,行動を制止するために患者さんのところに行くのではありません.

離床センサーのコールが鳴ったら,欲求を満たす援助のために行くことを忘れないでください.

 

メモ離床センサーの調整

ベッドセンサーを肩の下の位置に取り付け,センサーの感度をもっとも高くすると,ちょっとした動作でもナースコールが鳴ってしまいます.そのため,転倒を起こすほどの動作でない場合に何度も患者さんのそばに行かなくてはならなくなります.

患者さんも「なぜたびたび看護師がやってくるのか」と疑問に思ったり,かえって眠れなくなったりするかもしれません.看護師も「また鳴った」と思って,患者さんのそばに行くスピードが遅くなるかもしれません.

そうすると,本当に転倒を起こすほどの動作のときにそばに行っていなかった,ということになりかねません.

身体のどの位置にセンサーを取りつけるのか,感度はどのレベルにするのかなど,患者さんの動き方や速さによって調整します.

 


[Profile]
湯浅美千代 (ゆあさ みちよ)
順天堂大学医療看護学部

*所属は掲載時のものです。


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

[出典]『“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』(編集)酒井郁子、渡邉博幸/2014年3月刊行

“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100

著作権について

この連載

もっと見る

関連記事

いちおし記事

看護師的ナイスフォロー!気が利く同僚たちをご紹介|看護師の本音アンケート

「めちゃくちゃ助かる!ありがとう!」と感激した同僚エピソード。みんなも経験ある? [ 記事を読む ]

患者さんが転倒骨折! 要介護5になった責任はどこに?

実際の医療訴訟をもとにナースが気をつけるポイントを解説。 [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

救急救命士、病院内でも救命処置が可能に。あなたは反対?賛成?

投票数:
1380
実施期間:
2019年11月19日 2019年12月10日

結婚するなら、同じ医療者がいい?それとも、医療者以外がいい?

投票数:
1360
実施期間:
2019年11月22日 2019年12月13日

後で「急変の予兆だったのかも?」と思ったことある?

投票数:
1179
実施期間:
2019年11月26日 2019年12月17日

人生最大級の「お酒の失敗」教えて下さい。

投票数:
1101
実施期間:
2019年11月29日 2019年12月20日

一時期病的にハマっていた食べものや飲みものはある?

投票数:
941
実施期間:
2019年12月03日 2019年12月24日

医師と結婚できるなら、したい?

投票数:
848
実施期間:
2019年12月05日 2019年12月26日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者570

◆看護技術・救急の問題◆気管挿管の介助で正しいのはどれでしょうか?

  • 1.標準的な成人男性に使用する挿管チューブの内径の太さは8.0~8.5mmである。
  • 2.成人の場合は、肩の下に枕を入れて声門が確認しやすい体位にする。
  • 3.挿管チューブは、パイロットバルーン内をカフ圧系で35cmH2Oに調整した。
  • 4.挿管後の聴診は、まず左右の呼吸音を聴いてから心窩部を聴く。
今日のクイズに挑戦!