2018年09月27日

泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージ

ドレーン・カテーテル・チューブ管理

ドレーンカテーテル・チューブ管理完全ガイド』より転載。
今回は泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージについて説明します。

幸 英夫
獨協医科大学医学部泌尿器科講師
釜井隆男
獨協医科大学医学部泌尿器科主任教授
野中麻矢
獨協医科大学病院看護部
大竹公子
獨協医科大学病院看護部看護師長

 

《泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージの概要》

主な適応
術式によって異なる(各項目参照)
目的
①創部ドレーン:術後出血、尿溢流の確認、止血など
②尿道カテーテル:術後排尿、尿路安静、出血確認など
③尿管ステント:尿管浮腫や出血による閉塞、尿路損傷時の通過性確保、尿路安静など
④腎瘻カテーテル:出血の確認、止血、尿路安静など
合併症
挿入時:出血、臓器損傷
留置中感染症、炎症、疼痛
抜去のめやす
術式によって異なる(表12参照)
観察ポイント
腎瘻カテーテルからの尿量が減少した場合は抜去の可能性があるため、尿量に注意する
ケアのポイント
閉塞リスク:ドレーン、カテーテルの閉塞に注意するため、尿量・性状を確認する
感染予防 :尿道カテーテルは1日1回陰部洗浄(シャワー浴)し、排尿バッグは膀胱より低い位置に設置する

 

〈目次〉

 

泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージの定義

泌尿器科における内視鏡手術は、一般外科で行われる体腔鏡下手術に加えて、後腹膜アプローチ、あるいは尿路アプローチと多彩であり、それらに応じたドレナージを要する。

 

泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージの適応と禁忌

泌尿器科手術における内視鏡術後ドレナージは、出血や尿溢流の有無を確認する目的で挿入される。

明確な適応手術や禁忌は示されていない。

 

泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージの挿入経路と留置部位

泌尿器科手術における内視鏡術後ドレナージの挿入経路と留置部位は術式ごとに異なるため、後述する。

 

泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージの合併症

泌尿器科手術における内視鏡術後ドレナージの合併症として、逆行性感染や物理的な刺激による炎症や疼痛などが挙げられる。

 

泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージの利点と欠点

利点:出血や尿溢流の有無を早期に発見できることに加えて、尿管ステントや尿道カテーテルなど尿路に留置するものとしては、尿路再建後の吻合部を安静に保てることなどが利点となる。

欠点:逆行性感染や物理的な刺激による炎症や疼痛などの合併症リスクがある。

 

泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージの実際①腹腔鏡下アプローチ(表1

表1泌尿器科における腹腔鏡(後腹膜鏡)下アプローチ術のドレナージ

泌尿器科における腹腔鏡(後腹膜鏡)下アプローチ術のドレナージ

 

1腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎・副腎摘除術(図1

図1腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎・副腎摘除術後ドレナージ

腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎・副腎摘除術後ドレナージ

 

手術の特徴

尿路再建は伴わない。尿路解放の可能性も低い。

主な処理血管としては、副腎摘除術では副腎中心静脈であり、腎摘除術では腎動脈、腎静脈、副腎中心静脈、性腺静脈などである。

創の位置:上腹部~側腹部にかけて、ポート挿入および組織摘出のための創が形成される。

 

ドレナージ

種類:当院ではデュープルドレーン、あるいは低圧持続吸引システムを使用する。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 創部ドレーン(図1-❶)は、術後再出血の有無を確認する目的で、腎門部、副腎摘除部へ留置する。術後1日で抜去する1。後腹膜鏡下では留置しないこともある。
  2. 尿道カテーテル(図1-❷)は、術後排尿困難などに対して留置する。術後1~2日で抜去する。

 

2腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎部分切除術(図2

図2腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎部分切除術後ドレナージ

腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎部分切除術後ドレナージ

 

手術の特徴

阻血法においては、腎血流を一時的に遮断し、腫瘍切除部の再建がある。

創の位置:上腹部~側腹部に形成される。

 

