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2019年06月13日

筋電図(EMG:electromyogram)

看護師のための検査値の解説書『検査値早わかりガイド』より。

今回は、筋電図(EMG:electromyogram)について解説します。

 

江口正信
公立福生病院部長

〈目次〉

 

筋電図の定義

手や足などの骨格筋が収縮するときには、収縮よりもやや早い時期(数ミリ秒前)に活動電位が発生する。これを導出・増幅して記録したものを筋電図(EMG)とよんでいる。

筋電図には、筋肉を収縮させて記録する方法(針筋電図:中枢神経-筋系)と、外部から刺激を与えて筋の収縮を誘発する方法(誘発筋電図:末梢神経-筋系)がある。

 

図1運動神経の伝導路

運動神経の伝導路

 

〈針筋電図〉

検査対象となる筋肉に針の電極を刺入し、患者に筋肉を収縮・弛緩させてもらい、筋電図を記録していく。記録された筋電図は、その活動電位の大きさ、波形の形、出現様相の変化によって、神経原性か筋原性のものか、さらに疾患の種類、部位、程度の診断に利用される。

正常な針筋電図波形

完全な弛緩状態(力を抜いている状態:安静時)

活動電位はまったく現れない。

図2安静時

安静時

随意収縮(力を入れ、筋肉を収縮させる)

収縮力に応じた活動電位(反復するスパイク放電)

図3弱い収縮

弱い収縮

図4中等度の収縮

中等度の収縮

図5強い収縮

強い収縮

 

〈異常な針筋電図波形〉

〈安静時〉

錐体外路系疾患

  • パーキンソン症候群

 

脊髄前柱細胞の変性、末梢運動神経の変性や切断筋線維が神経支配を失った場合

  • 脱神経状態の指標

 

末梢神経・筋系からの不随意収縮

  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄性進行性筋萎縮症
  • 脊髄空洞症

 

筋原性疾患

  • 筋緊張症
  • 筋緊張性ジストロフィー症

 

図6郡化放電

郡化放電

 

図7線維自発電位

線維自発電位

 

図8陽性鋭波

陽性鋭波

 

図9線維束電位

線維束電位

 

図10ミオトニー電位

ミオトニー電位

 

〈随意収縮時〉

脊髄前角細胞の病変

  • 末梢神経疾患の回復時
  • 脊髄前角炎
  • 進行性脊髄性筋萎縮症
  • 筋萎縮性側索硬化症

 

末梢神経の病変

多発性筋炎

 

神経筋接合部の異常

 

筋原性疾患

  • 進行性筋ジストロフィー症
  • 多発性筋炎
  • 進行性筋ジストロフィー症

 

図11高振幅電位

高振幅電位

 

図12多相性電位

多相性電位

 

図13漸減と漸減現象

漸減と漸減現象

 

図14低電位

低電位

 

図15短持続時間電位

 

〈誘発筋電図〉

神経の刺激伝導速度を知るための検査である。末梢神経を刺激することによって、その支配筋に活動電位(M波)を発生させ、その活動電位を記録する。 

活動電位(M波)は、末梢神経および筋の状態、神経筋接合部などの状態をよく表し、それらの障害の程度によって、M波の潜時や波形の変化、消失が起きる。

 

誘発筋電図の異常とその原因

 
異常

伝導速度の遅延

神経炎
  • 末梢神経と骨格筋に同時に病変を生ずる病態。多発性筋炎、皮膚筋炎
神経脱髄疾患
  • 中枢神経系において、髄鞘が一次的に変性・脱落したもの
  • 多発性硬化症など
糖尿病
  • 長い疾患歴をもつ患者の下肢遠位部に左右対称性に好発し、知覚鈍麻をきたす。

図16正中神経

正中神経

図17尺骨神経

尺骨神経

図18脛骨神経

脛骨神経

図19腓骨神経

腓骨神経

基準値

表1

 

筋電図に関わる検査のポイント

検査時の留意点

  1. 針筋電図の場合は、筋肉内に針電極を刺入し、痛みを伴うので、十分な説明を行い、不安を抱かせないようにする。
  2. 誘発筋電図では、電気刺激により不快を感じるので、同様に十分な説明を行い、不安を抱かせないようにする。
  3. 室温は20℃に保ち、寒さによる異常な筋活動の発生を防ぐ。

 

筋電図に関わる看護のポイント

看護援助

事故防止・環境調整

  • 筋萎縮・筋力低下により、日常動作が妨げられるため、周辺の環境を整え、転倒・転落などを防ぐ。
  • 疲労を残さない程度の運動を続ける。
  • 他動的に関節運動や筋肉のマッサージを行う。
  • 重症筋無力症では、午後から夕方にかけて、筋肉を使ったのちに強く症状が出現するので注意を要する。

食事の援助

  • 誤嚥を防ぎ、食物の嚥下を助けるため、食事中は座位または半座位とする。
  • 咀嚼力に合わせ、きざみ食やとろみ付き食(トロメリンなどの利用)などの食事形態の工夫をする。
  • 誤嚥時には吸引できるように、吸引装置を常備する。

精神面への援助

  • 患者-医療者間の意志疎通をはかり、少しでも不安を軽減させる。
  • 家族へのかけも十分に行い、家族の愛情が患者に注がれるように援助する。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『新訂版 検査値早わかりガイド 第2版』 (編著)江口正信/2014年3月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

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