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2018年04月09日

看護師が刑事事件で訴えられたら、どうなるの?

第1話第2話では、「爪のケアで看護師が刑事責任を問われた事例」を元に解説してきました。 ここでは、看護師の皆さんが疑問に思うことを解説します。

 

この事件は、最初、「虐待」として報道されたんですよ。

そうなんですね!?患者さんの切りとして行ったことがどうしてそのような報道がされてしまったのですか?

看護師さんが行った爪切り(指先深く切った爪ケア)が、取り調べを行った警察では看護行為として理解してもらえず、「爪の剥離行為」と決めつけられてしまったようです。

取り調べを受けるようなことはない方がいいのですが、万が一そのような事態になったとき私たちが気をつけるべきことはなんですか?

 

大磯義一郎、谷口かおり

(浜松医科大学医学部「医療法学」教室)

 

 

民事裁判と刑事裁判の違いは? 刑事裁判になったらどうなるの?

 

 

民事裁判は過失の有無を問われ、それに対する損害賠償等、原告(患者さんや家族)から訴えられます。一方、刑事裁判は、業務過失致死罪、傷害罪などで、看護師個人が国(検察官)から訴えられるということです。

 

刑事裁判により看護師生命が絶たれる恐れも

 

医療事故などによって、患者さんが死亡したり、傷害が起きたりした場合に、看護師が行った行為が刑罰の対象となる行為か否かが問題となるのが刑事裁判です。刑罰を科されると、行政処分にもかかわり、看護師免許を取り消されたり、業務停止となったりする恐れがあります。

患者さんやその家族、時には内部関係者から警察に通報されることがあり、通報されると警察が捜査し、事件性の有無を調べます。警察が事件性ありと判断した場合には、犯罪の証拠や自白などから調書が作成され、検察に送検されます。立件されると、検察は捜査結果に基づき起訴をするかを決め、起訴されれば刑事裁判となります。

本件では第1審で、看護師が行った爪ケアが正当業務行為に該当しないとした判断に、爪切り行為が、「爪を剥ぐこと自体を楽しみとし、目的としていた」ことなどの捜査段階の信じがたい供述調書を前提としていました。この供述調書が作成された事情には、警察や検察官に、爪ケアであると理解してもらえず、爪の剥離行為であると決めつけられ、「自然脱落以外は全て人為的に剥がすということだ」と言われ、剥がしたと認めざるを得なかったのです。そして、爪ケアの事実が、警察が作成した供述調書の中では、「剥離」や「剥がす」等の言葉が多用されており、爪ケアが、「爪剥ぎ行為」という行動様態と捉えられてしまったのです。

 

取り調べにおける注意点

  • 調書は自分の言ったことを元に警察や検察が作成するもので、違うことは違うと主張しなければならない(今回の事例では、爪床から浮いている爪甲を切った行為なのに、爪を剥いだ行為とされてしまったこと)。
  • 作成された調書は熟読し、少しでも自分の主張や言ったことと違う場合は署名や押印しない。
  • 弁護士に相談する。

 

[参考文献]
1)TKCローライブラリー(2018年2月28日閲覧)
2)大磯義一郎ほか.医療法学入門.第2版,医学書院,2016,308p.
3)加藤済仁ほか.看護師の業務としての「診療の補助行為についての考察」.日本看護学校協議会共済会(2018年2月28日閲覧)

 

全8回、1年以上にわたり連載してきた『ナース×医療訴訟』。
このお話で最終回となります。

【最終回にあたって】

これまで、看護師さんがかかわった医療訴訟についてお話してきました。
私たちは日々患者さんのために看護を提供していますが、残念ながら、一定の確率で不幸な事故は発生します。そのとき、患者さんだけでなく、医療者も傷つきます。
誰も、医療事故を起こそうとして起こしているわけではありません。医療事故は、システムの脆弱性により一定の確率で発生するのです。したがって、事故当事者を罰しても何の解決にもならず、むしろ、事故当事者が深く傷つき苦悩することとなります。医療訴訟も、患者家族の悲しみの行き場がなく、医療者側との思いのずれで訴訟に発展するケースも多くあります。
だからこそ、臨床で働く看護師さんに、正しい知識や法律のことを知っていただき、安心してより良い看護を今後も行ってほしいと思います。同時に、個人が過度に責められることのないよう、傷ついた患者・家族および医療者に対するケアを行う体制整備が求められます。
私たちは、医療事故に直面した当事者へのケアとピアサポートシステムの普及を目的とする一般社団法人Heals(Healthcare Empowerment and Liaison Support)を立ち上げました。患者・家族そして医療者が手を取り合って、安心して医療が提供できる社会になるよう皆様のご協力よろしくお願いいたします。

 

⇒『ナース×医療訴訟』の【総目次】を見る

 


[執筆者]
大磯義一郎
浜松医科大学医学部「医療法学」教室 教授
谷口かおり
浜松医科大学医学部「医療法学」教室 研究員


Illustration:宗本真里奈


著作権について

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  • 2.1日の必要水分量は、体外に排出される尿量と不感蒸泄、糞便を足した量と同じ量である。
  • 3.経腸栄養剤の逆流予防を目的に、栄養剤投与前に追加水投与を行う。
  • 4.必要水分量を算出し、栄養剤に水分を混ぜて投与する。
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