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2019年04月25日

心電図(ECG:electrocardiogram)

看護師のための検査値の解説書『検査値早わかりガイド』より。

今回は、心電図(ECG:electrocardiogram)について解説します。

 

江口正信
公立福生病院部長

心電図(ECG:electrocardiogram)の基準値

  • 心拍数:60〜100(回/分) P波とQRS 群が1:1で出現している
  • P波:0.10 秒以内、0.25mV 以下
  • QRS群:0.10秒以内
  • PQ時間:0.12秒〜0.20秒
  • ST部分:基線と一致し、上昇・下降がない

 

〈目次〉

 

心電図の定義

心臓が動くときに生じる電位の変化を体表から記録したもので、波形として記録される。波形はおもに3つの山(P波、QRS波、T波)からなり、一般的に標準12誘導心電図で記録される。

図1刺激伝導系と心電図

 

 

異常な波形

右房負荷

図2右房負荷

右房負荷

特徴

とがったP波(肺性P波)がⅡ・Ⅲ・aVFなどでみられ、V1誘導で二相性P波がみられる。

原因

心房中隔欠損症や慢性肺疾患などで右房血流量が増加することにより右房が肥大したため。

 

左房負荷(僧帽性P)

図3左房負荷(僧帽性P)

左房負荷(僧帽性P)

特徴

二峰性P波(僧帽性P波)がⅠ・Ⅱ・V5誘導でみられ、V1誘導で二相性P波がみられる。

原因

僧帽弁疾患などで左房血流量が増加し、左房が肥大したため。

 

右室肥大

図4右室肥大

右室肥大

特徴

V1〜V2誘導で、QRS波が高く幅は広くなり、ST部分は降下・陰性T波がみられる。

原因

動脈狭窄症、ファロー四徴症、心房中隔欠損症、僧帽弁狭窄症、肺性心などで右室血流量が増加したため。

 

左室肥大

図5左室肥大

左室肥大

特徴

V5〜V6誘導で、QRS波が高く幅は広くなり、ST部分は降下・陰性T波がみられる。

原因

高血圧症、大動脈疾患、僧帽弁閉鎖不全症、心室中隔欠損、動脈管開存などにより、左室血流量が増加したため。

 

図6高血圧症にみられる左心室求心性肥大

高血圧症にみられる左心室求心性肥大

 

右脚ブロック

図7右脚ブロック

右脚ブロック

特徴

Ⅰ誘導で狭いRと幅の広いS、V1〜2で二相性のQRS波(rsR′)と陰性T波がみられる。

原因

右脚の伝導がブロックされているため、右室の興奮が左室から回ってくる刺激によって起こる。そのため、左室の興奮から遅れて右室の興奮が始まる。

 

左脚ブロック

図8左脚ブロック

左脚ブロック

特徴

Ⅰ・aVL・V5〜6誘導でq波がなく、QRS波は二峰性のM型となり、陰性T波がみられる。V5〜6誘導で幅の広いQRS波。

原因

左脚の伝導がブロックされるため、左室の興奮は右室から伝わる刺激によって起こり、右室の興奮に続いて左室の興奮が起こる。

 

WPW症候群

図9WPW症候群

WPW症候群

特徴

PQ時間の短縮とΔ(デルタ)波がみられる。

原因

心房から心室まで、正常よりも速く刺激が伝わる副伝導路の存在によって発生する。

 

ST下降

図10ST下降

ST下降

 

ST下降

特徴

  1. ST部分が水平に降下、または下に凸の盆状降下している。
  2. ST部分の中央部が上に凸状となり、陰性T波は終末部に比較的とがった底がある(ストレインT波)。

原因

  1. 冠不全、心筋の酸素不足状態などで起こる。
  2. 心室肥大、脚ブロックなど、心筋の収縮異常に伴う再分極の変化。

 

ST上昇

図11ST上昇

ST上昇

特徴

ST部分が上昇している。

原因

心筋梗塞で心筋が虚血状態にあるときにみられる。

 

異常Q波

図12異常Q波

異常Q波

特徴

深いQ波

原因

心筋梗塞

 

冠性T波

図13冠性T波

冠性T波

特徴

深い下向きのT波。

原因

心筋梗塞

Point

心筋梗塞では特徴的所見が経時的に出現し変化する

  • ①ST上昇:発症初期に出現。数日〜数週間で正常化
  • ②異常Q波:発症から数時間で出現。最も長く残り、消えないことが多い
  • ③冠性T波:ST 部分の軽快とともに出現。数か月〜1年ほどで回復する

 

T波増高

図14T波増高

T波増高

特徴

巨大な上向きのT波(テント状T波)。

原因

高カリウム血症

 

頻脈

図15頻脈

頻脈

特徴

PP(RR)間隔が短くなっている。心拍数は100 回/分以上(目盛で15mm以下)。

原因

通常、150 回/分以下では病的とはいえないが、発作性頻拍との区別が必要である。交感神経緊張の増加、甲状腺機能亢進症など。

 

徐脈

図16徐脈

徐脈

特徴

PP(RR)間隔が長くなっている。心拍数は60 回/分以下(目盛で25mm以上)

原因

副交感神経緊張亢進甲状腺機能低下症

 

心房細動(Af)

図17心房細動(Af)

心房細動(Af)