ドレナージ

種類:当院ではデュープルドレーン、あるいは低圧持続吸引システムを使用する。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 創部ドレーン(図2-❶)は、術後出血、尿溢流を確認する目的で腫瘍切除部に留置する。術後1〜2日で抜去する。
  2. 尿管ステント(図2-❷)は、尿溢流の減少、尿路安静目的で留置する。2〜3週間で抜去する。留置しない場合もある。
  3. 尿道カテーテル(図2-❸)の留置目的、期間は腹腔鏡下腎摘除術と同様である。

 

3腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎尿管全摘除術(図3

図3腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎尿管全摘除術後ドレナージ

腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎尿管全摘除術後ドレナージ

 

手術の特徴

尿路再建はせず、膀胱を解放する。処理血管は腎摘除術と同様である。

下部尿管の処理は下腹部正中切開、あるいは傍腹直筋切開を追加して行うことが一般的で、体腔鏡のみで行うこともある。

創の位置:上腹部~側腹部および、下腹部にポート挿入および組織摘出のために形成される。

 

ドレーン

種類:デュープルドレーン、あるいは低圧持続吸引システムを使用する。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 創部ドレーン(図3-❶、❷)は、術後出血の有無や尿溢流の確認の目的で腎門部、骨盤腔に留置する。術後1~2日で抜去する。
  2. 尿道カテーテル(図3-❸)の留置目的、期間は腹腔鏡下腎摘除術と同様である。

 

4腹腔鏡下後腹膜リンパ節郭清術(図4

図4腹腔鏡下後腹膜リンパ節郭清術後ドレナージ

腹腔鏡下後腹膜リンパ節郭清術後ドレナージ

 

手術の特徴

経腹膜的アプローチ、高難度であり、一般的でない。尿路再建なし。尿路解放なし。

創の位置:側腹部に形成される。

 

ドレナージ

種類:デュープルドレーン、あるいは低圧持続吸引システムを使用する。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 創部ドレーン(図4-❶、❷)は腹腔内、骨盤腔に留置する。リンパ漏、リンパ囊腫などを確認するため、術後1日で骨盤腔ドレナージをクランプし、リンパ液の漏出がなければ抜去する1
  2. 尿道カテーテル(図4-❸)は尿路安静、出血確認、術後排尿困難などに対して留置する。術後1~2日で抜去する。

 

5腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎盂形成術(図5

図5腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎盂形成術後ドレナージ

腹腔鏡(後腹膜鏡)下腎盂形成術後ドレナージ

 

手術の特徴

尿路再建あり、尿路解放あり。術後に尿管ステントを留置する。

創の位置:上腹部~側腹部に形成される。

 

ドレナージ

種類:尿管ステント、尿道カテーテル、創部ドレーンを用いる。創部ドレーンはデュープルドレーン、あるいは低圧持続吸引システムを使用する。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 創部ドレーン(図5-❶)は吻合部に術後出血、尿溢流確認の目的で留置する。術後1~2日で抜去する。
  2. 尿管ステント(図5-❷)は再建した尿管に吻合部の安静目的で留置する。術後4~6週間で抜去する1,2
  3. 尿道カテーテル(図5-❸)は、尿路安静、出血確認、術後排尿困難などに対して留置する。術後1~2日で抜去する。

 

6腹腔鏡(後腹膜鏡)下前立腺全摘除術

手術の特徴

経腹膜的アプローチで行う。尿路再建、尿路解放あり。

創の位置:臍周囲~側腹部、下腹部に形成される。

 

ドレナージ

種類:尿道カテーテル、創部ドレーンがある。創部ドレーンはデュープルドレーン、あるいは低圧持続吸引システムを使用する。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 創部ドレーンは、出血や尿溢流の有無を確認する目的で膀胱前腔に留置する。術後1日で抜去する1
  2. 尿道カテーテルは尿路安静、出血確認、術後排尿困難などに対して留置する。術後5~8日で抜去。膀胱造影は不要である1

 

7ロボット支援根治的前立腺全摘除術

手術の特徴

経腹膜的アプローチ、尿路再建、尿路解放あり。

創の位置:臍周囲~側腹部に形成される。

 

