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2018年03月08日

鎮痛・鎮静管理はどのような流れで行う?

『基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座』より転載。
今回は、鎮痛・鎮静管理の流れについて解説します。

これだけはおさえておこう

  • 鎮痛・鎮静管理では,「不穏」「痛み」の視点が大事です.
  • 「不穏」の原因に対処し,鎮痛によって「痛み」を取り除くことが重要です.
  • 鎮静薬の投与は,鎮痛・鎮静管理の最終手段と考えましょう.

〈目次〉

まず,鎮痛・鎮静管理の目的を確認しよう

これまで(鎮痛・鎮静管理マスター講座 記事一覧)の内容をまとめると,重症患者さんにおける鎮痛・鎮静管理の目的は,患者さんの痛みやストレス,不安を緩和することで,安静・睡眠を維持・改善し,不穏やせん妄を予防し,早期の回復・離床につなげることと言えます.

それでは,鎮痛・鎮静管理の流れをみていきましょう.

 

キーワードは「不穏」「痛み」

図1 をみてください.

図1鎮痛・鎮静管理の流れ

鎮痛・鎮静管理の流れ

[卯野木 健:鎮静.呼吸器ケア2012 冬季増刊 決定版 人工呼吸ケアのポイント300(卯野木 健編著),p.190,メディカ出版,2012 を参考に作成]

まず,「不穏のレベルのアセスメント」を行います.

重症患者さんでは,通常,最初に鎮痛が図られているでしょう.また,鎮静薬も少なからず投与されているかもしれません.そのうえで,鎮痛・鎮静が適切であるかどうかを,不穏のレベルでアセスメントします.

不穏のレベルのアセスメントには,鎮静の評価スケールなどを用います.ここでせん妄のアセスメントもされるとより理想的です.

不穏が認められたり,せん妄が疑われたりすれば,原因を検索し対処します.まずは生理学的な要因が原因かどうかを探ることが大切です.生理学的な要因でなければ,その他の考えられる要因を探り,非薬物療法で対応します.

ここまででも対応できない場合には,痛みが原因の可能性があります.痛みがあるか疼痛スケールなどを用いてアセスメントします.痛みがあれば鎮痛薬を投与し,不穏が収まるか判定します.

大事なことは,「不穏, すなわち鎮静薬が足りない」と判断しないことです.

 

「不穏」「痛み」に対応し,最後に鎮静薬を検討する

不穏(やせん妄)の原因を検索・除去し,適切な鎮痛が行われていることを確認してもなお,不穏が収まらなければ,最後に鎮静薬の投与(場面によっては追加投与)が検討されます.

鎮静薬による鎮静が必要と判断され,鎮静薬が投与(追加投与・増量)されたら,不安や苦痛が緩和されているか,適切な鎮静レベルであるか,鎮静スケールを用いて評価します.

繰り返しになりますが,鎮静薬には副作用や弊害があります.鎮痛・鎮静管理における鎮静薬の投与は,どうしても必要な場合に,最小限の投与量に抑えることが望ましいと言えます.

 

鎮静薬はいつまで投与される?

不穏に対応し,最終的に鎮静薬の投与となった場合.その後,鎮静薬による鎮静は,いつまで,どのように続けるのでしょうか?

鎮静薬使用の弊害もありますから,ただなんとなく投与し続けるというわけにはいきません.黙って時をまつのではなく,鎮静薬の投与を積極的に終えるように試みることが重要です.

薬物鎮静をすみやかに終えるため,ガイドラインやバンドル(手順・方法をまとめたもの)が作成されています.そこでは,鎮静深度は浅く管理する,鎮静を定期的に評価する,毎日鎮静の目標を設定・共有する,1日に1度は覚醒させる,適切に鎮静薬を調整するなどが推奨されています.

 

one point

2013 年に,米国クリティカルケア学会(ACCM)が約10 年ぶりに「ICU における成人患者の鎮静に関するガイドライン」を改訂しました.

改訂されたガイドラインでは,ICU の成人患者さんにおける痛み(Pain),不穏(Agitation),せん妄(Delirium)を,臨床に即して管理することを目的とし,エビデンスや質の推奨を評価しています.この3 つの頭文字を取って,PAD(パッド)ガイドラインと言われています.

 

CULUMN鎮静薬が投与されると患者さんは眠っている?

鎮静薬を投与して鎮静すると,患者さんは眠っているように見えるかもしれませんね.しかし,たとえばベンゾジアゼピン系と言われる鎮静薬には,直接睡眠をさせる作用はないため,鎮静薬を使用して眠っているようでも,生理的には眠っていないのです(意識が消失しているだけなのです).

眠っていることと鎮静していることは,同じではありません.実際,鎮静からさめた後,「眠った感覚がない」,「熟眠感がない」と訴える患者さんがたくさんいます.

 


[Profile]
剱持 雄二
東海大学医学部付属八王子病院ICU・CCU 集中ケア認定看護師

*所属は掲載時のものです。


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

[出典]『基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座~せん妄予防と早期離床のために~』(監修)道又元裕、(編集)剱持雄二/2015年2月刊行

基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座~せん妄予防と早期離床のために~

著作権について

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