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2019年05月21日

経腸栄養ができない場合、静脈栄養は必要?|人工呼吸管理中の栄養管理

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

今回は「経腸栄養ができない場合の静脈栄養」に関するQ&Aです。

 

清水孝宏
那覇市立病院看護部看護師長

 

経腸栄養ができない場合、静脈栄養は必要?

長期間、経腸栄養管理ができないのであれば、静脈栄養の開始を慎重に検討すべきです。

 

〈目次〉

 

静脈栄養の注意点

静脈栄養は、本来、ヒトの体が栄養分を吸収する過程とは異なる非生理的な吸収過程であることに留意する必要がある。

消化管には必要なものと不要なものを区別し、消化吸収や排泄を行う機能が備わっているが、静脈にはそのような機能は備わっていない。そのためカテーテル感染や高血糖電解質異常に注意しなければならない。

 

静脈栄養の開始時期

入院前から栄養障害のある患者に関しては1週間以内と比較的早い時期から静脈栄養を開始することに問題はなさそうである。

栄養障害のない患者への早期静脈栄養の開始については賛否両論ある。安全な静脈栄養管理は以下のように考えられる。

  1. ①  糖質脂質タンパク質・ビタミン・電解質のバランスを適正に配分した栄養輸液であること
  2. ②  血糖値や電解質、肝機能や腎機能をモニタリングして異常があれば減量または維持輸液に切り替えること
  3. ③  目標カロリーの80%をめざし、段階的にカロリーアップすること(リフィーディング症候群に注意)

長期間低栄養状態にあった場合、体内では異化によるエネルギー産生(骨格筋を中心とした筋タンパク質からの糖新生)によりエネルギーが供給されている。このような状況で急激に糖質を投与すると、糖質がインスリンとともに細胞内に急激に取り込まれると同時に、細胞内へ電解質(カリウムやリン、マグネシウムなど)が移動する。

細胞内への急激な電解質の移動は、低カリウム血症や低マグネシウム血症を引き起こす。

特に、低リン血症は心不全などの重篤な合併症を引き起こすため、入院前の栄養摂取状況を把握した栄養管理が重要である。

 

Column:リフィーディング症候群って?

リフィーディング症候群(refeeding syndrome)とは、飢餓・低栄養状態にあった患者に急速な水分・栄養補給を行った際に発生する呼吸不全・循環不全・意識障害などの病態のことである。

  •  

低栄養状態の患者では、糖質が摂取できずに不足するため、インスリン分泌が減少する。そのため、糖質のかわりに脂質やタンパク質をエネルギー源として使用していることから、細胞内のリン(ATPの原料)が特に枯渇する。この状態で、急速に糖質(ブドウ糖)を投与すると、インスリン分泌が急激に刺激され、血糖を細胞内へと取り込もうとする。ブドウ糖が細胞内に取り込まれる際には、カリウム、マグネシウム、リンも一緒に取り込まれることから、急激に血液中の電解質量が低下する。加えて、インスリンにより解糖系が活性化されてビタミンB1が消費されてしまうと、ATP産生に必要なクエン酸回路の反応が 起こらなくなり、細胞内エネルギーが産生されない状態となる。

  •  

リフィーディング症候群が生じると、致死的な状況に陥る危険もあるため、十分な注意が必要となる。

  •  
リフィーディング症候群の病態
  • 体液バランスの異常
  • 代謝異常
  • ビタミン(ビタミンB1)欠乏
  • 低マグネシウム血症
  • 低カリウム血症

Crook MA, Hally V, Panteli JV. The importance of the refeeding syndrome. Nutrition 2001; 17: 632-637.を参考に作成

 

リフィーディング症候群に
陥りやすい病態
  • BMIが16kg/m²未満
  • 3~6か月で15%以上の意図しない体重減少
  • 10日間以上の絶食
  • 再摂食前の低カリウム血症、低リン血症、低マグネシウム血症

            ・・・上記に1つ以上該当する状態など

長期の低栄養状態では・・・

  • 神経性食思不振症
  • 慢性アルコール依存症
  • 低栄養の高齢者
  • 担がん患者   など

Mehanna HM, Moledina J, Travis J. Refeeding syndrome: what it is, and how to prevent and treat it. BMJ2008; 336: 1495-1498. を参考に作成

 

[Profile]
道又元裕
杏林大学医学部付属病院看護部長

 


[文献]


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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