ドレナージ

種類:尿道カテーテル、創部ドレーン。創部ドレーンはデュープルドレーンを使用している。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 創部ドレーンは腹腔鏡下と同様である。
  2. 尿道カテーテルは尿路安静、出血確認、術後排尿困難などに対して留置する。術後5日で抜去する1

 

泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージの実際②経皮的・経尿道的アプローチ(表2

表2泌尿器科における経皮的・経尿道的アプローチ術のドレナージ

泌尿器科における経皮的・経尿道的アプローチ術のドレナージ

 

1経皮的腎・尿管砕石術(percutaneous nephrolithotripsy:PNL、図6

図6経皮的腎・尿管砕石術(PNL)

経皮的腎・尿管砕石術(PNL)

 

手術の特徴

腎瘻造設、尿路解放あり。比較的大きな上部尿路結石に適応あり。通常は腹臥位で行い、超音波やX線透視による画像も併用する。

創の位置:側腹部、中腋窩線より背側に形成される。

 

ドレナージ

種類:腎瘻カテーテル、尿道カテーテル、尿管ステントがある。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 腎瘻カテーテル(図6-❶)は、出血の確認、止血、尿路安静の目的で留置する。当院では術後3~4日で抜去する。
  2. 尿管ステント(図6-❷)は、尿管浮腫や出血による閉塞、尿路損傷などの際に通過性確保、尿路安静の目的で留置する。当院では術後3~4週間で抜去する。
  3. 尿道カテーテルは、尿路安静、出血確認、術後排尿困難などに対して留置する。当院では術後1~2日で抜去する。

 

2経尿道的尿管砕石術(transurethralureterolithotripsy:TUL、図7

図7経尿道的尿管砕石術(TUL)

経尿道的尿管砕石術(TUL)

 

手術の特徴

経尿道的操作のみ。尿管鏡、超音波やX線透視による画像を使用する。

創の位置:なし。

 

ドレナージ

種類:尿道カテーテル、尿管ステントがある。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 尿管ステント(図7-❶)は、経皮的腎・尿管砕石術と同様である。
  2. 尿道カテーテル(図7-❷)も、経皮的腎・尿管砕石術と同様である。

 

3エンドピエロトミー(内視鏡下腎盂尿管移行部切開術)

手術の特徴

経尿道的操作で尿路(尿管)を後腹膜へ切開、解放する。尿管鏡、超音波やX線透視による画像、レーザー、切開刀などを使用する。

創の位置:体腔内(腎盂尿管移行部)に形成される。

 

ドレナージ

種類:尿道カテーテル、尿管ステントがある。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 尿管ステントは、尿溢流を減少させたり、尿管浮腫や出血による閉塞に対して、通過性確保、尿路安静の目的で留置する。当院では術後3~4週間で抜去する。
  2. 尿道カテーテルは、経皮的腎・尿管砕石術と同様である。

 

4経尿道的尿管拡張術

手術の特徴

経尿道的操作のみ。尿管鏡、超音波やX線透視による画像、尿管拡張バルーンカテーテルを使用する。

創の位置:なし。

 

ドレナージ

種類:尿道カテーテル、尿管ステントがある。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 尿管ステントは、尿管浮腫や出血による閉塞、尿路損傷などの際に通過性確保、尿路安静の目的で留置する。当院では術後3~4週間で抜去する。
  2. 尿道カテーテルは、経皮的腎・尿管砕石術と同様である。

 

5経尿道的膀胱腫瘍切除術

手術の特徴

経尿道的操作のみ。手術用膀胱鏡、電気メスなどを使用する。

創の位置:なし。

 

ドレナージ

種類:尿道カテーテルがある。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 尿道カテーテルは、尿路安静、出血確認、術後排尿困難などに対して留置する。当院では術後1~2日で抜去する。

 

6経尿道的前立腺切除術

手術の特徴

経尿道的操作のみ。手術用膀胱鏡、電気メス、レーザーなどを使用する。TUR反応(水中毒*1という特殊な合併症を生じる可能性がある。前立腺の大きさによっては長時間の手術となる。