特徴

P波がない。基線には大きさ・間隔不同な小さな波(f波)がみられる。RR間隔は不規則。

原因

心房が絶えずどこかで興奮を起こしている状態。心疾患、甲状腺機能亢進症など。

 

心房粗動(AF)

図18心房粗動(AF)

心房粗動(AF)

特徴

P波がない。基線にはノコギリのような、大きさ・間隔の一定した波(F波)がみられる。RR間隔は比較的規則性で、心室はF波2〜3回に対して1回興奮している。

原因

心房が急速に規則正しく興奮を起こし、心室がこれに対して規則正しく一定間隔で応じている状態。心疾患、甲状腺機能亢進症など。

 

心室頻拍(VT)

図19心室頻拍(VT)

心室頻拍(VT)

特徴

幅広いQRS波の波形が規則正しい間隔で出現する。

原因

心室のある場所で興奮が増加し、頻拍となっている状態。心室細動に移行しやすい。心筋梗塞、異型狭心症、高血圧症、心筋炎、心不全、薬剤(ジギタリス、不整脈治療薬など)など。原因のわからない特発性心室頻拍もある。

 

心室細動(Vf)

図20心室細動(Vf)

心室細動(Vf)

特徴

P波、QRS波、T波が消失し、形の異なった不規則な波形がみられる。

原因

死亡直前の心電図。心室が不規則にけいれんを起こしているような状態で、心臓機能は果たしていない。

 

房室ブロックⅠ度

図21房室ブロックⅠ度

房室ブロックⅠ度

特徴

PQ間隔が長くなっている(0.24秒以上、目盛6mm以上)。

原因

心房から心室に刺激(興奮)が伝わりにくくなっている状態。迷走神経緊張亢進、冠動脈疾患、心筋炎など。

 

房室ブロックⅡ度(ウェンケバッハ型)

図22房室ブロックⅡ度(ウェンケバッハ型)

房室ブロックⅡ度(ウェンケバッハ型)

特徴

PQ間隔がしだいに長くなり、ついにはP波のみになり、それに対応するQRS波が出現しない(脱落)。

原因

興奮伝導時間がしだいに増大し、ついに伝わらなくなった状態。機能性で健常者にみられることもある。

 

房室ブロックⅡ度(モービッツⅡ型)

図23房室ブロックⅡ度(モービッツⅡ型)

房室ブロックⅡ度(モービッツⅡ型)

特徴

P波のあとのQRS波が突然出現しない(脱落)。

原因

房室結節、ヒス束の異常により、心房・心室間の伝導が障害されている状態。冠動脈疾患、心筋梗塞、リウマチ熱、ジフテリアなど。

 

房室ブロックⅢ度

図24房室ブロックⅢ度

房室ブロックⅢ度

特徴

PP間隔、RR間隔は一定。P波とQRS波は無関係に存在し、PR間隔は不定。

原因

心房から心室に刺激(興奮)が全く伝わらなくなり、心房と心室がそれぞれの固有リズムで興奮している状態。リウマチ熱、心筋炎などの心疾患。

 

上室性期外収縮(SVPC)

図25上室性期外収縮(SVPC)

上室性期外収縮(SVPC)

特徴

P波、QRS波、T波が早期に出現している。

原因

心房・房室接合部から刺激が発生したために、通常の心拍よりも早く心拍が生じたもの。心疾患、薬物中毒(ジギタリスなど)、甲状腺機能亢進症など。

 

心室性期外収縮(VPC)

図26心室性期外収縮(VPC)

心室性期外収縮(VPC)

特徴

P波のない形の異常に幅の広いQRS波が早期に出現している。T波はQRS波と逆方向を向いている。

原因

心室から刺激が発生して通常よりも早く心拍が生じたもの。心疾患、薬物中毒(ジギタリスなど)、甲状腺機能亢進症など。

 

心電図に関わる看護のポイント

実施時の援助

  1. 検査前の刺激物を禁止し、安静にして心身の緊張を取り除く。
    • 通常は静かに仰臥位をとって四肢の緊張をとり、気分を楽にしてもらう。
    • 寒さ、緊張感などから筋の収縮をきたし、細かい筋電図が入ってしまうことがあるので、室温管理やリラックス保持に気配りをする。
  2. 腕時計、腕輪などの金属製のものを身につけていると、交流障害の原因となるので注意する。
  3. 電極装着時は、皮膚面の汗を拭き取り、ペーストを使用して、皮膚と電極の接触面をできるだけ少なくして装着する。
  4. 冠状動脈虚血時など、一定時間後に再検査をする可能性のある場合は、マジックペンなどで電極装置部位をマーキングしておく。
  5. 終了後は、ペーストを蒸しタオルなどで拭き取り、皮膚の清潔に努める。また、皮膚面に点状出血をきたすこともあるが、まもなく吸収されることを説明する。
  6. 心電図モニターを装着する場合は、以下の配慮をする。
    • 自分の病気を重症であると感じ、不安を増大させてしまうことが多いので、安心感を与える説明をする。
    • 無線送信機を身体の上にのせないよう、また配線が顔や首のまわりに触れないように気配りをする。
    • 長時間、電極を同一部位に貼付すると、発赤、かぶれ、水疱形成などが起こりやすいので、毎日取り換え、皮膚保護に努める。
  7. 心電図表示が不良の場合は、ただちに患者の一般状態を観察し、異常時は適切な対応をする。

 

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『新訂版 検査値早わかりガイド 第2版』 (編著)江口正信/2014年3月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

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