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2017年10月31日

インフルエンザ【ケア編】|気をつけておきたい季節の疾患【19】

来院された患者さんの疾患を見て季節を感じる…なんて経験ありませんか?
本連載では、その時期・季節特有の疾患について、治療法や必要な検査、注意点などを解説します。また、ナースであれば知っておいてほしいポイントや、その疾患の患者さんについて注意しておくべき点などについても合わせて解説していきます。

→インフルエンザ【疾患解説編】はこちら

インフルエンザ

 

インフルエンザの症状_インフルエンザの主訴

 

小島光恵
和歌山県立医科大学附属病院・感染管理認定看護師

 

 

〈目次〉

 

1重症化に注意

インフルエンザ乳幼児ではまれに急性脳症を、高齢の方や基礎疾患があり、免疫力が低下している方では肺炎を伴うなど、重症になることがあります。こういった患者さんの場合は、発熱などのインフルエンザ様症状に加え、意識レベルや呼吸困難、嘔吐や下痢などの症状を観察し、重症化のサインを見逃さないようにしましょう。

 

2飛沫予防策の徹底

インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染です。インフルエンザの患者さん(疑い含む)に対応する医療従事者はサージカルマスクを着用します。また、インフルエンザ患者さん(疑い例含む)が来院されたら、サージカルマスクを着用してもらい、ほかの患者さんと離れたところか、もしくは別の場所で待っていただく必要があります。

インフルエンザ患者さんが入院する場合は原則として個室となります(後述)。この患者さんに対応する場合は、医療従事者は必ず入室時にージカルマスクを着用します。

 

3標準予防策の徹底

インフルエンザは患者さんの飛沫(しぶき)が付着した物や環境に触れ、インフルエンザウイルスが付着した状態で目や口、鼻の粘膜を触ると感染すると言われています。インフルエンザ流行期にかかわらず、日ごろから手指衛生や咳エチケットなどの標準予防策を適切に行うことが、院内感染防止につながります。

インフルエンザ迅速診断キットの検体採取や吸引時など、飛沫(しぶき)が発生する可能性がある処置は、手指衛生後、サージカルマスクとゴーグルまたはフェイスシールド、手袋を着用しましょう。手袋を外した後も、手指衛生を忘れずに実施しましょう。

 

ナースの視点

1観察のポイント

インフルエンザは38℃以上の発熱とともに、悪寒、頭痛、全身倦怠感、関節や筋肉の痛みなどの全身の症状を伴うことが一般的です。情報収集(問診)では、症状の出現時期や程度の確認と、バイタルサインの測定を行い、呼吸や循環、意識レベルの評価を行います。また学校(職場)や家族など周囲の人に同じような症状の人がいないか、ほかに気になる症状がないか、そして海外渡航歴も聴取しましょう。

 

高齢者や免疫が低下している患者さんの場合

高齢者や基礎疾患があり免疫が低下している人は、肺炎などを併発して重症になることがあります。発熱が長期に持続している、息切れ、胸の痛みが続く、嘔吐や下痢がある場合は注意が必要です。

 

乳幼児・小児の観察ポイント

乳幼児ではまれにインフルエンザから急性脳症を発症することがあります。呼びかけに反応がないなどの意識障害や、痙攣、様子がいつもと違うといった症状には注意が必要です。

インフルエンザに罹患した小児・未成年者では、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回るなどの異常行動が報告されています。自宅療養の場合、少なくとも発症から2日間、小児・未成年者が一人にならないよう指導しましょう(1)。

なお、抗インフルエンザ薬のタミフル®などを処方された患児に異常行動が見られるという報告も見られますが、タミフル®に限らず、ほかの抗インフルエンザ薬でも同様の異常行動が見られたり、抗インフルエンザ薬を服用していなくても異常行動が見られたという報告もあります。

 

