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2019年01月30日

認知症の患者さんのせん妄ケアでとくに注意することは何ですか?

『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、認知症の患者さんのせん妄ケアについて解説します。

認知症の患者さんのせん妄ケアでとくに注意することは何ですか?

認知症の患者さんのせん妄ケアは,せん妄が発症することを前提としてケアを行います.
認知症の患者さんのせん妄症状は,認知症の悪化ととらえられやすく,予防や対応が遅れる傾向があるため,せん妄のない状態の患者像をもつことが大切です.

〈目次〉

認知症の患者さんのせん妄の特徴

認知症の患者さんのせん妄では,認知症症状の悪化ととらえられやすく,せん妄の予防や対応がなされないために遷延化する傾向があります.

認知症自体がせん妄の準備因子とされていますから,環境や心身の状態の変化があればせん妄が発症するという前提で看護をします.

とくに高齢の認知症の患者さんでは,多くの要因が複雑に関連してせん妄を生じます(表1).

表1認知症の患者さんがせん妄を発症しやすい要因

  • 高齢
  • 多くの身体疾患
  • 多くの内服薬(とくにせん妄を引き起こす薬物)
  • 環境への適応に時間を要す
  • 環境からの刺激により影響を受けやすい

 

認知症の患者さんの入院

認知症の患者さんの入院では,多面的にアセスメントします(表2).

表2認知症の患者さんのせん妄のためのアセスメント項目

①身体のアセスメント
身体疾患の有無や内容,治療の内容(侵襲の大きさ,ドレーンカテーテルの使用の有無,安静度,疼痛の有無や程度など),睡眠状況,視力や聴力の程度,食事摂取量など
②認知症のアセスメント
疾患の種類,認知機能など
③個人のアセスメント
入院前の症状や状況,生活レベル,本人の性格など
④内服薬のアセスメント
身体疾患や認知症の治療に用いられている薬物の内容や量,内服時間など
⑤環境のアセスメント
部屋やベッドの位置,本人から見えるものの把握(光の入り方など),音,同室者の状況(患者の変更,同室者の容体など),入院前の生活環境など

 

また,認知症の患者さんの場合,できるだけ早く回復でき,元の生活に戻るよう援助を計画し,実践します.せん妄ケアはその一部として重要です.

 

アセスメントでは,認知症の特徴をふまえてとらえ,ケアにつなげる

認知症の患者さんの場合,疼痛や不快,苦痛をうまく言葉で訴えることができず,言葉にできない身体感覚を行動や異なる言葉で表している場合があります(例:「痛い」とき,落ち着きがなくなるなど).

患者さんのもつ疾患やその重症度,治療の内容から,疼痛や不快,苦痛を予測し,サインとしてとらえます.

その人の立場になって,認知症の患者さんの不快や苦痛につながる原因は何なのかを常に考える姿勢をもつことが大切です.

 

やってはいけない

 “ 認知症だから ” 治療への協力を得られないという理由で身体拘束や薬物での対応を決定してはいけません.

 

認知症の患者さんのアセスメントのポイント

本来のその人のとらえ方

せん妄が生じてからでは対応が遅いため,認知症の悪化ととらえないためにも,入院前や手術前の状態を家族から情報を得ることでせん妄のない患者像をイメージしておくことが大切です.

 

生活リズム

認知症の患者さんでは,生活リズムの変調が生じやすくなりますから,入院前からの睡眠状況やパターン,日中の過ごし方を家族からあらかじめ聴取しておく必要があります.

 

認知機能

患者さんの生活や言動,行動,医療スタッフや家族との会話から生活に必要な認知機能をとらえます.たとえば,尿意を訴えられるのか,部屋に迷わず戻ることができているか,などです.

 

意思疎通

患者さんが理解し,納得できるコミュニケーション方法(説明のしかたや内容,かかわり方)を探ります.

 

薬物

用いている薬物をすべて調べてせん妄を引き起こすものがないかチェックします.ほかの病院の薬剤や漢方薬,サプリメントも調べます.薬剤とせん妄症状との関連をみるために内服時間も把握しておくとよいでしょう.

 

環境

通常は何とも感じない環境であっても,認知症の患者さんにとっては大きな刺激になります.患者さん特有の見え方,聞こえ方,感じ方があるという前提で探索してみましょう.

環境は時間によって変化するため,日中だけではなく,夜間や休日,勤務交代の時間についても把握します.

 


[Profile]
杉山 智子 (すぎやま ともこ)
順天堂大学医療看護学部

*所属は掲載時のものです。


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

[出典]『“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』(編集)酒井郁子、渡邉博幸/2014年3月刊行

“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100

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