創の位置:なし。

memo*1水中毒

過剰な水分摂取によって低ナトリウム血症をきたし、正常な生理機能が阻害された結果、易疲労感、悪心、けいれん、意識消失などを生じる状態。

 

ドレナージ

種類:尿道カテーテルがある。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 尿道カテーテル:尿路安静、出血確認、止血、術後排尿困難などに対して留置する。当院では術後3~4日で抜去する。持続的膀胱洗浄のため、3WAYカテーテルを用いることもある(図8)。

 

図83WAYカテーテルによる持続的膀胱洗浄

3WAYカテーテルによる持続的膀胱洗浄

 

7内尿道切開術

手術の特徴

経尿道的操作のみ。手術用膀胱鏡、電気メス、レーザー、切開刀などを使用する。

創の位置:なし。

 

ドレナージ

種類:尿道カテーテルがある。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 尿道カテーテルは、尿路安静、出血確認、止血、術後排尿困難などに対して留置する。当院では術後10~14日で抜去する。

 

8膀胱尿管逆流防止術

手術の特徴

経尿道的操作のみ。ヒアルロン酸コラーゲンなどを、膀胱鏡を用いて注入する。

創の位置:なし。

 

ドレナージ

種類:尿道カテーテルがある。

留置位置・目的・抜去のめやす

  1. 尿道カテーテルは、尿路安静、出血確認、止血、術後排尿困難などに対して留置する。術後1~2日で抜去する。

 

泌尿器科の内視鏡手術後ドレナージのケアのポイント

1尿道カテーテル

留置中は、血尿などによるカテーテル閉塞に注意する必要があり、尿量・性状を観察し、十分にミルキングを行う。

血尿、血塊などがみられ、さらに尿量減少するなど閉塞が疑われるときは、医師に報告し、膀胱洗浄やカテーテルの交換が必要となることがある。

尿道カテーテル留置中は刺激症状が生じることがあるため、尿意や腹部圧迫感の有無などに注意する。

カテーテル留置中は、感染予防のために1日1回は陰部洗浄、またはシャワー浴を行う。

尿道カテーテルの固定は、屈曲やねじれがないかを確認し、男性は腹部、女性は大腿部へ固定する(図9)。

排尿バッグは、尿の逆流を防ぐために膀胱より低く設置する。

図9尿道カテーテルの固定方法

尿道カテーテルの固定方法

 

2腎瘻カテーテル

尿道カテーテル同様に、カテーテル閉塞に注意する必要があり、尿量・性状を確認する。

ピッグテール型カテーテルの場合は、縫合糸が外れることで固定位置が変わり、腎盂から脱落・抜去してしまうことがある。腎盂バルーンカテーテルは、固定水が2mL程度であり、固定水は自然に減少するため、自然抜去してしまうこともある。

腎瘻カテーテルからの尿量が減少した場合は抜去の可能性があるため、尿量に注意する。腎瘻カテーテルは抜けやすいため、テープ固定は2か所とし、Ω型留め(→『ドレナージにおける医療安全対策』参照)にする。

カテーテル挿入部は週3回消毒を行う。

 

3膀胱瘻

尿道カテーテル留置が長期化する場合や留置することが好ましくない場合に使用される。尿道カテーテルや腎瘻カテ―テルと同様に、カテーテルの閉塞に注意し、自然抜去のないように固定する。

 

4尿管ステント

ステントが留置されていても閉塞する可能性があるため、腎盂腎炎などによる疼痛・発熱に注意する。また、血尿やステントによる違和感が出現することがある。

 


[引用・参考文献]

  • (1)Stolzenburg JU,Türk IA,Liatsikos EN.Laparoscopic and robot assisted surgery in urology.Berlin:Springer-Verlag Berlin Heidelberg;2011.
  • (2)Wein AJ,Kavoussi LR,Novick AC,et al.Campbell Walsh urology.9th ed.Amsterdam:Elsevier;2007.

本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2015照林社

[出典] 『ドレーン・カテーテル・チューブ管理完全ガイド第一版』 (編著)窪田敬一/2015年7月刊行/ 株式会社照林社

著作権について

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