できるだけ早期に留置カテーテルを抜去しなければならないのはなぜ?|導尿

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は留置カテーテルに関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

できるだけ早期に留置カテーテルを抜去しなければならないのはなぜ?

留置カテーテルは、常に尿路感染の可能性がありますので、導尿をする必要がなくなった段階で、速やかに抜去します。膀胱や尿道などは、自然状態では細菌感染に対して免疫力を持っていますが、留置カテーテルがあることによって感染しやすい状態になるからです。

 

2004年に日本看護協会から出された『感染管理に関するガイドブック改訂版』では、細菌感染の経路にはカテーテルの外側を通るルートと内側を通るルートの2つがあるとされています(1)。

 

前者として、カテーテル操作時の菌の押し込みやカテーテル外側と尿道上皮の間隙、後者として、尿道留置カテーテルシステム接続部からの菌の侵入などがあります。全体が完全滅菌された閉鎖式持続導尿法の場合でも、1週間で30%の患者に細菌尿が出現するといわれています。

 

長期留置せざるを得ない場合は、カテーテルの取り替えを行います。抜去したカテーテルに塩類が付着して汚れが激しい場合は、尿の流出障害が生じる危険性もありますので、次回は早めに交換するようにします。閉鎖式導尿バッグの交換ともども、無菌操作で行います。

 

重症患者のほとんどが留置カテーテルを挿入されているのが現状ですが、尿路感染症が発生しやすいことを常に意識し、患者の状態を見極めて早期にカテーテル抜去の方向性を探ることも重要です。

 


[参考文献]

 

  • (1)日本看護協会編:感染管理に関するガイドブック改訂版、p31、日本看護協会、2004

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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