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2019年05月29日

どういうときに抑制すべきなのか,解除すべきなのかあいまいです.どうしたらよいですか?|身体拘束

『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、身体抑制の開始・解除の判断について解説します。

どういうときに抑制すべきなのか,解除すべきなのかあいまいです.どうしたらよいですか?

患者さんの安全を守るためとは言っても,せん妄による興奮や混乱が激しい場合の抑制は,症状を悪化させることが多く危険です.
解除のアセスメントは常に必要で,解除できるようになったらすみやかに解除します.

〈目次〉

抑制はせん妄症状を悪化させる

抑制は,緊急であり(切迫性),ほかに患者さんの安全を守る手段がない場合に(非代替性),一時的に選択(一時性)しますが(身体拘束3原則),せん妄による興奮や混乱などが激しい場合の行動抑制は,その症状を悪化させることが多く,せん妄ケアとはいえません.せん妄に対しては,抑制の前に,まず薬物治療などを試みます.

 

どういうときに抑制すべきか

薬物治療などによって症状が落ち着いてきているが,軽度の意識障害があり治療上重要な点滴ラインの確保などについて十分に理解できていないと評価した場合は,原因への対応を行い,ケア方法の選択・環境調整なども検討し,それでも患者さんの生命や身体の安全を守る手段がほかになければ,抑制もやむをえないと判断してよいと考えます(図1).

図1せん妄ケア方法の選択フロー

せん妄ケア方法の選択フロー

 

抑制開始時点で解除へのケアが始まる

やむをえない状況と判断し抑制を実施した時点から,抑制解除に向けたケアが始まります.

患者さんの病状や治療は変化するので,「切迫性」「非代替性」「一時性」について定期的にアセスメントし,抑制の解除ができるかを観察し記録することが必要です.記録されることによって,抑制に関する情報をチーム内で共有することができます(図2).

図2抑制観察記録

抑制観察記録

[聖隷佐倉市民病院看護部:身体拘束(抑制)観察記録より]

 

抑制実施中であっても激しい混乱や体動,不穏が落ち着いているようであれば看護師がベッドサイドで見守りながら話しかけたり,点滴を実施している手を握っていたり,家族の協力が得られる時間帯であれば,たとえ短時間であっても抑制を解除できます.

抑制は患者さんの安全のためにやむをえず実施しているので,安全が確保できる状況であれば,抑制の解除について常に検討されることが求められます.

 

抑制は例外的に行うもの,代替方法が見出されるまでのやむをえない処置!

一般病院における身体拘束について規定した法律はありませんが,身体拘束を認められている精神科病院であっても,身体拘束は一定の要件が満たされた場合のみ,例外的に許容されているにすぎないという原則を認識することが重要です.

精神科病院においては,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」36条1項で,入院中の患者さんに関して,病院の管理者は医療・保護に不可欠な範囲で必要な行動の制限ができると定められているものの,同法36条3項によって,身体的拘束などについては,指定医が必要と認める場合でなければ行うことができないとされています.

さらに,同法37条に基づき厚生労働大臣が定める精神科病院の管理者が遵守しなければならない処遇基準として,「身体的拘束は,制限の程度が強く,また,2次的な身体的障害を生じせしめる可能性もあるため,代替方法が見出されるまでの間のやむをえない処置として行われる行動の制限であり,できる限り早期にほかの方法に切り替えるよう努めなければならないものとする」などともされています.

介護保険法に基づく省令「介護老人保健施設の人員,施設及び設備並びに運営に関する基準」では,「身体的拘束等を行う場合には,その態様及び時間,その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむをえない理由を記録しなければならない」として,身体拘束に関する記録の義務が規定されています.

 


[Profile]
内田 明子 (うちだ あきこ)
聖隷横浜病院看護部

*所属は掲載時のものです。


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

[出典]『“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』(編集)酒井郁子、渡邉博幸/2014年3月刊行

“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100

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