イリゲーターを肛門から50cm以上、上げてはいけないのはなぜ?|浣腸

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は浣腸に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

イリゲーターを肛門から50cm以上、上げてはいけないのはなぜ?

浣腸液の入ったイリゲーターをスタンドにつるす場合は、液面から肛門までが50cmになるようにスタンドの高さを調節する必要があります。

 

50cm以上の高さから注入すると流速が速くなり、腸粘膜に対する高圧の機械的刺激が生じるだけでなく、直腸内圧が上昇して浣腸開始の早期から強い腹痛や便意が出現しやすくなり、浣腸液だけが排出されて効果を得られないからです。

 

ちなみに、便意が生じるのは、直腸内圧が40~50mmHgに達した段階です。

 

なお、心疾患患者や高血圧患者、全身衰弱している患者に浣腸を行う場合は、安全のために50cm以下で注入するようにします。

 

図1イリゲーターの高さ

 

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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