2看護のポイント

発熱時のケア

インフルエンザ患者さんで寒気や悪寒戦慄がある時は病室を温めたり、温かい毛布などの掛け物を調整することで、患者さんの体を温めましょう。寒気や悪寒戦慄が治まったら、掛け物をかけすぎないようにして、熱の放散を促します。氷枕などの冷罨法は発熱に伴う症状を和らげる効果があります。解熱時は大量の汗をかくため、体に負担をかけないよう配慮しながら、清拭や更衣をこまめに行って清潔を保ちましょう

 

水分補給と栄養補給

発熱が続くと脱水になりやすいので、適宜水分補給を行います。食事がとれているかどうか、栄養状態の評価も行いましょう

 

精神的ケア

入院の場合、隔離によって日常生活が制限された状況となります。そのため、患者さんのストレスにも配慮しましょう。十分に睡眠や休養がとれるよう、環境調整を行いましょう

3感染対策

入院中の場合は解熱日を含めて3日を経過するまで、飛沫予防策(前述)を行います面会者に対しては、入退室時の手指衛生とサージカルマスクの着用を指導します。

インフルエンザウイルスの感染力は、インフルエンザを発症する前日から発症後3~7日間程度と言われています。学校では学校保健安全法(昭和33年法律第56号)に基づき「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」出席停止となっています。

 

外来

咳や発熱、鼻汁がある患者さんはサージカルマスクを着用して、ほかの患者さんとの距離を離しましょう。感染症疑い患者さんを早期に発見できるように、患者さんや家族にも協力が得られるよう、啓発用のポスター(図1)などを受付付近や待合室に貼付しておくとよいでしょう。

 

図1啓発用のポスター

インフルエンザ啓発用のポスター

 

インフルエンザが疑われる場合は、優先して検査や診察を行います。外来には多くの患者さんがいますので、外来の滞在時間を短縮し、ほかの患者さんや家族との接触の機会を減らします

インフルエンザの迅速診断キットの検体採取時は、手指衛生を行い、サージカルマスクとゴーグルまたはフェイスシールド、手袋を着用します。処置後は速やかに外して、手指衛生を行います。

 

病棟

インフルエンザの患者さんが入院する場合は、原則として個室に入院となります。個室の確保が困難な場合は、入院する患者さんをインフルエンザのA型、B型に分け、それぞれ同型の患者さん同士を同じ病室にします。入室する医療従事者や面会者はサージカルマスクを着用します。

なお、患者さんの病室外の移動は控えます。検査などで病室から出る場合、患者さんにはサージカルマスクを着用してもらいましょう。移動の際は、ほかの患者さんが少ない時間帯を選びましょう。

入院患者さんでインフルエンザ様症状が出た場合、インフルエンザの迅速診断キットの結果が陰性であっても、周囲の流行状況や症状から見てインフルエンザが疑われた場合には、個室に隔離し、飛沫予防策を行います。

インフルエンザが否定された場合や飛沫予防策を解除した後も、咳や鼻汁などの呼吸器症状があれば、咳エチケットとして継続したサージカルマスクの着用を徹底しましょう。

 

3関係各所への連絡

院内関係部署への連絡

検査などで病室外に出なければならない場合は事前に移動先に連絡し、そこでも飛沫予防策を継続できるように配慮しましょう。

入院患者さんや職員がインフルエンザを発症した場合は、感染管理担当者に連絡し、2次感染防止策の検討を行います。隔離のための病室の確保が必要な場合は、病床管理担当者に連絡しましょう。

 

保健所への連絡

インフルエンザは感染症法に基づく5類感染症、定点把握疾患になります。全国約5,000か所の医療機関が指定されており、毎週患者数を報告します。また、全国約 500カ所の基幹定点医療機関は、入院したインフルエンザ患者数を毎週報告しています。

同一施設内でインフルエンザ(疑い含む)による死亡者、または重篤患者が1週間内に2名以上発生した場合や、普段の発生動向を上回る場合で施設長が必要と判断した時も、所轄の保健所に連絡を行います。

 



[監 修]
辻本登志英
日本赤十字社和歌山医療センター 集中治療部長 救急部副部長

芝田里花
日本赤十字社和歌山医療センター 副看護部長 救命救急センター看護師長


[Design]
高瀬羽衣子


 

著作権について

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